自己破産すると携帯電話はどうなる?使い続ける条件・強制解約のケース・破産後の新規契約まで解説
自己破産を検討するうえで、非常に多くの方が真っ先に気にするのが携帯電話への影響です。仕事の連絡、家族とのやり取り、各種アプリの利用など、スマートフォンは現代の生活基盤そのものと言えます。自己破産をしたら携帯が使えなくなるのではないかという不安から、手続きに踏み切れない方もいるのではないでしょうか。
結論から言えば、自己破産をしても携帯電話の利用そのものが法律で禁止されるわけではありません。端末代金の分割払いが完済済みで、通信料金についても滞納がなければ、今使っているスマートフォンをそのまま使い続けられるケースが大半です。ただし、分割払いの残債がある場合や料金を滞納している場合は強制解約のリスクがあり、破産後は端末の分割購入ができなくなるという制約も生じます。
この記事では、自己破産が携帯電話に及ぼす具体的な影響を場面ごとに整理し、強制解約を避けるための事前準備から、破産後に新規契約する際の注意点や格安SIMの活用法までを解説します。
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携帯電話をそのまま使い続けられるケース
自己破産後も問題なく携帯電話を使い続けるには、3つの条件を満たしている必要があります。まず、端末代金の分割払いがすでに完済していること。次に、通信料金(基本料金、通話料、パケット通信費など)に未払いや滞納がないこと。そして、端末本体の時価が20万円を超えていないことです。
この3つが揃っていれば、携帯電話会社は債権者に該当しないため、自己破産の手続きに携帯電話会社が関与することはありません。通信料金は光熱費と同様に日常生活に不可欠な費用とみなされるため、破産手続き中も継続して支払うことが認められています。つまり、滞納なく毎月きちんと支払いを続けている方であれば、自己破産を理由に携帯電話会社から回線を止められたり、解約を求められたりすることは基本的にないのです。
また、スマートフォン端末そのものが破産手続きで没収される心配もほとんどありません。自己破産で処分の対象になるのは、時価20万円を超える生活必需品以外の財産です。中古のスマートフォンが20万円を超える価値を持つことは稀ですし、仮に購入時に10万円以上した端末であっても、使用に伴う価値の目減りにより処分対象にはならないのが通常です。
強制解約になる3つのパターン
端末代金の分割払いが残っている場合
最も多いケースが、スマートフォンの端末代金を分割払いで購入し、まだ支払いが完了していない場合です。端末の分割払いは法的にはローン契約と同じ扱いになるため、残債務がある状態で自己破産をすると、携帯電話会社を債権者として裁判所に申告しなければなりません。他の借金と同様に、すべての債権者を漏れなく申告する義務があり、携帯電話会社だけを除外することはできません。
弁護士から受任通知が送られると、携帯電話会社は利用規約に基づいて回線契約を強制解約します。分割払いの残債は免責の対象となるため支払う必要はなくなりますが、その代償として携帯電話が使えなくなるのです。近年はスマートフォンの端末価格が高騰しており、10万円を超える機種を24回や48回の分割で購入するケースが増えているため、この問題に直面する方は少なくありません。
なお、端末本体が携帯電話会社に回収されることは通常ありません。自動車ローンなどでは所有権留保の特約があるため返済が滞ると車が引き上げられますが、携帯端末の割賦契約には一般的に所有権留保の条項が設けられていないため、強制解約後も端末そのものは手元に残ります。Wi-Fi環境があれば、SIMカードなしの状態でもアプリやインターネットの利用は可能です。
通信料金を滞納している場合
月々の通信料金に未払いがある場合も、携帯電話会社は債権者として扱われます。滞納している通信料金は免責の対象になりますが、携帯電話会社としては未回収の料金を抱えたまま契約を継続するメリットがないため、やはり強制解約に至ります。
強制解約されると、その携帯電話会社の社内記録に不払いの事実が残り、同じ会社での新規契約が将来にわたって困難になる場合があります(いわゆる社内ブラック)。また、料金の不払い情報はTCA(一般社団法人電気通信事業者協会)やTELESA(一般社団法人テレコムサービス協会)を通じて携帯電話会社間で共有されます。TCAには大手キャリアをはじめ多数の通信事業者が加盟しており、1社で不払いによる強制解約を受けると、他社での新規契約にも影響が及ぶ可能性があります。ただし、自己破産により免責が確定した場合は、この不払者情報の共有対象から除外されるとされているため、免責確定後は新規契約のハードルが下がります。
キャリア決済の未払いがある場合
見落としがちなのがキャリア決済の残高です。d払い、au PAY、ソフトバンクまとめて支払いなど、携帯料金と合算して請求されるサービスの未払いがある場合も、携帯電話会社が債権者になります。キャリア決済はクレジットカードの一括払いと同じ機能を持つため、弁護士に依頼した時点で残高があれば債権者一覧表に記載が必要です。携帯料金の一部という感覚で弁護士への申告を忘れやすい項目ですので、必ず利用明細を確認してください。キャリア決済の未払い額だけで強制解約になるケースも実際にあります。
強制解約を避けるための事前準備
携帯電話を使い続けたいのであれば、自己破産の手続きに入る前に以下の準備を進めておくことが重要です。これらの対策は弁護士に依頼する前の段階で着手する必要があるため、早い段階で意識しておいてください。
第一に、端末代金の分割払いを完済しておくことです。残債が少額であれば、破産手続きを開始する前に一括で支払ってしまうことで、携帯電話会社を債権者から外すことができます。ただし、他の債権者への返済を止めている状態で携帯代だけを優先的に支払う行為は偏頗弁済に該当する可能性があるため注意が必要です。弁護士に相談のうえ、支払いのタイミングと方法を慎重に判断してください。
第二に、支払い方法の見直しです。通信料金をクレジットカード払いにしている場合、自己破産によりカードが利用停止になると料金の引き落としができなくなり、結果として滞納が発生してしまいます。滞納が生じれば強制解約の原因になりますので、弁護士に依頼する前の段階で口座振替やコンビニ払いへの変更手続きを済ませておきましょう。カード停止から引き落とし失敗までのタイムラグは短い場合もあるため、早めの対応が肝心です。
第三に、キャリア決済の利用を停止することです。破産手続き開始後にキャリア決済で買い物をすると、返済するつもりのない債務を新たに作ったと見なされ、免責不許可事由に該当するおそれがあります。弁護士に依頼した時点でキャリア決済は一切使わないようにしてください。同様に、スマートフォンに入っている電子マネーへのクレジットカードからのチャージも、破産直前に行うと財産隠しを疑われる可能性があるため避けるべきです。
第四に、ファミリー契約の確認です。自分が主契約者になっていて家族の回線もまとめて契約している場合、主契約者が強制解約されると家族全員の回線が使えなくなる可能性があります。家族割引のプランでまとめている場合は、契約形態によっては家族の回線に影響が出ないこともありますが、主回線に紐づく子回線という形式であれば連動して停止するリスクがあります。自己破産前に、家族の回線を別名義に切り替えておくか、家族が独自に契約し直す対応を取っておきましょう。逆に、自分が家族の主契約者の子回線として利用している場合は、主契約者の信用に影響しないため問題ありません。
自己破産後に携帯電話を新規契約する方法
自己破産後であっても、携帯電話の回線契約そのものは可能です。免責が確定していれば不払者情報の共有対象から外れるため、新規の回線契約を拒否される理由は原則としてなくなります。ただし、強制解約された携帯電話会社と同じ会社に申し込む場合は、社内の記録を理由に審査が通らないことがあります。その場合は別の携帯電話会社で契約するのが現実的です。また、一部の携帯電話会社では、新規契約時に預託金(デポジット)の支払いを求められることがあります。預託金は通常5〜10万円程度で、解約時に返還されますが、契約時にまとまった出費が発生する点は頭に入れておいてください。預託金が不要な会社も多いので、複数の携帯電話会社を比較検討するとよいでしょう。
大きな制約となるのは、端末の分割購入ができなくなることです。自己破産をすると信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に事故情報が5〜7年程度登録されるため、端末代金の分割審査に通りません。携帯電話会社は端末の分割契約時に信用情報を照会するため、ブラックリスト状態では審査落ちがほぼ確実です。新しいスマートフォンが必要な場合は、一括で購入できる価格帯の端末を選ぶか、中古端末を利用することになります。SIMフリーの中古端末であれば1〜3万円程度で入手でき、日常的な使用には十分な性能のものが多く流通しています。フリマアプリや中古ショップで状態の良い端末を探すのも有効な方法です。
そのほか、家族名義で契約してもらう方法も有効です。家族がブラックリスト状態でなければ、家族名義で端末の分割払いも含めた契約が可能です。自己破産の影響はあくまで本人に限られるため、家族の信用情報には影響しません。プリペイドSIMを活用するという選択肢もあります。プリペイドSIMは審査不要で購入できるため、破産直後にどうしても携帯電話が必要な場面では有力な手段になります。
格安SIMという選択肢
自己破産後の携帯電話契約で特に有力な選択肢となるのが、格安SIM(MVNO)です。大手キャリアと比較して月額料金が大幅に安く、月々1,000〜3,000円程度で利用できるプランが豊富に揃っています。端末の持ち込み契約が基本であるため、分割払いの審査が不要なケースが多い点もメリットです。
格安SIM事業者の中には、TCAに加入しておらず、不払者情報の共有ネットワークに参加していない会社もあります。大手キャリアで強制解約された経歴があっても、こうした事業者であれば新規契約できる可能性が高まります。事前にTCA加盟の有無を確認しておくとよいでしょう。
ただし、注意点もあります。格安SIM事業者の中には支払い方法がクレジットカード払いのみに限定されているところがあり、破産後にカードが作れない期間は契約が難しくなります。口座振替やデビットカード払いに対応している事業者を選ぶことが重要です。また、大手キャリアと比べて通信速度が混雑時間帯に低下しやすい、実店舗でのサポートが受けにくいといった面もあるため、自分の利用スタイルに合うかどうかを事前に確認してください。なお、破産前に大手キャリアから格安SIMに乗り換えておくことは、月々の固定費を下げて生活再建に役立てるという意味でも有効な選択肢です。
まとめ
自己破産をしても、端末の分割払いが完済済みで通信料金の滞納がなければ、今の携帯電話をそのまま使い続けることができます。携帯電話の利用が法律上禁止されるわけではなく、端末が没収されることもまずありません。強制解約のリスクがあるのは、分割払いの残債がある場合、通信料金を滞納している場合、キャリア決済の未払いがある場合の3パターンです。
事前に分割払いの完済、支払い方法の変更、キャリア決済の停止、ファミリー契約の整理を済ませておくことで、携帯電話を守りながら自己破産の手続きを進めることが可能です。万が一強制解約になった場合でも、免責確定後であれば新規の回線契約は可能ですので、携帯電話が永久に使えなくなるわけではありません。破産後は端末の分割購入が5〜7年程度利用できないため、中古端末の活用や格安SIMへの切り替えを検討してください。携帯電話の問題は弁護士に事前に伝えておけば、契約状況に応じた最適な対応策を提案してもらえます。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。