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法定養育費はいつからスタート?制度開始までの流れと受け取りの仕組み

2026.03.07 弁護士コラム

「法定養育費制度が始まるって聞いたけど、いつからなの?」「離婚したらすぐお金が振り込まれるの?」

こうした疑問を持つ方は少なくないでしょう。養育費の不払い問題に対応するため、国が新しい制度を整備しました。ただ、いつから利用できるのか、どうやって受け取るのかがわからなければ、せっかくの制度も活用できません。

本記事では、法定養育費制度の開始時期と、実際にお金を受け取るまでの流れについて整理します。これから離婚を考えている方、すでに離婚の話し合いを進めている方は、ぜひ参考にしてください。

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制度のスタートは令和8年4月1日

法定養育費制度は、令和8年(2026年)4月1日から利用できるようになります。

この制度は、令和6年(2024年)5月に成立した改正民法によって生まれました。法律が成立してから約2年間の準備期間を経て、ようやく動き出すことになります。

なぜ2年もかかるのかというと、新制度を運用するための体制づくりが必要だからです。戸籍システムの改修、裁判所の運用ルール策定、自治体窓口での対応マニュアル整備など、関係機関が足並みを揃えて準備を進めてきました。

金額についても、法律の成立時点では「法務省令で定める」とされていました。その後、令和7年(2025年)11月に子ども1人あたり月額2万円と正式決定され、制度の全体像が固まりました。

法改正から施行までの経緯

法定養育費制度ができるまでの流れを振り返っておきましょう。

令和6年(2024年)5月17日、改正民法が国会で可決・成立しました。この法律は「父母の離婚後等の子の養育に関する見直し」を目的としたもので、法定養育費のほかにも、離婚後の共同親権や養育費債権への先取特権付与など、複数の改正が盛り込まれています。

同年5月24日に法律が公布され、施行日は「公布から2年以内」と定められました。その後、令和7年(2025年)8月に法務省が金額案を公表し、パブリックコメント(意見募集)を実施。「2万円では少ない」という声も寄せられましたが、有識者検討会での議論を経て、同年11月に月額2万円で正式決定しています。

令和8年(2026年)4月1日をもって、一連の改正民法が施行され、法定養育費制度もこの日からスタートします。

対象は施行日以降に離婚した人だけ

注意が必要なのは、法定養育費を利用できるのは施行日以降に離婚した方に限られるという点です。

令和8年3月31日以前に離婚が成立している場合、4月1日以降に「法定養育費を払ってほしい」と求めても認められません。法律の世界では「法の不遡及」という原則があり、新しい法律を過去の出来事にさかのぼって適用することは基本的にできないためです。

施行日前に離婚した方が養育費を受け取りたい場合は、元配偶者との話し合いや、家庭裁判所での調停・審判といった従来の方法を利用することになります。法定養育費という「自動的に発生する仕組み」は使えませんが、養育費を求める権利そのものがなくなるわけではありません。

お金はいつ受け取れる?支払いサイクルを確認

法定養育費の支払いサイクルは、毎月末払いと定められています。

たとえば令和8年6月分であれば、同月30日までに支払われるべきものとなります。7月分は7月31日、8月分は8月31日といった具合です。

ただし、ここで押さえておきたいのは、お金が自動的に振り込まれるわけではないということ。法定養育費はあくまで「請求できる権利」が発生する制度であり、実際にお金を受け取るには、相手に支払いを求める必要があります。

相手が素直に応じてくれれば問題ありませんが、連絡がつかない、払う気がないといったケースも想定されます。そうした場合は、強制執行などの法的手続きを検討することになります。

離婚届の「提出日」と「受理日」の違い

離婚のタイミングは、離婚届が市区町村に受理された日で判断されます。

窓口に届出を出した日と受理される日は、通常は同じです。しかし、書類に不備があった場合は補正を求められ、受理が後日になることがあります。また、夜間休日窓口に預けた届出は、翌営業日以降に審査されるため、受理日がずれることもあります。

施行日ギリギリに離婚届を出す予定の方は、余裕をもって手続きを進めてください。3月31日に届出を出したつもりが、書類の不備で4月1日受理になれば法定養育費の対象になりますが、その逆(4月1日に出したのに3月31日受理)はあり得ません。

調停や裁判離婚の場合はどうなる?

協議離婚ではなく、調停や裁判で離婚が成立するケースも多いでしょう。この場合、離婚成立日の判断基準が異なります。

調停離婚の場合、調停が成立した日が離婚成立日となります。調停成立後に届出を出しますが、届出日ではなく調停成立日が基準です。

裁判離婚(判決による離婚)の場合、判決確定日が離婚成立日となります。控訴期間が満了して判決が確定した日です。

いずれの場合も、その成立日が令和8年4月1日以降であれば、法定養育費の対象となります。現在調停中の方は、調停がいつ成立するかによって法定養育費を使えるかどうかが変わる可能性があります。

法定養育費の「発生」と「終了」

法定養育費がいつ発生し、いつ終わるのかを整理します。

発生のタイミングは、離婚成立日です。法律上、離婚届が受理された時点(または調停成立日・判決確定日)で、法定養育費の請求権が自動的に生まれます。相手に請求していなくても権利自体は発生しており、後から過去分をまとめて請求することも可能です。

終了のタイミングは、以下の3つのうち最も早いものです。

ひとつは、父母間で養育費の取り決めが成立したとき。話し合いで金額を決めれば、その時点から取り決めた額に切り替わります。

もうひとつは、家庭裁判所の審判で養育費が確定したとき。調停や審判で金額が決まれば、法定養育費は役目を終えます。

最後は、子どもが18歳に達したとき。成年年齢の引き下げに合わせて、法定養育費の終期も18歳となっています。

令和8年4月前後で変わること・変わらないこと

施行日の前後で何が変わり、何が変わらないのかをまとめます。

変わることとしては、養育費の取り決めがなくても最低限の金額を請求できるようになること、養育費債権に先取特権が付くこと、共同親権を選択できるようになることなどが挙げられます。

変わらないこととしては、養育費の相場自体は変わりません。裁判所の算定表による金額は従来どおりで、月2万円の法定養育費とは別物です。また、離婚の手続き方法(協議・調停・裁判)も変わりません。

誤解しやすいのは、「法定養育費ができたから養育費は月2万円でいい」という考え方です。これは間違いで、法定養育費はあくまで暫定的な最低保障。適正な養育費はケースによって月4〜10万円以上になることも珍しくありません。

よくある疑問をQ&A形式で解説

Q. 離婚届を令和8年4月1日に出せば確実に対象になる?

施行日当日に届出を出し、その日のうちに受理されれば対象です。ただし、窓口の混雑や書類不備で受理が翌日以降になる可能性もゼロではありません。確実を期すなら、少し日程に余裕を持たせた方が安心です。

Q. 別居はしているが離婚届はまだ出していない場合は?

離婚届が受理されるまでは、法律上は婚姻中です。法定養育費は離婚した父母を対象とした制度なので、別居中でも婚姻関係が続いている間は利用できません。婚姻費用(生活費)として請求する方法を検討してください。

Q. 相手の同意がなくても法定養育費は請求できる?

はい、請求できます。法定養育費は法律で定められた権利なので、相手の同意は不要です。ただし、相手が支払いに応じなければ、強制執行の手続きが必要になる場合があります。

Q. 金額が今後変更される可能性は?

法務省令で定められているため、省令の改正があれば金額が変わる可能性はあります。物価上昇などを踏まえた見直しが行われる可能性はありますが、現時点では具体的な改定予定は発表されていません。

まとめ:令和8年4月1日以降の離婚が対象

法定養育費制度がいつから始まるのか、ポイントを整理します。

制度の開始日は令和8年(2026年)4月1日です。この日以降に離婚届が受理された方、または調停・裁判で離婚が成立した方が対象となります。施行日より前に離婚している場合は、法定養育費を請求することはできません。

お金の受け取りサイクルは毎月末払いです。ただし、自動的に振り込まれるわけではなく、相手への請求が必要となります。相手が支払わない場合は、先取特権を活用した強制執行などの手段を検討することになります。

法定養育費の権利は離婚日から発生するため、請求が遅れても過去分をさかのぼって求めることができます。離婚直後は手続きに追われて余裕がないかもしれませんが、落ち着いてから請求しても権利は消えません。

新制度をうまく活用しながら、子どもの生活を守るための養育費をしっかり確保していきましょう。詳しいことは、自治体の相談窓口や弁護士、法テラスなどに問い合わせてください。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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