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不倫が発覚しても「離婚しない」選択をしたい人必見!慰謝料の請求方法と夫婦関係を再構築するためのポイント

2025.05.12 弁護士コラム

「不倫が発覚したら離婚」――このように考える方は少なくありません。しかし、実際にはさまざまな事情で離婚しない決断をするケースも多いのが現実です。お子さんのいる家庭では、子どもの将来を考えて踏みとどまる場合もあるでしょう。また、経済的な理由や夫婦の感情的な要因によっては、あえて婚姻関係を続けながら関係修復を試みる人もいます。

一方、不倫が事実としてある以上、裏切られた側が精神的苦痛を負ったことに対する慰謝料の請求は大きな論点となります。離婚する・しないにかかわらず、不倫が原因で受けた精神的ダメージの代償を請求することは法律上認められているのです。

本記事では、「不倫はされたけれども離婚はしない、けれど慰謝料は請求したい」という方をはじめ、今まさに不倫問題に直面している方が、どのように問題を整理し、どのように解決策を探っていけばよいのかを解説します。実際に動き始める前に理解しておきたい基礎知識や注意点を、以下の章で詳しくご紹介します。

不倫が発覚したときに考えるポイント

まずは感情を落ち着かせる

パートナーの不倫が発覚したとき、裏切られたという衝撃は非常に大きいものです。怒りや悲しみ、あるいは「もう結婚生活を続けられない」という極端な結論に飛びついてしまいがちですが、まずは自分の気持ちを整理する時間を取ることが大切です。

自分が求めるゴールを明確にする

感情的になってしまうと、自分が何を望んでいるのか見失いがちです。「相手を懲らしめたい」「ただ謝罪してほしい」「関係を修復したい」「すぐにでも離婚したい」など、思いは人それぞれでしょう。ゴールが分からないまま動き出すと、必要以上に相手と対立してしまったり、自分自身が疲弊してしまうこともあります。不倫の発覚後には、まず自分がどんな結末を望んでいるかを考えてみましょう。

専門家への相談を検討する

不倫問題では、法律や証拠の扱いなど難しい問題がつきまといます。特に、慰謝料請求をする際には、法的な証拠が重要となりますので、弁護士など専門家に相談しておくことが大切です。相談したうえで「実際に訴訟手続きを取るのか」「話し合いで解決するのか」「慰謝料はいくらが相場なのか」といった具体的な方向性を決めることができます。

不倫が原因でも離婚しない選択をする理由

子どものため

お子さんがいる場合、不倫が発覚しても「子どもの将来を考えると離婚は避けたい」という考えから、婚姻関係を継続する選択をする夫婦は少なくありません。子どもの生活環境が大きく変わることによる影響や、経済的な面を考慮し、「再構築を目指したい」という意向を持つ方が多いです。

経済的な安定を優先

共働きや一方が専業主婦(主夫)の場合でも、離婚によって大きく生活が変わります。住宅ローンや教育費などの支払い面で、いきなりの離婚は困難だと感じることもあるでしょう。また、不倫をされた側が専業主婦(主夫)であれば、仕事復帰や転職が必要になり、金銭的な負担が急増するケースもあります。このように経済的な理由から離婚を回避する選択を取る方も珍しくありません。

感情的に踏ん切りがつかない

離婚はそれまで築いてきた生活や人間関係の大きな転換点となります。特に長年連れ添った夫婦の場合、不倫という許しがたい行為があったとしても、これまでの思い出やパートナーに対する愛情が残っており、すぐに離婚という決断が下せないことも多いです。結婚生活を続けながら徐々に関係を修復することを望むケースがあり、その場合は離婚しないで慰謝料だけを請求するという選択が考えられます。

周囲の目や社会的立場を考慮する

結婚していることが仕事や社会的信用に影響する場合もあります。ビジネス上の付き合いや地域社会でのイメージを損なわないために、形式上の夫婦関係を保ちたいと考える方もいるでしょう。また、親族や友人への報告の煩わしさを避けるために、離婚を選ばないケースもあります。

不倫における慰謝料の基礎知識

不倫の慰謝料が認められる条件

不倫の慰謝料が認められるためには、**不貞行為(配偶者以外と肉体関係を持ったこと)**があったという確固たる事実が必要です。単なるデートや食事だけでは慰謝料が認められにくい場合もあります。不倫を疑う際には、証拠の収集が大切です。

慰謝料の相場

慰謝料の金額はケースバイケースで異なります。以下の要素が金額に影響を与えます。

  • 不倫期間の長さ
  • 肉体関係の頻度・継続性
  • 夫婦関係が破綻する前に不貞行為があったか
  • 離婚の有無
  • 不倫の主導者は誰か
  • 子どもへの影響

一般的には、離婚する場合は高額になりやすく、離婚しない場合は比較的低額になりやすい傾向があります。ただし、実際の金額は状況によって大きく異なるため、専門家に相談して見積もるのが望ましいでしょう。

請求権の期限

不倫による慰謝料請求には、不倫を知ってから3年以内という時効(除斥期間)があります。不倫に気づいたら、できるだけ早く対処を検討しないと請求が認められなくなる可能性があります。また、行為そのものから20年が経過すると、時効以前に不倫を知っていたかどうかにかかわらず請求が難しくなるケースがあります。

「離婚しない」と決めた場合の慰謝料請求

離婚しないでも慰謝料請求は可能

不倫があったからといって、必ずしも離婚をしなければ慰謝料請求ができないわけではありません。不倫という違法行為によって精神的な苦痛を受けた事実があれば、離婚しない場合でも慰謝料を請求する権利があります。ただし、離婚しない場合は夫婦関係が続くため、あくまでその後の生活や再構築も念頭に置いた対応が必要となります。

配偶者に対して請求するか、第三者(不倫相手)に請求するか

不倫における慰謝料請求は、配偶者に対して行う場合と不倫相手に対して行う場合があります。どちらに対しても請求は可能ですが、それぞれメリット・デメリットがあるため、状況に応じて検討することが必要です。

  • 配偶者に対する請求
    配偶者が主導していたか、あるいは不倫相手が誰であるか特定できない場合に検討します。ただし、夫婦内での金銭のやり取りとなるため、結果的に家庭の資産の動きにしかならないこともありえます。
  • 不倫相手に対する請求
    不倫相手が既婚者だと知っていながら不貞行為を続けていた場合など、故意や過失が認められるなら請求が可能です。相手の経済状況や支払い能力を考慮しないと、実際に回収できないリスクもあります。

話し合いによる示談と裁判

慰謝料請求をする場合、まずは話し合いによる示談を試みるのが一般的です。示談によってお互いが納得できる金額や支払い方法に合意できれば、長期化を防ぎ、精神的・経済的負担も抑えられます。示談がまとまらない場合は、内容証明郵便で請求書を送る、あるいは調停や裁判に進むことになります。

慰謝料の請求相手と注意点

相手によって請求の難易度が変わる

不倫の相手が誰かによって、請求の難易度が変わります。たとえば、相手が会社の同僚や友人など身近な存在だと連絡が取りやすく、示談がスムーズに進む場合があります。しかし、まったく接点のない相手や、すでにどこかへ引っ越して連絡先さえ分からない場合、請求そのものが難航する可能性があります。

逆に訴えられるリスクも

不倫相手に対して感情的になりすぎて、誹謗中傷をSNSなどで行うと、名誉毀損や侮辱罪で逆に訴えられるリスクもあります。正当な慰謝料請求をするには、冷静に法的根拠を整え、証拠をそろえてから進めることが必要です。

不倫相手がすでに離婚している・別居している場合

もし不倫相手が既婚者だったが、その後離婚や別居をしている場合、不倫に対してどの程度の責任を認められるかは事実関係によります。また、不倫相手の離婚が不倫発覚前か後かによっても話は変わってきます。いずれにしても、不倫があった事実と、こちらに発生した精神的苦痛の因果関係を立証できるかどうかが鍵となります。

離婚しない場合に起こり得るトラブルと対処法

配偶者との信頼関係の再構築

離婚しないと決めても、一度失った信頼関係の修復は容易ではありません。配偶者の不倫が原因で傷ついた心は、時間をかけてしか癒えないことがほとんどです。再構築するためには、配偶者が誠実に反省し、生活態度やコミュニケーションを改める必要があります。また、被害者側もある程度、過去を許す・受け入れるという気持ちが求められます。

金銭トラブル

慰謝料の支払い方法について、分割払いを選択する場合もあるでしょう。配偶者または不倫相手がきちんと支払いを続けるかどうか、長期的な管理が必要になります。支払いが滞った場合、話し合いや法的手続きを再度検討しなければならず、感情的な衝突が再燃する可能性もあります。

周囲との関係性

「不倫があったのに、なぜ離婚しないのか?」という周囲の声に悩まされるケースがあります。特に親族や友人が事情を知っている場合、お節介な口出しや批判を受けるかもしれません。自分たちの夫婦関係を再構築するための選択であることを理解してもらうか、それが難しければ距離を置くことも必要かもしれません。

心のケアを優先する

精神的なストレスは、夫婦間のトラブルだけでなく、職場や健康面にも悪影響を及ぼします。必要であれば、カウンセリングやメンタルクリニックを利用して、自分自身の心をケアしましょう。不倫問題は長期戦になることも多いため、専門家のサポートを受けることが大切です。

離婚しないで再構築を目指すうえで大切なこと

お互いのコミュニケーションを見直す

不倫の背後には、夫婦間のコミュニケーション不足やセックスレス、価値観の相違などが隠れていることがあります。離婚しないで再構築を目指すのであれば、なぜ不倫が起きたのかについて話し合い、お互いがどうすれば問題を解決できるかを考える必要があります。定期的な夫婦の対話やカウンセリングを活用するのも一つの方法です。

親族・友人への情報開示は慎重に

不倫の事実を周囲に知られたくない場合、あえて黙っている方も少なくありません。一方で、相談できる相手がいないことで精神的につらさを抱え込む人もいます。親族や友人への報告をどうするかは慎重に判断しましょう。信頼できる人にだけ相談し、感情面のサポートを受けるのも大切です。

法的手続きは適切なタイミングで行う

慰謝料請求をはじめとする法的手続きは、タイミングを間違えると夫婦間の感情的対立を深める可能性があります。しかし、時効などの期限もあるため、あまりにも先延ばしにすると請求が難しくなるリスクがあります。離婚はしないと決めた場合でも、慰謝料を請求するのであれば早めに動く必要があるでしょう。

将来的に離婚を考えることも視野に

「離婚しない」と一度決めても、再構築が思うように進まなかったり、不倫が繰り返されたりする場合には、将来的に離婚を検討する可能性もあります。そうなったときに備えて、夫婦の財産状況や証拠などを整理しておくことは、いざというときに役立ちます。

まとめ

不倫は、夫婦の信頼関係を大きく揺るがす重大な問題です。裏切られた側のショックは計り知れず、多くの人が「離婚」という選択肢をまず頭に浮かべるでしょう。しかし実際には、経済的な事情や子どものため、あるいは感情的な迷いや愛情が残っているなど、さまざまな理由で離婚しないという決断を下す方も少なくありません。

離婚しないと決めたとしても、不倫によって受けた精神的ダメージがあれば慰謝料の請求は法律で認められています。配偶者に対して行うか、不倫相手に対して行うか、あるいは両方に請求するかはケースバイケースです。金額も状況によって変わり、離婚しない場合は比較的低額になりやすい傾向がありますが、正当な金額を得るためには証拠収集や法的知識が欠かせません。

実際に手続きを進める際には、弁護士など専門家に相談するのが望ましいでしょう。示談で解決できれば時間と費用を節約できますが、話し合いがまとまらないときは調停や裁判も視野に入れなければなりません。また、一度失った信頼関係を修復するためには、双方の誠実な努力と話し合いが重要です。カウンセリングを受けたり、周囲に頼れる人がいれば相談するなど、精神的なサポートを得ることも大切です。

最後に、離婚しないと決めたとしても、今後の状況次第で離婚を検討する局面が訪れるかもしれません。いざというときに慌てないためにも、日頃からお互いの財産状況や不倫の証拠、やり取りの履歴などを整理しておくとよいでしょう。どのような選択をとるにせよ、あなた自身の気持ちを最優先に考え、冷静な判断を下せるよう準備を整えることが大切です。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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