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自己破産したら何を失う?失うもの・残るものを徹底解説【保存版】

2025.09.26 弁護士コラム

自己破産と聞くと「家も財産も職も全部なくなるんじゃないか」と想像する人は多いです。ドラマやニュースでは「人生の転落」のように描かれることが多いため、恐怖心を抱くのも無理はありません。

しかし、実際の自己破産は国が用意した「生活再建のための制度」です。確かに失うものはありますが、生活を守るために残されるものも数多くあります。自己破産=人生の終わりではなく、再出発のための仕組みなのです。

この記事では「自己破産したら何を失うのか」を正面から解説しつつ、「失わないもの」「守られるもの」までバランスよく整理します。

自己破産で失うもの

自己破産で失うのは、資産価値がある財産です。債権者に分配するため、一定以上の価値を持つものは処分対象となります。

  • 自宅や土地などの不動産
  • 高価な車やバイク
  • 20万円を超える預貯金や現金(ただし99万円までは残せる)
  • 解約返戻金のある保険(20万円以上の場合は解約対象)
  • ブランド品や貴金属など換金性の高いもの

これらは「財産を換金して債権者に分配する」というルールに基づいて処分されると理解すると分かりやすいです。

自己破産でも失わないもの

一方で、生活を維持するために残される財産もあります。ここを知っておくと「全てを失うわけではない」と安心できるはずです。

分類失わない具体例理由
家具・家電冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・エアコン・ベッド日常生活に必要なため
衣服・生活用品衣服・布団・食器など最低限の生活維持に必要
現金最大99万円まで生活費として残すことが法律で認められている
車・バイク古くて資産価値が低いもの換金価値が乏しいため処分されない場合が多い
差押禁止財産年金・生活保護費法律で守られている収入

自己破産は「全財産を没収」ではなく、「生活必需品は残す」制度です。

仕事や資格に関する制限

自己破産をすると、ほとんどの仕事はそのまま続けられます。会社員、公務員、パートやアルバイトは影響を受けません。

ただし、一部の職業や資格は免責許可が出るまで制限されます。

職種・資格制限内容
弁護士・司法書士・税理士など士業登録が一時的に制限される
宅地建物取引士登録・従事が制限される
警備員就業が制限される
保険募集人登録・従事が制限される
会社役員(取締役など)就任が制限される

いずれも免責許可が出れば制限は解除されます。つまり「資格や職業を永久に失う」わけではありません。

信用情報と金融サービスの制限

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト入り」です。

この期間は5〜10年ほど。新しくローンを組むことやクレジットカードを作ることは難しくなります。携帯電話の端末購入を分割払いする場合なども影響を受けます。ただし、記録は一定期間で消えるため、その後は再び利用できるようになります。

免責後の数年間は「現金主義」で生活を安定させ、信用を積み直す期間と考えるのが現実的です。

人間関係や日常生活はどうなる?

自己破産をすると「家族や職場に知られて人間関係を失うのでは」と不安に思う人もいます。

官報には破産の事実が掲載されますが、一般の人が目にすることはほとんどありません。弁護士に依頼すれば職場に通知が行くこともなく、基本的には会社に知られることもありません。

ただし、保証人がついている借金は免責されても保証人に支払い義務が残るため、関係が悪化する可能性があります。ここは事前に誠実に説明することが大切です。

自己破産で「失わない権利」

自己破産をしても、社会的な基本権利や日常生活に直結する権利は失われません。

  • 戸籍や住民票に「破産者」と記載されることはない
  • 選挙権などの基本的人権はそのまま保持される
  • 健康保険や年金の加入資格は維持される
  • 公務員としての身分は失われない
  • 家族と暮らす権利や日常生活そのものは守られる

つまり、自己破産で失うのは「資産価値のある財産」や「一定期間の信用」だけであり、人としての権利や生活の基盤までは奪われないのです。

まとめ:失うものと残るものを正しく理解して前へ進む

自己破産で失うのは、自宅や高価な車、一定以上の現金や預金、換金価値のある財産。そして数年間の信用情報。しかし、失わないものの方が実際には多く、生活必需品や人としての権利、働くこと、家族との日常は守られます。

大切なのは「失うものばかりに目を向けない」こと。自己破産は人生を終わらせる制度ではなく、借金に縛られた暮らしを断ち切り、もう一度立ち上がるための制度です。失うものと残るものを正しく理解し、再出発のきっかけにしてください。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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