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【現役弁護士が徹底解説!】発信者情報開示請求にかかる費用はいくら?|手続きの流れと料金相場

2025.01.16

「ネット上の誹謗中傷や個人情報の流出に悩んでいるけれど、加害者が匿名のためどうにもできない…」――そんな方にとって、発信者情報開示請求は強い味方となる制度です。しかし、実際に手続きをするには「費用はいくらかかる?」「どこに請求すればいいの?」など、不明点が多くてなかなか踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、発信者情報開示請求の基本から具体的な費用の相場、そして費用を抑えるためのコツまで、現役弁護士の視点を交えてわかりやすく解説します。SNSや掲示板での名誉毀損・プライバシー侵害など、深刻化するネットトラブルを放置せず、自分の権利を守るための第一歩を踏み出すために、ぜひ最後までお読みください。費用面での不安を解消し、あなたに合ったベストな解決策を見つけるヒントがきっと見つかるはずです。

そもそも発信者情報開示請求って何?

発信者情報開示請求は、インターネット上での権利侵害から自分を守るための法的な手段です。

SNSや掲示板での誹謗中傷、プライバシー侵害、著作権侵害などが増加しており、被害者が自身の権利を守るために加害者を特定する必要があるためです。実際、匿名での投稿が可能なインターネット上では、このような法的手段がなければ、被害者は適切な対応を取ることができません。

具体的には、以下のような状況で必要となります:

  • SNSで根も葉もない噂を流され、精神的苦痛を受けている
  • 無断で個人情報や写真が掲示板に投稿された
  • 著作物が許可なく転載され、営業妨害を受けている

どんな時に必要になる?

あなたも経験があるかもしれません。ネット上で誰かに傷つけられたり、大切な情報を勝手に使われたり…。そんな時に力になるのが発信者情報開示請求なのです。特に以下のような被害を受けた場合に検討する価値があります:

  • 名誉毀損にあたる投稿をされた
  • プライバシーを侵害された
  • 著作権を侵害された
  • 営業妨害を受けた

誰に対して請求するの?

まず最初に、プロバイダーや掲示板管理者に請求します。具体的には:

  • SNSの場合:各運営会社(TwitterやFacebookなど)
  • 掲示板の場合:掲示板管理者
  • ウェブサイトの場合:サーバー管理者やプロバイダー

どんな情報が開示される?

開示される情報は段階的です。実は、一度の請求で全ての情報が手に入るわけではありません。

【第一段階で開示される情報】

  • IPアドレス
  • タイムスタンプ(投稿日時)
  • 投稿時に使用されたアカウント情報

【第二段階で開示される情報】

  • 発信者の氏名
  • 住所
  • メールアドレス
  • 電話番号

ただし、これらの情報を入手できたとしても、その先の法的対応(損害賠償請求など)は別途検討が必要です。その際は、ぜひ弁護士に相談することをお勧めします。

このように、発信者情報開示請求は、インターネット上の権利侵害から自分を守るための重要な第一歩となります。確かに手続きは簡単ではありませんが、正しい知識を持って適切に対応することで、あなたの権利を守ることができます。

実際にかかる費用はいくら?

発信者情報開示請求にかかる費用は、大きく分けて弁護士費用、裁判所への費用、その他の諸経費に分類されます。ここでは、実際の金額と共に、なぜそのような費用が必要なのかを詳しく説明していきます。

費用の種類を理解しよう

弁護士に払う費用

手続きの中心となるのが弁護士費用です。弁護士費用は主に以下の項目で構成されています:

  • 着手金:事件を受任する際に支払う費用
  • 成功報酬:請求が成功した場合に支払う費用
  • 相談料:初回相談時に必要な費用(無料の場合もあり)

裁判所に払う費用

法的手続きには、裁判所への支払いが欠かせません:

  • 印紙代:申立てに必要な費用
  • 予納郵券代:裁判所からの通知等に使用する郵便費用
  • 書類作成費用:各種申請書類の作成費用

その他必要な費用

見落としがちですが、以下のような費用も発生します:

  • 証拠保全費用:スクリーンショットの公証費用など
  • 交通費:裁判所や弁護士事務所への往復費用
  • 通信費:関係者とのやり取りに必要な費用

具体的な金額を知ろう

弁護士費用の相場

それでは、実際の金額を見ていきましょう:

  • 着手金:20万円~30万円
  • 成功報酬:獲得金額の10%~20%
  • 初回相談料:無料~5,000円程度

裁判所への支払い金額

裁判所に支払う費用の内訳です:

  • 印紙代:1,000円~2,000円
  • 予納郵券代:3,000円~5,000円
  • 書類作成費用:5,000円~10,000円程度

合計でいくらかかる?

標準的なケースでの総額をまとめると:

【基本的な費用の合計】

  • 最低ケース:約25万円
  • 着手金(20万円)
  • 裁判所費用(5万円)
  • 平均的なケース:約35万円
  • 着手金(25万円)
  • 裁判所費用(5万円)
  • その他諸経費(5万円)
  • 複雑なケース:50万円以上
  • 着手金(30万円以上)
  • 裁判所費用(10万円以上)
  • その他諸経費(10万円以上)

なお、これらの費用は事案の複雑さや地域によって変動する可能性があります。また、成功報酬は別途発生することにご注意ください。

発信者情報開示請求の費用は決して安くありませんが、これは権利を守るための必要な投資と考えることができます。次の章では、これらの費用を少しでも抑えるための方法について説明していきます。

費用を安く抑えるコツ

インターネット上の権利侵害に悩まれているあなたにとって、費用の問題は大きな障壁かもしれません。しかし、諦めないでください。実は、適切な準備と知識があれば、費用を抑えながら権利を守ることは十分に可能なのです。

自分でできる準備

証拠集めのポイント

誰もが経験するかもしれない、突然のネット被害。そんな時、最初にすべきことは証拠の保全です。「どうせ無理かも…」と諦めてしまいそうになりますが、まずは冷静に証拠を集めることから始めましょう。

スクリーンショットは、投稿内容全体が分かるように撮影し、特に日時とURLの記録を忘れずに。「後で見返せばいい」と思っても、投稿が削除されることもあります。定期的なバックアップも重要です。また、被害を受けた日時や関連する出来事を時系列で整理しておくと、後々の法的手続きがスムーズになります。

弁護士選びのコツ

「どの弁護士に相談すればいいのだろう…」という不安は誰もが感じるものです。でも、ここで慎重な選択をすることで、必要以上の出費を抑えることができます。

経験豊富な弁護士は、効率的な対応で時間と費用を節約できることが多いものです。同様の案件をどれくらい扱ったことがあるのか、具体的な解決実績はどうなのか。費用の明確さや支払い方法の柔軟性も、重要な選択基準となります。

無料相談の活用法

「弁護士に相談するのは敷居が高い…」そう感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、多くの法律事務所では無料相談を実施しています。この機会を最大限活用しましょう。

相談前に要点を整理し、質問事項をリストアップしておくことで、限られた時間を有効に使えます。また、複数の事務所に相談することで、より良い選択肢が見つかるかもしれません。

使える制度や支援

法テラスの使い方

「費用が心配で前に進めない…」そんな方にとって、心強い味方となるのが法テラスです。国が運営する法的支援機関として、様々なサービスを提供しています。

収入等の条件を満たせば、無料法律相談や弁護士費用の立替制度を利用できます。決して一人で悩まず、まずは法テラスに相談してみることをお勧めします。

保険は使える?

意外と見落としがちなのが、保険の活用です。実は、あなたが加入している保険で、法的費用がカバーされている可能性があります。

弁護士保険(特約)や個人賠償責任保険、さらにはクレジットカードの付帯保険なども、確認する価値があります。ただし、補償範囲や請求手続きの期限には注意が必要です。

その他の支援制度

各地域には、様々な支援制度が存在します。被害者支援団体や自治体の法律相談、弁護士会の相談制度など、活用できる制度は意外と多いものです。

早めに情報を集め、複数の制度を組み合わせることで、より効果的な支援を受けられる可能性があります。一つ一つの扉を叩いてみることで、新しい可能性が開けるかもしれません。

このように、費用を抑えるための方法は確かに存在します。しかし、費用削減に気を取られすぎて、適切な法的対応が遅れることは避けたいものです。被害の状況に応じて、専門家への相談を優先することも検討してください。あなたの権利を守るための投資として、必要な費用を見極めていくことが大切です。

実際にかかった費用の例

ネット上の権利侵害に遭遇したとき、誰もが気になるのが具体的な費用です。「実際にどのくらいの費用がかかるのだろう?」「解決までにどのくらいの時間がかかるのだろう?」そんな疑問に、実例を通してお答えしていきます。

SNSでの誹謗中傷の場合

Aさん(30代女性)のケースをご紹介します。Aさんは、Twitterで全く事実無根の噂を広められ、精神的に追い詰められていました。職場での人間関係にも影響が出始め、法的対応を決意されました。

【実際にかかった費用の内訳】

弁護士費用:25万円(着手金)

裁判所手数料:1万円

証拠保全費用:3万円

通信費等:1万円

————————

合計:30万円

解決までの期間は約3ヶ月。発信者が特定できたことで、謝罪と投稿の削除に加え、示談金として15万円を受け取ることができました。この示談金から成功報酬(示談金の20%:3万円)を支払いました。

「最初は費用が高額で悩みました」とAさん。「でも、放置していれば問題はさらに大きくなっていたと思います。職場での関係も改善し、精神的な負担から解放されたことを考えると、必要な投資だったと感じています」

掲示板でのトラブルの場合

次は、Bさん(40代男性)のケース。大手掲示板に、Bさんの個人情報と共に、事実無根の商品トラブルの告発が投稿されました。ビジネスにも影響が出始めたため、すぐに法的対応を開始しました。

【具体的な費用明細】

弁護士費用:30万円(着手金)

裁判所手数料:2万円

証拠収集費用:5万円

翻訳費用:3万円(海外サーバー対応)

————————

合計:40万円

こちらは解決まで5ヶ月を要しました。海外サーバーが絡んでいたため、通常より手続きが複雑になったためです。最終的に発信者が特定され、以下の解決に至りました:

  • 投稿の完全削除
  • 謝罪文の掲載
  • 損害賠償金50万円の支払い

「費用は確かに安くありませんでした」とBさん。「ただ、ビジネスへの影響を考えれば、早期対応ができて良かったです。示談金から弁護士への成功報酬(10万円)を支払いましたが、トータルでは満足のいく結果でした」

これらの事例から分かる重要なポイントをまとめると:

  1. 早期対応の重要性 被害が拡大する前に対応することで、最終的なコストを抑えられる可能性が高まります。
  1. 費用対効果の考慮 純粋な金銭的な損得だけでなく、精神的負担の軽減や社会的信用の回復なども含めて判断することが大切です。
  2. 弁護士費用の内訳 着手金と成功報酬の仕組みを理解し、計画的な資金準備をすることが重要です。

ご紹介した事例は、あくまでも一例です。実際の費用は、案件の複雑さ、地域性、選択する弁護士によって変動します。しかし、これらの事例が、あなたの判断の参考になれば幸いです。

まとめ

インターネット上の権利侵害から自分を守るため、発信者情報開示請求という法的手段があります。名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害など、様々な被害に対応できる重要な制度です。

費用面では、一般的に25万円から50万円程度が必要となります。これには弁護士費用、裁判所への手数料、証拠収集費用などが含まれます。一見すると高額に感じるかもしれませんが、被害の拡大を防ぎ、自分の権利を守るための必要な投資と考えることができます。

費用を抑えるためには、事前の証拠収集や法テラスなどの支援制度の活用が効果的です。特に、早い段階での対応が、最終的な費用の削減につながる可能性が高いことも分かりました。

実際のケースでは、SNSでの誹謗中傷で約30万円、掲示板での権利侵害で約40万円といった例がありました。解決までの期間は3~5ヶ月程度で、多くの場合、問題解決と精神的負担の軽減につながっています。

権利侵害の問題は、放置すればするほど深刻化する可能性があります。費用面で悩ましい選択かもしれませんが、自分の権利を守るための正当な手段として、発信者情報開示請求を検討する価値は十分にあるでしょう。一人で抱え込まず、まずは専門家への相談を検討してみてください。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

平田弁護士について

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