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法定養育費は施行前に離婚した人も使える?対象外でも養育費を受け取る方法を解説

2026.03.11 弁護士コラム

2026年4月から始まる法定養育費という新制度をご存じでしょうか。養育費の約束をしていなくても月2万円を請求できるというこの制度、ひとり親家庭にとっては心強い味方になりそうです。

しかし、ここで気になるのが「すでに離婚している自分は対象になるの?」という点ではないでしょうか。結論から言うと、2026年4月より前に離婚した方は、残念ながら法定養育費を利用することができません。

とはいえ、諦める必要はありません。施行前に離婚していても、養育費を受け取る権利がなくなったわけではないのです。この記事では、法定養育費の対象外となる方がどうすれば養育費を確保できるのか、具体的な方法をお伝えしていきます。

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法定養育費は2026年4月1日以降の離婚が対象

まず、法定養育費がどのような制度なのかを簡単に整理しておきましょう。

法定養育費とは、離婚のときに養育費について何も決めていなくても、子ども1人につき月額2万円を相手に請求できるという制度です。2024年5月に成立した改正民法に盛り込まれ、2026年4月1日にスタートします。

この制度のポイントは、話し合いや裁判所での手続きなしに、法律の力で自動的に請求権が発生するという点にあります。相手と交渉するのが怖い、連絡を取りたくないという方でも、最低限のお金を確保できる道が開かれたわけです。

ところが、この制度には大きな制限があります。それが「施行日以降に離婚した場合のみ対象」というルールです。

法律というものは基本的に、施行された日より後の出来事に適用されます。過去に遡って効力を持たせることは、法的安定性を損なうため認められていません。そのため、2026年3月31日までに離婚届を出した方は、どれだけ養育費に困っていても法定養育費を請求することができないのです。

なぜ施行前の離婚は対象外なのか

「不公平じゃないか」と感じる方もいるでしょう。すでに離婚して養育費をもらえずに苦労している人こそ、この制度を必要としているはずです。

しかし、法律の世界には「法の不遡及」という原則があります。新しく作られたルールを過去の出来事に適用しないという考え方です。

もし法定養育費が過去の離婚にも適用されるとしたら、何が起きるでしょうか。10年前に離婚した人が突然「過去10年分の法定養育費を払え」と請求できることになります。払う側からすれば、当時そんなルールは存在しなかったのに、後から多額の支払いを求められることになり、あまりにも予測不能な事態を招きます。

こうした混乱を避けるために、新制度は施行日以降の離婚に限定されているのです。厳しい現実ではありますが、法的な安定性を保つためにはやむを得ない線引きといえます。

施行前離婚でも養育費を請求する権利は残っている

ここからが重要です。法定養育費が使えないからといって、養育費をもらう道が完全に閉ざされたわけではありません。

そもそも養育費とは、親が子どもに対して負っている扶養義務に基づくものです。民法877条には「直系血族は互いに扶養する義務がある」と定められており、この義務は離婚しても消えません。離婚して親権を失ったとしても、子どもの親であることに変わりはないからです。

つまり、法定養育費という「新しい制度」が使えなくても、「従来からある養育費請求の権利」はそのまま残っています。これまで養育費を受け取っていなかった方も、今からでも請求を始めることは十分に可能なのです。

今からでもできる養育費請求の方法

施行前に離婚した方が養育費を確保するには、従来どおりの方法を使うことになります。大きく分けて3つのステップがあります。

まずは相手との直接交渉です。電話やメール、手紙などで連絡を取り、養育費について話し合います。「今さら連絡するのは気が引ける」と思うかもしれませんが、子どものためと割り切って一歩を踏み出すことが大切です。金額は裁判所が公開している「養育費算定表」を参考にすると、お互いの収入に応じた妥当な金額を導き出せます。

相手が話し合いに応じない、あるいは金額で折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停とは、調停委員という第三者を間に挟んで話し合う手続きです。直接顔を合わせずに進めることもでき、相手と会いたくない方でも利用しやすい仕組みになっています。

調停でも合意に至らなければ、審判という手続きに移行します。審判では裁判官が双方の事情を聴いたうえで、養育費の金額を決定します。この決定には法的な強制力があり、相手が従わなければ給料や預金を差し押さえることも可能です。

養育費請求調停の具体的な流れ

家庭裁判所での調停と聞くと、難しそうに感じるかもしれません。ここでは実際の流れを説明します。

最初に、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出します。申立書は裁判所の窓口でもらえますし、裁判所のウェブサイトからダウンロードすることもできます。必要な書類は申立書のほか、戸籍謄本や収入を証明する書類などです。申立てにかかる費用は収入印紙1,200円と郵便切手代程度で、それほど高額ではありません。

申立てが受理されると、1〜2か月後に第1回の調停期日が指定されます。調停は平日に行われることがほとんどで、1回あたり2時間程度です。調停委員が交互に双方の話を聴く形式なので、相手と同じ部屋で向き合う必要はありません。

話し合いがまとまれば調停成立となり、合意内容が調停調書という書面に記録されます。この調書は裁判の判決と同じ効力を持つため、相手が約束を守らなければ強制執行が可能です。

過去の養育費は請求できる?遡及請求の現実

「離婚してから何年も経っているけど、過去の分も請求できるの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。

残念ながら、過去に遡って養育費を請求することは難しいのが現実です。調停や審判で認められるのは、基本的に「請求した時点から将来に向かっての養育費」です。離婚時に遡って全額を払えという主張は、特別な事情がない限り認められにくいと考えてください。

ただし、相手との交渉次第では、過去の一定期間分について支払いに同意してもらえることもあります。また、以前に養育費の約束をしていたのに支払われていないというケースでは、未払い分を請求することは可能です。

いずれにしても、請求を先延ばしにすればするほど、受け取れるはずだったお金が減っていきます。「いつか請求しよう」と思っているなら、できるだけ早く行動に移すことをおすすめします。

施行後に使える新制度の恩恵は受けられる?

2026年4月の民法改正では、法定養育費以外にもいくつかの新制度が導入されます。施行前に離婚した方でも、一部の恩恵を受けられる可能性があります。

まず注目したいのが「養育費に関する先取特権」です。これは養育費を他の借金より優先して回収できる権利のことで、子ども1人につき月8万円を上限に認められます。この先取特権は、施行後に養育費の取り決めをした場合にも適用される見込みです。つまり、今は養育費をもらっていなくても、施行後に調停などで正式に取り決めれば、回収しやすくなる可能性があります。

また、強制執行の手続きも簡素化されます。これまでは相手の財産を調べるのが大変でしたが、改正後は裁判所を通じて市区町村や金融機関に情報開示を求めることができるようになります。相手の勤務先や銀行口座がわからなくて困っていた方には朗報です。

これらの新制度を活用するためにも、まずは養育費の取り決めを正式に行っておくことが重要です。

これから離婚を考えている人は施行を待つべき?

現在離婚を検討中の方のなかには、「法定養育費が始まる2026年4月まで待った方がいいのでは」と考える方もいるかもしれません。

確かに、施行後に離婚すれば法定養育費を利用できます。養育費の話し合いがまとまらなくても、とりあえず月2万円は確保できるわけです。そういう意味では、施行を待つメリットはあります。

しかし、物事はそう単純ではありません。離婚を先延ばしにすることで、別居期間が長引いたり、精神的な負担が増したりするかもしれません。DVやモラハラがある場合は、一刻も早く離れることが最優先です。

また、法定養育費の金額は月2万円にすぎません。きちんと交渉すれば、通常の養育費はこれよりずっと高額になることがほとんどです。施行前に離婚しても、しっかり取り決めをすれば法定養育費より多くの金額を受け取れる可能性が高いのです。

結局のところ、離婚のタイミングは法定養育費だけで決めるべきではありません。ご自身の状況や子どもの環境を総合的に考えて判断してください。迷ったときは弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

養育費を確実に受け取るためのポイント

施行前離婚の方が養育費を確保するために、押さえておきたいポイントをまとめます。

取り決めは必ず書面に残してください。口約束だけでは、後から「そんな約束はしていない」と言われるリスクがあります。できれば公正証書にしておくと、支払いが滞ったときに裁判なしで強制執行できるようになります。公証役場で作成でき、費用は数万円程度です。

金額や支払期間は具体的に定めましょう。「子どもが大きくなるまで」のような曖昧な表現ではなく、「20歳になる月まで」「22歳の3月まで」のように明確にします。支払日も「毎月末日」「毎月25日」など特定しておくと、遅延があったときに対処しやすくなります。

相手の連絡先や勤務先は把握しておきましょう。支払いが止まったときに連絡が取れなくなると、強制執行の手続きが難しくなります。住所や職場が変わったときは教えてもらう約束をしておくと安心です。

よくある質問にお答えします

Q. 5年前に離婚して一度も養育費をもらっていません。今からでも請求できますか?

請求すること自体は可能です。養育費の取り決めをしていない場合、請求権に時効はありません。ただし、過去5年分をまとめて払ってもらうことは難しく、基本的には請求した時点以降の養育費が対象となります。まずは相手に連絡を取って話し合うか、家庭裁判所に調停を申し立ててください。

Q. 相手の居場所がわかりません。どうすればいいですか?

弁護士に依頼すれば、住民票や戸籍の附票を取得して現住所を調べることができます。また、調停を申し立てる際に相手の住所がわからない場合は、裁判所に相談すれば対応方法を教えてもらえます。2026年4月以降は、裁判所を通じて相手の勤務先情報を取得しやすくなる予定です。

Q. 離婚時に「養育費はいらない」と言ってしまいました。今から請求できますか?

養育費を受け取る権利は子どものものであり、親が勝手に放棄することはできないとされています。そのため、当時「いらない」と言っていたとしても、今から請求することは可能です。ただし、相手が「約束したじゃないか」と抵抗してくる可能性はあります。話し合いで解決しなければ、調停を利用しましょう。

まとめ

この記事では、法定養育費の施行前に離婚した方がどうすれば養育費を確保できるのかを解説してきました。

重要なポイントを振り返っておきましょう。法定養育費は2026年4月1日以降に離婚した方のみが対象であり、それ以前に離婚した方は利用できません。しかし、養育費を請求する権利自体は法定養育費とは関係なく存在しています。相手との交渉や家庭裁判所での調停・審判を通じて、今からでも養育費を受け取ることは可能です。

むしろ、きちんと手続きを踏めば、法定養育費の月2万円よりも高額な養育費を獲得できる可能性が高いのです。「法定養育費が使えないから」と諦めるのではなく、従来の方法でしっかり請求していきましょう。

養育費は子どもの成長を支える大切なお金です。一人で悩まず、法テラスや市区町村の相談窓口、弁護士などの力を借りながら、できることから始めてみてください。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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