不倫の慰謝料は内容証明で請求できる?女性のためのやさしいガイド

夫のスマホから見つけたメッセージ。知らない女性とのやりとり。
信じていた人に裏切られた瞬間、胸が苦しくなって、涙も出ないほどショックだった――。
それでも、あなたは今こうして「どうすればいいのか」を冷静に調べようとしています。
それは立派なことです。
不倫の問題は、感情だけで動くと余計にこじれてしまいます。
きちんと「法的に正しい手段」で対応することが、自分の未来を守ることにもつながります。
その第一歩が、「内容証明郵便での慰謝料請求」です。
この記事では、法律が苦手な方でも安心して読めるように、やさしい言葉で解説していきます。
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内容証明とは?あなたの「正式な意思表示」を残す手段
「内容証明郵便」とは、郵便局が**“誰が、誰に、どんな内容の手紙を送ったか”**を証明してくれる制度のことです。
普通の手紙とは違い、**「確かにこの内容で送った」**という記録が残るため、あとから「言った・言わない」でもめる心配がありません。
不倫慰謝料の請求に使う理由は、この3つです。
- 不倫相手や夫に「正式に請求した証拠」を残せる
- 相手に“本気だ”と伝えられる
- 時効(3年)を一時的に止められる
つまり、内容証明は「怒りを伝える手紙」ではなく、冷静に自分の権利を主張するための法的な手段なんです。
不倫慰謝料を内容証明で請求する目的
女性の中には、「直接会って謝ってほしい」「LINEで請求すれば十分」と思う方もいるかもしれません。
ですが、感情的なやり取りでは、相手が逃げたり、後で「そんな約束してない」と言われることもあります。
内容証明で請求することには、次のような目的があります。
- 相手に“逃げ道を与えない”正式な通知になる
- 裁判になったときに強力な証拠として残る
- やり取りを冷静に進められる
不倫をした側が「本気で責任を取る覚悟があるのか」を確認する意味でも、内容証明はとても有効です。
内容証明で請求できる慰謝料の相場
「いくら請求すればいいの?」と悩む方も多いと思います。
実は、慰謝料の金額には“決まったルール”はありませんが、裁判所の判断例などからおおよその目安があります。
不倫のケース | 慰謝料の目安金額 |
一度きりの関係 | 30〜80万円前後 |
数か月〜1年程度の不倫 | 100〜150万円前後 |
長期間の不倫・離婚に至った場合 | 200〜300万円以上 |
ただし、これはあくまで一般的な目安です。
夫婦関係がどの程度壊れたのか、不倫相手が既婚者だと知っていたのかなどで、金額は変わります。
「自分のケースではいくらが妥当?」という時は、弁護士が証拠や経緯を見て、相場に沿った金額を判断してくれます。
内容証明の書き方と構成
「内容証明を出してみよう」と思っても、いざ書くとなると不安ですよね。
でも大丈夫。難しく考える必要はありません。以下の流れで書くのが基本です。
(1)宛名・日付・自分の情報
最初に、相手の名前と住所、自分の住所・名前・日付を明記します。
〒730-0000
広島市中区〇〇町〇丁目〇番地
○○○○ 様
〒730-0001
広島市中区〇〇町〇丁目〇番地
△△ △△
2025年10月9日
(2)不倫の事実と慰謝料請求の内容
淡々と「何があったのか」「どんな損害を受けたのか」を書きます。感情的な言葉は避けましょう。
貴殿が私の夫△△と不貞行為を行っていた事実を確認しました。
この行為により、私は深い精神的苦痛を受けました。
よって、慰謝料として金150万円を請求いたします。
(3)支払い方法と期限
いつまでに、どの口座に支払うかを明確にします。
本書面到達後14日以内に、下記口座にお振込みください。
(銀行名・支店・口座番号・名義)
(4)期限後の対応
支払われなかった場合の対応も記しておきます。
期限までにお支払いがない場合、法的手続を検討させていただきます。
(5)同じ文面を3通作成
- 1通は相手へ送付
- 1通は自分用
- 1通は郵便局保管用
郵便局で内容証明郵便として差し出します。
内容証明を送る前に確認しておきたいこと
いざ送る前に、次の3つを必ず確認しましょう。
証拠があるか
LINEのやり取り、写真、ホテルの領収書など、客観的な証拠があるか確認します。
“なんとなく怪しい”という段階では、逆に相手から反論されてしまうこともあります。
請求金額が妥当か
相場よりも極端に高い金額を請求すると、逆に相手が強気に出てくることがあります。
弁護士に一度見てもらうことで、現実的な金額設定が可能です。
感情を整理してから出す
怒りのままに書いた内容証明は、法的には効果が弱く、相手に「感情的だ」と受け取られてしまうことも。
一晩置いて読み返す、第三者(弁護士)に見てもらうのが安心です。
内容証明を送った後の流れ
内容証明を送ると、相手がどう反応するかによって次のステップが変わります。
A:支払いに応じた場合
金額や支払い方法が決まったら、「合意書」を作って記録を残します。
弁護士が入ると、公正証書にして“強制執行できる形”にすることも可能です。
B:返事がない・無視された場合
無視された場合でも焦らないでください。
その内容証明が「正式な請求の証拠」として残るので、次の調停・裁判の際に強力な武器になります。
C:弁護士から返答が来た場合
相手が弁護士を立てた場合は、すぐにこちらも弁護士に依頼しましょう。
専門家同士でやり取りをすることで、余計な感情のぶつかり合いを防ぎ、冷静に解決できます。
弁護士に依頼するメリット(女性が安心できる理由)
内容証明は自分でも出せますが、**「書き方・言葉選び・金額設定」**で失敗してしまう方がとても多いです。
弁護士に相談すると、次のようなサポートが受けられます。
- 文面を法的に正しい形に整えてくれる
- 請求額を相場に基づいて設定してくれる
- 相手の弁護士との交渉をすべて代行してくれる
- 精神的に落ち着ける環境をつくってくれる
何より大きいのは、「もう自分一人で抱えなくていい」と思えること。
夜眠れなかった不安が、弁護士に話すだけで少し軽くなるという方も多いです。
まとめ:強さとは、冷静に行動すること
不倫の慰謝料を内容証明で請求することは、決して「復讐」ではありません。
それは、**あなたがもう一度前を向いて生きるための“区切り”**です。
感情的な怒りを紙にぶつけるのではなく、法的にきちんと伝える。
そのために、内容証明はとても頼れる味方になります。
ただし、一度送ってしまったら取り消せないのが現実です。
「この一通で、自分の未来が変わる」――そう思って、慎重に、でも確実に進めてください。
もし迷っているなら、弁護士に相談してみてください。
あなたの立場を守りながら、最も安全で、後悔しない方法を一緒に考えてくれます。

この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
