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自己破産の流れをわかりやすく解説|準備から免責までの全記録

2025.10.04 弁護士コラム

「自己破産したいけど、どんな流れで進むのか全然わからない…」
そう感じている方はとても多いと思います。借金問題は精神的に追い詰められやすく、ただでさえ不安なのに、手続きのイメージができないとさらに怖くなりますよね。

実は、自己破産の流れ自体は決して複雑すぎるものではありません。
大きく分けると「相談と依頼 → 書類と準備 → 申立てと裁判所の判断 → 管財人対応(場合による) → 免責決定」というシンプルな流れです。

この記事では、それぞれのステップをできるだけわかりやすく、そして実際の経験談も交えながら解説していきます。読めば「次に何をすればいいのか」が見えてくるはずです。

専門家への相談と受任通知

自己破産の第一歩は、弁護士や司法書士への相談です。

なぜ専門家に相談するのか

自己破産は自分一人でも手続きは不可能ではありません。ただし、提出書類の多さや裁判所とのやり取りを考えると、現実的には専門家に依頼する人が圧倒的に多いです。専門家に依頼するメリットは大きく3つあります。

  • 督促や取り立てが止まる(受任通知の効果)
  • 書類作成をサポートしてくれる
  • 手続きの見通しを立ててもらえる

「相談に行ったその日から取り立てが止まった」という声も多く、精神的な負担が一気に軽くなる瞬間です。

受任通知とは

弁護士や司法書士が依頼を受けると、すぐに債権者に「受任通知」を送ります。これが届くと、法律上、債権者は直接取り立てをすることができなくなります。毎日鳴っていた電話がピタッと止まり、「ようやく眠れるようになった」と安心する人も少なくありません。

書類と財産状況の準備(自己破産の最大の山場)

自己破産の流れの中で一番大変なのが、この準備段階です。ここを丁寧に乗り越えるかどうかで、手続き全体のスムーズさが決まります。

なぜここまで細かい書類が必要なのか

裁判所は「本当に返済ができないのか」「財産を隠していないか」を徹底的に確認します。つまり“借金を返せないことを証明する”のが自己破産の準備の目的です。ここが曖昧だと裁判所は納得せず、免責(借金帳消し)が認められないリスクもあります。

具体的に求められる書類

代表的なものを挙げると以下の通りです。

  • 通帳コピー(全口座):最低でも1〜2年分。ネット銀行も忘れずに。収支や送金の流れを確認するため。
  • 給与明細・源泉徴収票:収入の安定性を確認するため。自営業なら確定申告書や帳簿。
  • 家計収支表:毎月の収入と支出を一覧化。なぜ返済できないのかを数字で説明する大事な資料。
  • 借入契約書・残高証明・カード明細:どこから、いくら借りているかを明確に。
  • 保険証券・解約返戻金の証明:積立型の保険がある場合、返戻金の額を保険会社から取り寄せる。
  • 不動産関連書類:登記事項証明書や固定資産評価証明書。
  • 自動車関連書類:車検証や査定書。

これ以外にも、事情によっては医療費の領収証、学費の請求書なども必要です。

準備にかかる期間と注意点

準備には1〜2か月ほどかかるのが一般的です。特に保険や不動産の書類は取り寄せに時間がかかります。
注意点としては:

  • 通帳を「処分した」「忘れていた」は通用しません。全口座が対象。
  • 家計簿をつけていない人は、この段階からでも記録を始める。
  • 直前に親や知人にだけ返済するのはNG。偏頗弁済と見なされる可能性があります。

準備をスムーズに進めるコツ

  • 弁護士がくれる「必要書類リスト」を一つずつ潰す
  • 家計収支はレシートや領収証と一緒に整理する
  • 書類は必ずコピーを取ってファイル化する

「準備が一番大変。でもここを頑張れば後は流れに乗るだけ」という声は非常に多いです。

裁判所への申立てと判断(同時廃止か管財事件か)

準備が終わったら、いよいよ裁判所へ破産の申立てを行います。ここからが正式な手続きのスタートです。

申立ての内容

弁護士が作成した申立書と添付資料をまとめて裁判所に提出します。裁判所はそれをもとに、財産の状況や借金の内容を確認します。

同時廃止事件とは

申立人に財産がほとんどなく、債権者に配当できる見込みがない場合は「同時廃止事件」となります。この場合は破産管財人も選任されず、比較的短期間で終わります。申立てから免責まで3〜6か月程度で完了するのが一般的です。

管財事件とは

一方で、財産が一定以上ある場合や、直前の取引に不自然な点がある場合は「管財事件」になります。この場合は破産管財人が選任され、財産調査や換価(売却)、債権者への配当が行われます。期間は半年〜1年程度と長くなります。

管財人とのやり取り(管財事件の場合)

管財事件になった場合、破産管財人とのやり取りが発生します。

管財人の役割

破産管財人は裁判所から選任された弁護士で、申立人の財産調査や換価、そして手続きの公正さを監督する役割を持っています。

面談と質問

申立人は管財人と面談し、借金の理由や財産の使い道を説明します。場合によっては追加資料を求められることもあります。

財産の換価

価値のある車や不動産、保険などがあれば売却され、債権者に配当されます。ここで「財産を隠していないか」が厳しくチェックされるため、正直にすべて申告することが重要です。

免責審尋と免責許可

調査が終わると、裁判所で「免責審尋」が行われます。これは「この人の借金を帳消しにしてよいか」を最終的に判断するための場です。

通常は数分で終わり、裁判官から「どうして借金をしたのか」「反省しているか」といった簡単な質問を受けます。問題がなければ免責許可決定が下り、借金の返済義務はなくなります。

ここまで来れば自己破産の流れは完了です。借金がゼロになり、新しい生活を始めることができます。

まとめ:自己破産の流れを理解して一歩を踏み出そう

自己破産の流れは、
「専門家に相談 → 書類準備 → 裁判所申立て → (必要に応じて管財人対応) → 免責」
というシンプルな道筋です。

一番の山場は「書類と財産状況の準備」ですが、ここを丁寧に乗り越えれば、その後はスムーズに進みます。

大切なのは、誠実に正直に手続きを進めること。そして、迷ったときは専門家に相談することです。流れを知っておけば「次に何が来るのか」がわかるので、不安はぐっと減ります。

自己破産は人生の終わりではありません。むしろ「借金に追われる生活をリセットするための制度」です。正しい知識を持って一歩を踏み出せば、新しい生活は必ず始められます。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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