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自己破産で財産はどうなる?残せるもの・失うものを徹底解説【保存版】

2025.09.30 弁護士コラム

自己破産と聞くと「全部取られて何も残らないんじゃないか」と不安になる方が多いと思います。でも実際にはそうではありません。自己破産は、借金に追われて身動きが取れなくなった人を救済する制度です。生活に必要な最低限のものはちゃんと残せるように考えられています。

もちろん、価値がある財産は債権者に分配するために処分されます。ただし「すべてをゼロにする」のが目的ではなく、「生活を維持しながら再出発できる」ことが重視されています。

処分される財産の代表例

では、どんな財産が処分されやすいのでしょうか。まず代表的なのが自宅です。住宅ローンが残っている場合は銀行が競売にかけますし、ローンが終わっていても資産価値があれば売却されます。

車も同じです。ローン付きの車は回収されますし、ローンがなくても新しくて価値がある車は処分対象です。さらに、預金や保険の解約返戻金、高級ブランド品や貴金属も例外ではありません。

つまり「市場で売れるもの、価値があるもの」は原則として手放すことになる、と理解しておくとわかりやすいでしょう。

残せる財産とは?

一方で、生活に欠かせないものは守られます。普段使っている家具や家電、衣服、寝具などは処分されません。現金についても99万円まで残せると決まっています。

また、預貯金が少額であれば生活費として残せることもあります。車に関しても古くて価値が低いものや、通勤・通院に必要だと認められる場合は残せるケースがあります。

年金や生活保護費のように法律で差押えが禁止されている財産も対象外です。つまり「生活ができなくなるほど奪われることはない」という点は安心していいでしょう。

自宅を守れる可能性はあるのか

「家だけは手放したくない」という声はとても多いです。ただし自己破産の仕組み上、家を残すのは難しいのが現実です。

ただし例外もあります。例えば、家に資産価値がほとんどなく、買い手がつかない場合などです。また、自己破産ではなく「個人再生」という手続きに切り替えることで、住宅ローンを支払い続けながら家を残すことができるケースもあります。

どうしても家を残したいなら、自己破産一本に絞らず、他の手続きも含めて専門家に相談することが大切です。

車やバイクの行方

車は地域によっては生活に欠かせませんよね。自己破産では、その車に「価値があるかどうか」で扱いが決まります。

新しい車や高級車は当然ながら処分されます。一方で、10年以上乗っていて中古市場でほとんど値段がつかないような軽自動車であれば、生活に必要と判断されて残せる場合もあります。バイクも同じです。

実際に地方在住の方で「古い軽自動車がないと通勤できない」という事情をきちんと説明して残せた例もあります。

預貯金や現金の取り扱い

「預金は全部取られてしまうの?」と不安に思うかもしれません。結論からいうと、生活費として必要な範囲なら残せます。現金は99万円まで、預貯金も20万円程度なら残せるケースが多いです。

ただし注意しなければならないのは、申立直前にお金を引き出して隠すような行為です。これは財産隠しとされ、借金が帳消しにならない可能性があります。困っていても正直に申告することが、結局は一番自分を守ることにつながります。

保険や退職金の扱い

生命保険や学資保険は、解約返戻金が20万円を超えると処分対象になります。ただし掛け捨て型の保険は影響を受けません。

退職金については「将来もらえる権利」も財産とされますが、今すぐ全額没収されるわけではありません。地域によって基準は異なりますが、見込み額の一部だけが評価対象になり、実際に勤務を続ける限りは受け取る段階まで影響しないケースが多いです。

体験談:自己破産で財産をどうしたか

ここで、実際によくあるケースを紹介します。

ケース1:古い車を残せたAさん

地方に住むAさんは、借金が返せず自己破産を決断しました。心配していたのは通勤用の軽自動車。ローンはすでに完済していましたが、10年以上乗っていて市場価値はほとんどゼロでした。結果として、生活に必要だと認められてそのまま残すことができました。「車を失わなかったことで、生活を続けながら再スタートできた」と話しています。

ケース2:学資保険を手放すことになったBさん

Bさんは子どものために積み立てていた学資保険がありました。しかし解約返戻金が100万円以上あったため、処分の対象となりました。つらい選択でしたが、弁護士と相談して「今は生活を立て直すことを優先しよう」と割り切り、最終的に借金を整理して生活をやり直すことができました。

こうした事例を見てもわかる通り、「何が残るか・失うか」は一人ひとりの状況次第です。

まとめ:自己破産はすべてを失う手続きではない

自己破産をすると、確かに自宅や高額な財産は手放さなければなりません。しかし、生活に必要なものは残されます。現金も一定額までは残せますし、古い車のように事情によっては認められるものもあります。

大事なのは「自己破産=すべて没収」ではなく、「不要不急の財産は手放し、生活必需品は守る」という制度だということです。

もし「この財産はどうなるんだろう」と不安があるなら、ネットの情報だけで判断せず専門家に相談してください。自己破産以外の選択肢が見えてくる場合もありますし、思ったより多くの財産を残せることもあります。

借金の悩みは一人で抱え込むとますます苦しくなります。勇気を出して相談することが、再出発の第一歩になるはずです。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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