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【現役弁護士が徹底解説!】DVによる離婚と慰謝料:知っておくべきことを解説

2024.10.03

 ドメスティックバイオレンス(DV/家庭内暴力)は、深刻な社会問題であり、被害者の心身に長期的な影響を与えるだけではなく、家庭内の問題であるため、すぐに発見されにくいという問題点があります。
 DVを理由に離婚を考えている方にとって、加害配偶者への慰謝料請求は重要な権利です。しかし、多くのDV被害者は精神的に追い詰められており、法的手続きを進めることに躊躇を感じるかもしれません。

 この記事では、DVによる離婚と慰謝料について、被害者の方々が知っておくべき重要な情報をまとめています。法的な知識を得ることで、より良い決断と行動につながることを願っています。

DVによる離婚と慰謝料請求のポイント

慰謝料請求の根拠

DVは配偶者に対する不法行為であり、被害者に精神的苦痛を与えたことによる損害賠償責任が認められます。民法709条(不法行為による損害賠償)および710条(財産以外の損害の賠償)がその法的根拠となります。

慰謝料の相場

 DVによる慰謝料の相場は、以下の要因によって大きく変動します。

  • DVの種類(身体的暴力、精神的暴力、経済的暴力など)
  • DVの頻度と期間
  • 被害の程度(けがの有無、トラウマの深刻さなど)
  • 加害者の社会的地位や経済状況

 一般的な相場としては、軽度のケースで数十万円、重度のケースで数百万円から1000万円以上となることもあります。ただし、これはあくまで目安であり、個々のケースによって大きく異なります。

証拠の重要性

 慰謝料請求を行う上で、DVの事実を証明する証拠は極めて重要です。以下のような証拠が有効です。

  1. 医療機関の診断書や治療記録
  2. 警察への通報記録や相談記録
  3. DVの様子を記録した日記やメモ
  4. 暴力の痕跡を撮影した写真
  5. 録音や録画データ(ただし、秘密録音・録画する場合は法的問題に注意)
  6. 目撃者の証言

 証拠が多ければ多いほど、慰謝料請求の成功率は高まります。

時効について

慰謝料請求権の消滅時効は、民法724条により以下のように定められています。

  • 被害者が損害および加害者を知った時から3年
  • 不法行為の時から20年

ただし、継続的なDVの場合、最後のDV行為から起算されることが多いです。

弁護士への相談

DVケースは複雑で、精神的にも負担が大きいため、弁護士に相談することを強くおすすめします。弁護士は以下のサポートを提供します:

  • 法的アドバイスと戦略立案
  • 証拠の収集と整理
  • 示談交渉
  • 裁判所での代理

多くの弁護士が初回相談を無料で行っているので、まずは相談してみることをおすすめします。

DVによる離婚と慰謝料に関するよくある質問

Q1: DVが原因で離婚した場合、必ず慰謝料をもらえるのですか?

A1: 必ずしももらえるとは限りません。DVの事実が認められ、かつ加害者に支払い能力がある場合に請求が可能です。ただし、相手が支払いを拒否した場合、裁判所を通じて、判決を取得して、強制執行する必要があるかもしれません。

Q2: DVの証拠が少なくても、慰謝料は請求できますか?

A2: 証拠が少なくても請求は可能です。ただし、証拠が少ないと慰謝料の金額が低くなったり、相手が否認した場合に立証が難しくなったりする可能性があります。弁護士と相談しながら、できる限りの証拠を集めることが重要です。

Q3: 慰謝料の金額はどのように決まるのですか?

A3: 慰謝料の金額は、以下の要素を総合的に判断して決定されます:

  • DVの種類、頻度、期間
  • 被害者の精神的・身体的苦痛の程度
  • 婚姻期間
  • 両者の年齢や社会的地位
  • 加害者の反省の態度
  • 両者の経済状況

裁判所が判断する場合は、過去の判例・裁判例も参考にされます。

Q4: 慰謝料の支払いを拒まれた場合はどうすればよいですか?

A4: 以下の段階を踏んで対応することができます。

  1. 弁護士を通じて内容証明郵便で支払いを要求する
  2. 調停を申し立てる
  3. 訴訟を提起する
  4. 判決後、強制執行の手続きを行う

ただし、相手に資産がない場合、強制執行しても回収できない可能性があります。

DV被害者のための法的手続き

保護命令の申立て

  • 接近禁止命令
  • 退去命令
  • 電話等禁止命令

離婚調停の申立て

  • 養育費、財産分与、慰謝料などを協議

離婚訴訟の提起

  • 調停が不調に終わった場合

慰謝料請求訴訟

  • 離婚訴訟と併合して行うことも可能

各手続きには細かい規則や提出書類がありますので、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

DVからの回復と自立支援

 DVからの回復には時間がかかります。以下のような支援を利用することで、回復と自立を目指すことができます。

  1. カウンセリング:トラウマケアや心理的サポート
  2. シェルター:一時的な避難場所の提供
  3. 経済的支援:生活保護や就労支援
  4. 法的支援:無料法律相談や弁護士費用の補助
  5. 子どものケア:子どものための心理ケアや学習支援

 各地域の配偶者暴力相談支援センターや女性相談所で、これらの支援についての情報を得ることができます。

DV被害に遭われた方へのメッセージ

 DVは決してあなたの責任ではありません。加害者のコントロールや支配欲、そして暴力を正当化する考え方が問題なのです。

一人で抱え込まず、信頼できる人や専門機関に相談することが、問題解決の第一歩となります。多くの支援制度や相談窓口が用意されていますので、勇気を出して行動してください。

 あなたには、暴力のない安全な生活を送る権利があります。法的な知識と適切なサポートがあれば、新しい人生を始めることができます。

まとめ

 DVによる離婚と慰謝料請求は、被害者にとって大きな決断と労力を必要とします。しかし、適切な法的知識と専門家のサポートがあれば、より良い解決策を見出すことができます。

 この記事で紹介した情報が、DVに悩む方々の一助となれば幸いです。しかし、個々のケースによって状況は大きく異なりますので、具体的な行動を起こす前に、必ず弁護士や専門機関に相談することをおすすめします。

 あなたの安全と幸せな未来のために、勇気を持って一歩を踏み出してください。多くの支援者があなたの側にいることを忘れないでください。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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