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法定養育費は何歳まで請求できる?2026年施行の新制度を徹底解説

2026.03.09 弁護士コラム

離婚後の子育てで頭を悩ませるのが、お金の問題です。「相手と話し合いができないまま離婚してしまった」「養育費の約束をしないまま別れてしまった」という方も少なくないでしょう。そんな方々に朗報となるのが、2026年4月からスタートする「法定養育費」という新しい仕組みです。

この記事を読んでいる方の多くは、「法定養育費って何歳までもらえるの?」という疑問をお持ちではないでしょうか。子どもが小さいうちはもちろん、高校生や大学生になってからも教育費はかかります。いつまで受け取れるのかは、家計を考えるうえで非常に重要なポイントです。

今回は、法定養育費の受給期間や金額、受け取るための条件など、知っておきたい情報をわかりやすくお伝えします。

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そもそも法定養育費ってどんな制度?

2026年4月に始まる法定養育費は、「養育費について何も決めていなくても、一定のお金を受け取れる」という制度です。

これまでは、離婚するときに夫婦で話し合って金額を決めるか、それができなければ家庭裁判所で決めてもらう必要がありました。でも現実には、相手が話し合いのテーブルについてくれなかったり、暴力や脅しがあって怖くて交渉できなかったりするケースも珍しくありません。その結果、何も決められないまま離婚し、養育費ゼロで子育てを続けているシングルマザー・シングルファザーが大勢いるのです。

厚生労働省の調査によると、母子家庭で養育費を受け取っている割合は3割にも満たないというデータがあります。「約束したのに払ってもらえない」というケースだけでなく、「そもそも約束すらできなかった」というケースが多いことが、この数字の背景にあります。

こうした問題を解決するために作られたのが法定養育費です。難しい手続きや交渉をしなくても、法律で決められた金額を請求できるようになります。いわば、養育費を受け取るための「最後の砦」のような役割を果たす制度といえるでしょう。

法定養育費は何歳まで受け取れる?答えは「18歳」

さて、本題の「何歳まで」という疑問にお答えします。

法定養育費を受け取れるのは、子どもが18歳の誕生日を迎えるまでです。

ただし、18歳になる前であっても、以下のどちらかに該当すれば、その時点で法定養育費は終了します。

・夫婦間で養育費の金額を正式に取り決めた場合

・裁判所の審判で養育費が確定した場合

つまり、法定養育費は「正式な養育費が決まるまでの間に受け取れるお金」という位置づけなのです。18歳という区切りは、民法改正で成人年齢が18歳になったことと連動しています。

ここで気をつけたいのは、裁判所で決める通常の養育費とは終了時期が異なるという点です。通常の養育費は原則20歳まで、大学に通うなら22歳まで受け取れることが多いのですが、法定養育費は18歳で打ち切りとなります。この違いは非常に重要ですので、覚えておいてください。

ちなみに、受給開始日や終了日が月の途中になる場合は、その月の日数で割って計算します。たとえば4月15日に離婚したなら、4月分は15日から30日までの16日分が支給される仕組みです。

毎月いくらもらえる?金額は子ども1人につき2万円

法定養育費の金額は、子ども1人あたり月2万円と決められています。

お子さんの人数によって、受け取れる総額は変わってきます。

・お子さんが1人なら、毎月2万円

・お子さんが2人なら、毎月4万円

・お子さんが3人なら、毎月6万円

正直なところ、この金額だけで子育てをまかなうのは難しいと感じる方が多いでしょう。食費、衣服代、学用品、習い事、医療費など、子どもにかかるお金は月2万円では到底足りません。実際、裁判所の算定表を使って計算した養育費は、子ども1人でも月4〜8万円程度になることが一般的です。

では、なぜこんなに低い金額なのでしょうか。それは、法定養育費があくまで「緊急避難的なお金」として設計されているからです。正式な養育費を決めるまでの間、最低限の生活を支えるためのセーフティネットという考え方なのです。

ですから、法定養育費を受け取りながら、同時に正式な養育費の交渉や調停を進めていくことが大切です。法定養育費に満足して手続きを止めてしまうと、本来もらえるはずの金額を逃してしまうことになりかねません。

誰が請求できる?受給資格をチェックしよう

法定養育費を受け取るには、いくつかの条件を満たす必要があります。一つずつ確認していきましょう。

まず、離婚した時期が重要です。この制度を使えるのは、2026年4月1日以降に離婚届を出した方だけです。法律は原則として施行日より前の出来事には適用されないため、それより前に離婚した方は対象外となります。すでに離婚している方は、従来どおり相手との交渉や裁判所での手続きで養育費を決めることになります。

次に、養育費について何も決めていないことが条件です。離婚時に「毎月○万円払う」といった約束をしている場合は、その約束が優先されます。たとえ約束した金額が2万円より少なくても、法定養育費に切り替えることはできません。口約束でも書面でも、何らかの取り決めがあれば対象外です。

そして、実際に子どもと一緒に暮らして面倒を見ていることも必要です。書類上の親権者かどうかは関係ありません。日常的に子どもの食事を作り、学校に送り出し、一緒に生活している親が請求できます。逆に言えば、子どもと別居している親は、法定養育費を支払う側になる可能性があります。

なお、結婚していないカップルの間に生まれた子どもでも、父親が認知していれば法定養育費の対象になります。

いつから請求できる?離婚日まで遡れるのがポイント

法定養育費の大きなメリットの一つが、離婚した日まで遡って請求できることです。

たとえば、2026年6月に離婚したものの、バタバタしていて請求手続きが2026年12月になってしまったとします。この場合でも、6月分から12月分までの7か月分をまとめて請求することができます。月2万円なら14万円、子どもが2人なら28万円です。

離婚直後は引っ越しや転職、子どもの転校など、やることが山積みで精神的にも余裕がないものです。「養育費のことまで考えられない」という状態になるのは自然なことでしょう。法定養育費なら後から遡って請求できるので、まずは生活を落ち着かせることを優先しても大丈夫です。

ただし、何年も放っておくと時効の問題が出てくる可能性があります。養育費の請求権は原則5年で時効にかかるとされています。生活が落ち着いたら、なるべく早めに手続きを進めることをおすすめします。

払ってもらえないときはどうする?強制回収の新ルール

「請求しても相手が払ってくれない」という事態は十分に想定されます。養育費を約束したのに払わない人が多いのですから、法定養育費でも同じことが起きる可能性は高いでしょう。そんなときのために、今回の法改正では養育費の回収をしやすくする仕組みも整えられました。

その目玉が「先取特権」というものです。聞き慣れない言葉かもしれませんが、簡単に言うと「他の借金より優先して回収できる権利」のことです。

相手がカードローンや住宅ローンなど複数の借金を抱えていると、従来は養育費の回収が後回しにされがちでした。債権者が複数いる場合、誰が先にお金を受け取れるかは法律で決まっているのですが、養育費はその優先順位が低かったのです。しかし今後は、子ども1人につき月8万円を上限として、給料や銀行口座から優先的にお金を差し押さえることができるようになります。

しかも、従来は裁判で勝訴判決をもらってから強制執行という流れでしたが、法定養育費については裁判なしでいきなり差し押さえ手続きに進むことも可能です。これにより、泣き寝入りせずに養育費を受け取れる可能性が大きく高まります。

こんな場合は請求できない!対象外となるケース

法定養育費は便利な制度ですが、誰でも使えるわけではありません。対象外となる主なケースを確認しておきましょう。

2026年3月以前に離婚が成立している場合は使えません。法律は基本的に「これから」に適用されるものであり、過去に遡って適用されることはありません。2025年に離婚した方が2026年4月以降に法定養育費を請求しても、受け付けてもらえないのです。これは厳しいルールですが、法的な安定性を保つために必要な制限です。

すでに養育費の取り決めがある場合も対象外です。口約束であっても、離婚協議書や公正証書で金額を決めていても同様です。約束があるならそちらが優先されるため、法定養育費という制度は使えません。もし約束した金額が少なすぎると感じているなら、家庭裁判所で増額の調停を申し立てるという方法があります。

子どもと別々に暮らしている場合も請求する側にはなれません。むしろ、支払いを求められる側になります。離婚後に子どもの親権を失い、元配偶者のもとで子どもが育てられている場合は、法定養育費を支払う義務を負う可能性があります。

知っておきたい注意点とよくある誤解

法定養育費について、いくつか誤解されやすいポイントがあります。制度を正しく理解するために、ここで整理しておきましょう。

「18歳まで」という終期に注意してください。裁判所で決める通常の養育費は、20歳までが基本で、大学進学なら22歳まで延長されることもあります。しかし法定養育費は18歳で打ち切りです。高校を卒業してすぐに働くお子さんなら問題ないかもしれませんが、進学を考えているなら話は別です。大学や専門学校に通う間も養育費が必要なら、法定養育費だけに頼るのではなく、早めに正式な養育費を取り決めておくことが賢明です。

「2万円で十分」とは思わないでください。繰り返しになりますが、法定養育費は最低限のセーフティネットです。塾代や部活の費用、スマートフォン代など、現代の子育てにはさまざまなお金がかかります。法定養育費を受け取りながら、調停などで適正な金額を決めていく姿勢が大切です。

「請求すれば自動的に振り込まれる」わけではありません。法律上は当然に発生する権利ですが、実際にお金を手にするには相手に請求する必要があります。相手が素直に応じなければ、強制執行の手続きを取ることになります。手続きが面倒だからといって諦めてしまわないでください。

よくある質問にお答えします

Q. 2万円じゃ足りません。もっと増やせませんか?

法定養育費の金額は法律で決まっているため、個人の事情で増額することはできません。「うちは習い事が多いから」「私立学校に通っているから」といった理由があっても、法定養育費自体を増やすことは不可能です。もっと多くの金額が必要なら、相手と話し合うか、家庭裁判所で調停・審判を行い、正式な養育費を取り決める必要があります。その場合、収入や子どもの年齢に応じて、月4〜10万円程度の金額が認められることも珍しくありません。

Q. もう離婚しているのですが、法定養育費はもらえませんか?

2026年4月1日より前に離婚が成立している場合、この制度は利用できません。法律の不遡及という原則があり、過去の出来事に新しい法律を適用することは原則としてできないのです。ただし、養育費を請求する権利自体は失われていません。今からでも相手に養育費を求めることは可能です。相手が応じてくれないなら、家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立てることができます。費用が心配な方は、法テラス(日本司法支援センター)に相談してみてください。

Q. 請求しても無視されたらどうすればいいですか?

法定養育費には先取特権があるため、相手が無視を決め込んでも泣き寝入りする必要はありません。裁判所に申し立てて、相手の給料や預金を差し押さえることができます。相手の勤務先がわかっていれば給料の一部を毎月差し押さえることができますし、銀行口座がわかっていればそこから回収することも可能です。手続きの詳細は弁護士に相談するのが確実ですが、法テラスなら無料相談を受けられる場合もあります。

Q. 法定養育費をもらったら、それ以上は請求できなくなりますか?

そんなことはありません。法定養育費を受け取りながら、同時進行で正式な養育費の交渉や調停を進めることができます。正式な金額が決まった時点で法定養育費は終了し、新しく決まった金額に切り替わります。むしろ、そうした使い方を想定して作られた制度です。法定養育費で当面の生活費を確保しつつ、じっくり交渉を進めるという戦略も有効でしょう。

まとめ:押さえておきたいポイント

法定養育費について、重要なポイントを整理しておきましょう。

受給期間は子どもが18歳になるまで、または正式な養育費が決まるまでのどちらか早い方です。金額は子ども1人につき月額2万円で、2人なら4万円、3人なら6万円となります。

利用できるのは2026年4月1日以降に離婚し、かつ養育費の取り決めがない方です。離婚した日まで遡って請求でき、相手が払わない場合は給料などを差し押さえることも可能になります。

この制度は、養育費を受け取れずに困っているひとり親家庭にとって心強い味方となるはずです。ただし、月2万円という金額は子育ての実費からすると十分とは言えません。この制度を活用しつつ、適正な養育費をしっかり確保していくことが、お子さんの将来のために重要です。

制度について不明な点があれば、市区町村の相談窓口や弁護士、法テラスなどに問い合わせてみてください。2026年4月の施行に向けて、情報収集を進めておくことをおすすめします。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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