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離婚や別居で子どもをめぐる権利が対立したとき――スムーズな解決に向けた基礎知識と心構え

2025.03.21 弁護士コラム


夫婦が離婚や別居の話し合いを進める段階で、最も大きな問題となるのが「子どもをどちらが引き取るのか」という点です。これがスムーズに決まらないと、家庭裁判所の調停や裁判に発展し、深刻な対立を招いてしまうケースも少なくありません。子どもの健全な育成環境を確保するには、父母のどちらが引き取るべきか、どうやって判断し合意形成を進めるのか、そして万が一対立が長期化したときにはどのように対応すればいいのかをしっかり理解しておく必要があります。

本記事では、子どもの監護権をめぐる衝突の基本的な仕組みや解決方法、実際の手続きの流れ、そして親として押さえておくべき心構えをわかりやすく解説していきます。さらに、調停・裁判の場で有利に話を進めるためのポイントや、離婚後の生活を安定させるためのヒントについても触れていきます。離婚や別居を検討している方、あるいはすでに話し合いが進行している方にとって、お役に立つ情報となれば幸いです。

子どもをめぐる権利の対立とは何か

離婚や別居で生じる根本的な問題

夫婦が離婚する際、日本の制度では基本的にどちらか一方の親が親権者となります(協議離婚や裁判離婚など手続きの種類を問わず)。子どもがまだ未成年である場合、衣食住をはじめとした日常生活の管理や教育、財産管理などを行う責任を負うのは、親権者に指定された方となります。

これに伴い、「実際に子どもの面倒を誰が見るのか」という監護権の問題が浮上します。本来は子どもの利益を最優先に、夫婦間で冷静な話し合いが行われるのが望ましいですが、感情的な対立や経済的な不安などから合意に至らないことが多々あります。結果として、子どもをめぐる対立が先鋭化し、調停や裁判所の判断を仰ぐ事態へ発展してしまうのです。

親権と監護権の違い

混同されがちですが、法律上は「親権」と「監護権」は厳密に区別される場合があります。親権は子どもの保護・監督や財産管理、法律行為の代理などを含む幅広い権限・義務ですが、監護権は子どもの日常生活の世話や教育、しつけなどを担当する権限を指します。

夫婦が離婚したあと、「親権」と「監護権」を分割して考えることも可能です。たとえば、親権は父がもつが、実際の子どもの養育(監護権)は母が行うといったケースもあります。とはいえ、このような分割は家庭が混乱するリスクも高く、どちらか一方がまとめて子どもの権利を担う事例が主流です。

なぜここまで深刻化しやすいのか

子どもを手放したくない親の心理

実の子どもを引き取りたい、あるいは相手側に渡したくないという思いは、多くの親にとって切実な感情です。感情的な対立が激化すると、お互いが悪い面を強調し合い、協力して話を進めることが困難になりがちです。

経済的・社会的な事情

子どもを引き取ることで児童手当や養育費、あるいは公的支援を受けられる可能性が高まると感じる親もいます。また、シングルペアレントとしての生活設計が固まっていないままだと、どちらが引き取るかによって収入面や就業環境に大きな影響が出るため、安易に譲れなくなる場合もあるのです。

弁護士や周囲からのアドバイスによる影響

弁護士や周囲の意見に影響され、最初は話し合いで済ませるつもりが徐々に対立姿勢を強めてしまうケースもあります。法的知識がないまま、他人から「絶対に引き取らないと損だよ」といった助言を受けてしまうと、冷静さを失う原因になるかもしれません。

親権者の決定基準

子どもをめぐる権利が争点になった場合、法的には「子の利益」を最優先に判断されると定められています。具体的には、以下の項目が総合的に検討されることが多いです。

  1. これまで主に誰が子どもの世話をしてきたか(食事、送り迎え、勉強のサポートなど)
  2. 子どもの年齢と意向(ある程度の年齢になれば本人の意思が重視される)
  3. 親の経済力や就労状況(安定した収入があるか、子育てに避ける時間が十分か)
  4. 子どもとの愛着・信頼関係(どちらとの暮らしに安心感を持っているか)
  5. 親の健康状態や生活環境(精神的・肉体的に子育てができる状態か)
  6. 環境の継続性(転校や転園の必要があるか、友人関係にどの程度の影響があるか)

上記の要素はあくまで参考であり、どれかひとつが絶対的に決め手になるわけではありません。最終的には、これらの要素を総合的に判断して、どちらがより適切な監護者となり得るかを考えていくことになります。

話し合いが難航したときの解決プロセス

協議離婚で決めるのが理想

まずは夫婦間で協議し、合意の上で書面を作成する形がもっとも望ましい方法です。お互いに妥協点を見いだしながら円満に手続きを進めれば、子どもも混乱しにくく、離婚後の生活にもスムーズに移行できます。

話し合いがまとまらない場合

感情的な対立やお互いの条件の隔たりが大きい場合は、家庭裁判所における調停手続きへ移行します。調停では第三者(調停委員)が間に入り、合意形成をサポートしてくれます。

もしそれでも折り合いがつかなければ、家庭裁判所が審判や裁判手続きによって最終的な結論を下す流れとなります。この段階では裁判官が子どもの環境や親の状況を調査し、子の利益を考慮して一方的に決定を下すため、当事者同士の意思が全く反映されない可能性もあるという点に注意が必要です。

調停・審判・裁判の違いと進め方

調停

・家庭裁判所で行われるが、基本的には話し合いが中心
・調停委員が間に入るため、感情的なもつれをやわらげながら解決を模索できる
・合意が成立すれば、調停調書が作成され法的拘束力をもつ

審判

・調停で合意に至らなかったときに、裁判官が判断を下す手続き
・裁判手続きに近いが、より柔軟に両親や子どもの状況を考慮しながら決定する

裁判(訴訟)

・完全に法廷で争う形式
・証拠や証言を基に裁判官が最終的に判決を下す
・互いの主張が激しく衝突し、親や子どもへの心理的負担が大きくなりがち

基本的には「調停前置主義」といって、いきなり裁判(訴訟)に進むことはできず、まずは調停を申し立てる必要があります。

子どもの意見の尊重――年齢と意思表示の影響

子どもが幼児のうちは、本人の意思確認が難しいため、親の育児実績や経済力、環境などが重視されやすいです。一方、小学生の高学年や中学生以上になると、「どちらと暮らしたいか」という子どもの希望を一定程度尊重することが裁判所でも一般的です。

ただし、子どもの意見がすべてそのまま反映されるわけではありません。たとえば、親からの強い誘導があって子どもが一方の親を選んでいるように見える場合などは、裁判所の調査官や面接などで慎重に判断されます。

解決に向けた準備と証拠の重要性

育児実績の記録

裁判所などで子どもを引き取る権利を主張する際、「実際にどれだけ子どもの世話をしてきたか」が重要視されます。
・毎日の食事や送り迎えの担当状況
・学校行事や習い事への関与
・休日の過ごし方(レジャーや勉強サポート)

写真や日記、家計簿など、客観的に裏付けできる資料を残しておくと、いざという時の証拠になります。

生活環境の整備

子どもが安心して暮らせる住まいや就労環境があるかも大切なポイントです。家賃や労働時間、周囲のサポート体制(祖父母やシッターの利用など)を明確に説明できるように準備しましょう。

親としての姿勢を示す

裁判所は親が子どもの幸せをどの程度真剣に考えているかも見ています。一方の親を一方的に非難するのではなく、子どもの気持ちを大切にしようとする姿勢は、調停や審判の場でも好印象につながるでしょう。

対立を長引かせないポイント

感情的な言動は避ける

子どもの権利をめぐる話し合いが混乱する最大の要因は、当事者同士の感情のもつれです。腹立たしい気持ちがあっても、言い争いや暴言は逆効果となります。冷静な交渉を行うためにも、弁護士や調停委員など第三者をうまく活用しましょう。

子どもを巻き込まない

親同士が揉めている様子を子どもに直接見せると、子どもは罪悪感や不安を抱えてしまいます。また、相手の親について子どもに悪口を吹き込む行為は、裁判所からも「子育てに相応しくない」と判断されかねません。

可能な範囲で妥協点を探る

全面的に相手を打ち負かそうとする姿勢は、長期化を招きます。たとえば、親権そのものは譲りたくないが、面会交流の回数を多く設定するなど、相手の主張を一部取り入れることで話し合いがまとまりやすくなります。

専門家への相談とサポート体制

弁護士への依頼

弁護士は法的手続きの手配だけでなく、相手方や裁判所とのやり取りも代理で行ってくれます。書面作成や調停・裁判での主張を専門家に任せることで、冷静かつ客観的な視点を持ち続けることができます。

カウンセリングや心理士の活用

子どもが精神的なストレスを抱えている場合、スクールカウンセラーや児童心理士への相談も検討してみましょう。親自身が不安や混乱を抱えている場合は、大人向けのカウンセリングサービスを受けることで精神面を安定させることも大切です。

行政や支援団体の利用

シングルファーザーやシングルマザーを対象とした行政サービスや支援団体は多数存在します。相談窓口や、経済的支援、就業支援などの情報を活用することで、子どもを引き取った後の生活を安定させやすくなります。

離婚後に必要となる手続きとお金の話

戸籍や氏名の変更

離婚に伴い、子どもの戸籍や姓をどうするかも大きな問題です。親権者になった親が戸籍に入れる場合や、名字を変える場合など、手続きが複雑になるケースがあります。事前に役所で相談し、必要書類を確認しておくとスムーズです。

養育費の取り決め

子どもを引き取らない側の親にも、養育費を支払う義務があります。親の収入や生活状況に応じて協議し、金額や支払い方法を明確にしておきましょう。公正証書を作成することで、支払いが滞った場合の強制執行が可能になります。

面会交流のルールづくり

離婚後も子どもにとっては、両親ともに大切な存在です。通常は子どもを引き取らなかった親が、一定の頻度で会ったり連絡を取ったりする権利があります。具体的な日時や場所、連絡手段などを詳細に決めておくと、のちのちのトラブルを避けやすくなります。

まとめ――子どもの幸せを最優先に考える

子どもの監護をめぐる対立は、どうしても感情的になりやすい問題です。しかし、最終的に判断される基準は「子どもの健やかな成長と幸せ」であることを忘れてはいけません。親が自分の主張ばかりに固執すれば、結果として子どもを苦しめる状況を作り出してしまう可能性があります。

・冷静に話し合うために第三者の力を借りる
・子どもの立場や意思を尊重する
・生活環境や経済面をしっかり整備しておく
・感情的対立を避けるために専門家に相談する

離婚自体は、夫婦関係を解消するひとつの手段に過ぎません。むしろ本当に大切なのは、その後の生活で子どもがどのように育ち、どんなサポートを受けていくかです。もし解決が長引いてしまうようなら、弁護士や調停委員、カウンセラーなどの協力を得て、一日も早く落ち着いた環境を取り戻せるよう行動していきましょう。

子どもにとって安心できる生活を取り戻すためには、親がいがみ合うのではなく、最善の方法を見つけ出すことが何より大切です。たとえ対立が激化していても、子どもの将来を考えるうえで欠かせない視点を常に忘れずに、解決へ向けて一歩一歩進んでいただければと思います。

以上が、子どもの養育に関する衝突をめぐる基礎知識と、解決のために押さえておきたいポイントのまとめです。両親それぞれが一歩引いて、「子どもにとって本当に大切なことは何か」を見極めることが最大のカギとなります。話し合いがどうしても難しいと感じたら、早めに専門家の力を借りて、対立を長引かせない工夫を心がけましょう。

この情報が、親としての行動を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いです。子どもの幸せを守り抜くためにも、適切な法的手続きを理解しながら、最善の道を一緒に探っていきましょう。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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