痴漢で逮捕されたらどうする?|一人で悩まず、早めの弁護士相談がカギ
通勤電車や混雑した駅で、突然「この人に触られました」と言われ、そのまま駅員室に連れて行かれる――。もし自分がそんな状況に置かれたら、誰だってパニックになります。
「身に覚えがないのに、なぜ?」
「家族や会社に知られたらどうしよう」
「このまま犯罪者にされてしまうのでは?」
頭の中は不安と恐怖でいっぱいになり、冷静に考える余裕なんてなくなってしまいます。でも実は、痴漢で逮捕された直後の行動次第で、その後の人生が大きく変わってしまうんです。
この記事では、痴漢で逮捕されたときの流れやリスク、やってはいけないこと、そして弁護士に相談するメリットを、できるだけわかりやすく解説していきます。「もしも」の時に備えて、ぜひ知っておいてください。
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痴漢で逮捕されたときの流れ
痴漢事件は被害者の訴えをきっかけに動くことがほとんどです。逮捕から裁判に至るまでの流れをもう少し詳しく見てみましょう。
逮捕の瞬間
多くの場合、電車内や駅のホームで被害を訴えられ、その場で取り押さえられます。駅員室に連れて行かれ、警察官が来て現行犯逮捕という流れです。無実であっても、その時点で否定してもなかなか信じてもらえないこともあります。
警察での取り調べ
警察署に連れて行かれると、まず身元確認が行われ、その後すぐに取り調べが始まります。警察官は「どうしてやったんですか?」「なぜ触ったんですか?」と誘導的な質問を投げかけることもあります。ここでの答え方次第で、その後の展開が大きく変わるため非常に重要です。
勾留の可能性
逮捕されてから最長72時間、身柄を拘束されることになります。その後、検察官が勾留請求を行い、裁判所が認めれば10日間、さらに延長されれば合計20日間も拘束される可能性があります。会社員であれば仕事を長期間休むことになり、その間に職場に逮捕の事実が伝わるケースもあります。
起訴・不起訴の判断
検察官が最終的に「裁判にかけるかどうか」を決めます。不起訴となれば前科はつきませんが、起訴されて有罪となれば前科がつき、社会生活に大きな影響を与えます。
痴漢で逮捕されたときに起こるリスク
痴漢で逮捕されることのリスクは「刑罰」だけではありません。社会的な立場や信用を失うことが最大の問題になることもあります。
法律的なリスク
痴漢行為は多くの場合「都道府県の迷惑防止条例違反」として処罰されます。初犯でも罰金や懲役刑が科される可能性がありますし、再犯ならより厳しい処分になります。
社会的信用の失墜
逮捕の事実が会社に伝わると、懲戒解雇や依願退職に追い込まれる人も少なくありません。たとえ不起訴になっても「痴漢で逮捕された」という事実だけで社会的な評価が下がってしまいます。
家族や周囲への影響
配偶者や子どもがいる場合、「家族が痴漢で逮捕された」と知られることで、家庭生活が壊れてしまうケースもあります。
前科がつくリスク
起訴されて有罪が確定すれば「前科」となり、就職・転職、さらには海外渡航などにも影響を及ぼします。
逮捕直後にやってはいけないこと
逮捕直後は混乱して冷静さを失いがちですが、間違った行動を取ると状況がさらに悪化してしまいます。
- 「やりました」と認めてしまうこと
無実であっても、警察の厳しい追及に押されて「やったかもしれません」と言ってしまう人もいます。しかし一度調書に残ると、裁判で覆すのは極めて困難です。 - 家族や会社に相談せず一人で抱え込むこと
「迷惑をかけたくない」と思って黙っていると、かえって状況を悪化させてしまいます。 - 警察や検察の誘導にそのまま答えてしまうこと
「ここにサインしてください」と言われて、内容をよく確認せずに署名するのは危険です。後で「あなたが認めた」という証拠にされてしまいます。
弁護士に相談するメリット
痴漢事件に巻き込まれたとき、最も心強い味方が弁護士です。実際にどんな助けになるのか、もう少し掘り下げてみます。
早期釈放につながる
弁護士は勾留を防ぐために意見書を提出したり、裁判所に働きかけたりすることができます。これによって「自宅に戻れる可能性」が高まります。
示談交渉を任せられる
被害者との示談は本人や家族がやるのは難しいですが、弁護士が代理人として誠実に交渉すれば、早期の解決や不起訴につながることもあります。
取調べへのアドバイス
「何を話して、何を話さないべきか」を教えてくれるのも大きなメリットです。警察のペースに流されず、自分を守ることができます。
社会的ダメージを減らす
会社や学校に伝わる前に動くことで、処分を軽減できる可能性があります。
実際の事例から学ぶ
ここでは、実際にあったケースをいくつか紹介します。
- ケースA:冤罪で逮捕された会社員
通勤電車で痴漢を疑われ逮捕。弁護士が防犯カメラ映像を提出し、不起訴処分に。会社に復帰できた。 - ケースB:一時的な出来心で逮捕された学生
弁護士が被害者と示談を成立させ、不起訴処分に。大学生活を続けることができた。 - ケースC:社会的信用を失いかけたケース
報道はされなかったが会社に伝わり、懲戒解雇の危機。弁護士が会社と交渉し、処分を軽減できた。
こうした事例からも、弁護士が関わるかどうかで人生が大きく左右されることがわかります。
まとめ:一人で悩まず、まず弁護士に相談を
痴漢で逮捕されたら、何よりも大事なのは「一人で悩まないこと」です。逮捕されてからの数日間は本当に勝負で、この短い時間にどう動くかで結果が大きく変わります。
無実を証明するためにも、あるいは起きてしまった事実と向き合うためにも、弁護士の存在は欠かせません。焦りや不安で何も考えられなくなるかもしれませんが、そんなときこそ専門家に頼ることがあなたを守る一番の方法です。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。