不倫が原因で親権はどうなる? 知らないと後悔する離婚時の重要ポイントを徹底解説

夫婦の片方が不貞行為に及んだ結果、離婚を検討する状況に陥ることは少なくありません。このような局面では、感情のもつれや裏切られた思いに加え、「子どもをどちらが引き取るのか」という点が最大の懸案事項になるケースが多いでしょう。特に、夫婦間で対立が激化すると、家庭裁判所の調停や裁判にまで発展することも珍しくありません。
しかし、パートナーの浮気に起因した離婚だとしても、子どもの今後の生活環境を決める際に絶対的に有利・不利が決まるわけではなく、あくまでも法律や判例上の考え方、そして子どもの利益が最優先となって判断されます。とはいえ、「浮気された側が子どもを確実に引き取りたい」「裏切った相手に子の監護を任せるのは不安」といった切実な思いを抱く方は多いはずです。
本記事では、パートナーの不倫が離婚の原因となった場合の子どもの引き取りについて、押さえておくべき法的なポイントや実務的な手続き、そして話し合いをスムーズに進める方法を詳しく解説します。離婚後の子育てを見据え、感情に流されず適切な対処を行うための一助となれば幸いです。
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パートナーの不倫と子の引き取りに関する基本的な考え方
夫婦間のトラブルが不倫である場合、精神的な苦痛を受けた側は当然ながら怒りや悲しみを抱え、離婚や子の引き取りについて強い意志を示すかもしれません。ただし、法律上は浮気があったこと自体が、子どもを一方的に引き取ることを保証する「決定打」になるわけではありません。
日本の民法では、子の親としての責任は、夫婦間のトラブルの性質とは別の次元で考えられます。子どもにとって最善の利益(教育環境や生活の安定、心理面への配慮など)を守ることが最優先されるため、浮気の有無だけで親権が一方的に決まるわけではない点を理解しておくことが重要です。
不貞行為が発覚したときに知っておきたい法律のポイント
浮気があった場合の離婚事由
配偶者が他の異性と関係を持つ行為は、法的には「不貞行為」とみなされ、裁判上の離婚事由に該当します。ただし、裁判で離婚を争う場合でも、浮気が明確に証拠として立証されなければ、請求が認められにくいケースもあります。そのため、まずは写真・動画・メール・SNSのやり取りなど、不適切な関係を立証できる資料を確保することが大切です。
慰謝料の問題
相手の裏切り行為が原因で精神的苦痛を受けた場合、離婚にあたって慰謝料を請求することが可能です。しかし、慰謝料と子どもの引き取り問題は別の次元で検討されるため、慰謝料を多く取れるからといって必ずしも子どもを引き取れるわけではありません。
浮気された側の法的保護
不誠実な行為を受けた側としては、「浮気をした相手に子どもを任せられない」という思いが強くなるかもしれません。その主張を法律上で有利に展開するには、相手が子育てに支障をきたす行動をしていないか、あるいは不貞相手との同居が子どもの心身に悪影響を与えないかなど、具体的な根拠を示す必要があります。
浮気の有無は子どもの引き取りに直接影響するのか
判断基準は「子の利益」
日本の法制度においては、浮気の事実だけで子どもの引き取りに不利になるとは限りません。裁判所が親権者を決定する際、最も重視するのは「子の利益」です。具体的には、以下のような観点が重要視されます。
・どちらが主に子どもの面倒を見ていたか
・現在の生活環境をなるべく変えないほうが子どもにとって安定するか
・健康状態や経済力、住居環境など、子育てに問題がないか
・子どもの意向(年齢が高ければ本人の意思も尊重される)
浮気による子どもへの悪影響が証明できるか
もし浮気をしていた方が日常的に子どもを放置していたり、不貞相手との関係が子どもの心を乱している実態があれば、その事実を証拠として提示することで親としての適格性を疑われる要因となるでしょう。たとえば、夜間に子どもを家に残したまま外泊を繰り返していたり、子どもの目の前で不適切な関係をほのめかす行動を取っていた場合などは、裁判官の心証を大きく左右します。
離婚協議から調停・裁判に至るまでの流れ
話し合い(協議離婚)
夫婦間で協議し、子どもの引き取り方法などを合意できれば、協議離婚によって比較的スムーズに離婚が成立します。この際、口頭だけではなく、離婚協議書や公正証書などに詳細を記載しておくことで後のトラブルを防げるでしょう。
家庭裁判所での調停
浮気の発覚や金銭面のトラブルなどで話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停手続きへ移行します。調停委員という第三者が双方の主張を整理し、合意を目指す仕組みです。感情的になりやすい不誠実な行為をめぐる争いでも、調停委員が間に入ることで一定の冷静さが保たれます。
審判や裁判
調停でも合意に達しない場合は、裁判所が一方的に判断を下す審判や、正式な裁判手続きへと進行します。この最終段階では、親としての適格性や子どもを取り巻く状況が厳密に調査されるため、証拠や証言が非常に重要です。
有利に話を進めるための証拠・記録の活用法
不適切な関係にまつわる証拠収集
浮気があったことを根拠づける証拠としては、探偵に依頼した調査報告書やメール・LINEのやり取り、ホテルなどへの出入りを写した写真・映像などが挙げられます。ただし、これらの証拠は慰謝料の請求には大いに役立ちますが、必ずしも子どもを引き取る決定打になるわけではありません。
育児実績や生活状況に関する証拠
子どもの引き取りを強く希望する場合には、育児実績を示す証拠が極めて重要となります。たとえば、
・子どもを学校や習い事に送り迎えしている記録
・日常的に食事を作ったり宿題を見てあげている様子がわかる写真や日記
・病院の受診や行事における付き添いの実績
・家計簿などで生活費を負担している事実を示す資料
こうした具体的な記録があれば、「どちらが子育てを担ってきたか」を客観的に証明でき、裁判所の判断にも大きく影響します。
子どもの気持ちを尊重したやり取り
もう一つ押さえておきたいのは、子どもに対する接し方です。いくら浮気を責めたい気持ちがあっても、子どもを巻き込んで相手を罵倒するような行為は、裁判所から好ましくないとみなされがちです。日頃から子どもの意見や心情を尊重し、冷静に接している証拠を残すことも、親としての適格性を示す一つの方法です。
子どもの気持ちを考慮するための工夫
直接子どもに聞くのは要注意
大人の都合を押しつけてしまうと、子どもは混乱やストレスを抱えるかもしれません。裁判所も子どもの年齢が高ければ本人の意向を確認することがありますが、無理に「どっちと暮らしたいの?」と迫るのは逆効果です。
第三者の協力
子どもの心理面のケアが必要と感じる場合は、スクールカウンセラーや児童心理士など専門家に相談する方法もあります。子どもの本音を直接聞き出す前に、専門家を通じて子どもが置かれている状況を把握することで、親側の行動を冷静に見直せる可能性があります。
裁判所が注目する監護実績と環境の安定性
監護実績
浮気をされた側が「誠実に子育てをしてきた」と証明できる監護実績は、調停や裁判でも大きなアピールポイントです。単に「相手が浮気したから私が引き取るべき」と主張するだけでなく、具体的な育児の時間や費用、生活態度などを示すことで説得力が増します。
環境の安定性
裁判所は、子どもの生活が離婚後も安定しているかどうかを重視します。転校の可能性や、新しい住居の確保状況、親族からのサポート体制など、日常生活が大きく変わらないように配慮することが求められます。相手が浮気相手と同居予定という場合、その環境が子どもの成長にとって望ましいかどうかも検討材料となるでしょう。
面会交流と養育費の取り決め方
面会交流の意義
子どもをどちらか一方が引き取ったとしても、もう一方の親と全く会えなくなるわけではありません。離婚後も子どもにとっては両方の親が大切な存在であるため、適切なルールのもとで面会交流を続けることが望ましいとされています。
・どのくらいの頻度で会うのか
・連絡手段はどうするか
・宿泊の有無など具体的な取り決め
こうした内容を明文化しておくことで、のちに感情的な対立を再燃させずに済みます。
養育費の取り決め
子どもを引き取らない側にも、相応の養育費を支払う義務があります。相手の浮気が原因であっても、子どものための費用負担は別問題と考えなければなりません。金額や支払い方法は夫婦の収入や子どもの年齢、進学希望などを踏まえて冷静に決定しましょう。公正証書にしておくと、万が一支払いが滞った場合に強制執行が可能です。
離婚後の子育てに役立つ公的支援・専門家の活用
行政の支援制度
ひとり親世帯に対しては、市区町村が子育て世帯向けの手当や住居支援などを実施していることがあります。離婚後の生活を安定させるためにも、お住まいの自治体の窓口で情報収集を行い、活用できる制度を確認しておくと良いでしょう。
弁護士や司法書士への相談
浮気の事実や子の引き取りに関する争いが激化しそうな場合、離婚問題に精通した弁護士を早めに探しておくことがおすすめです。書類の作成や調停・裁判での対応は専門家に任せ、親としては子どものケアに注力できるようにするのが理想的です。
カウンセラーの活用
自分自身が浮気による精神的苦痛で心が疲弊している場合、カウンセラーなどの専門家を頼るのも手段の一つです。親の心が安定していることは、子どもの安定にもつながります。
まとめ――浮気の事実にとらわれすぎず、子どもの幸せを最優先に
パートナーの不誠実な行動によって離婚に至った場合、どうしても相手を責めたくなる気持ちが先行しがちです。しかし、子どもにとっては親同士の関係がどうであれ、父母双方が自分を大切に想ってくれるかどうかが最も大事なポイントです。
・浮気の有無だけで子の監護が決まるわけではなく、育児実績や生活環境が重視される
・裏切り行為に対する怒りや悲しみを抱えていても、子どもへの配慮を欠かさないことが重要
・証拠の収集や証言は、親権争いよりもむしろ慰謝料請求などの場面で役立ちやすい
・子どもが不安を抱えないように、親としての責任感を行動で示す
離婚後の生活を円滑にスタートさせるには、法的手続きを正しく理解し、冷静に対応することが求められます。場合によっては、弁護士や調停委員、カウンセラーなどの専門家を活用し、感情的な対立を避ける工夫をしましょう。そして何より、子どもの将来や精神面にとって最適な選択は何かを常に考え続けることが、親としての責務です。
浮気という辛い出来事を経験しながらも、子どもと新たな環境で幸せを築いていくためには、早めの情報収集と的確な行動が欠かせません。感情だけで動かず、必要な証拠を集め、協議や調停での主張を整理し、子どもの気持ちを大切にした話し合いを心がけてください。最終的に子どもにとって安心できる暮らしを提供できるよう、誠意を持って準備を進めていきましょう。
以上のポイントを踏まえ、パートナーの浮気を原因とする離婚を考える際には、まず自分と子どもの今後をどのように守るのかを冷静に見極めることが大切です。子どもの幸せを第一に、あなた自身も新しい人生を歩み出すための足がかりを、法律や専門家の力を借りつつしっかりと築いていきましょう。

この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
