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自己破産すると車はどうなる?残せるケース・失うケースをパターン別に解説

2026.03.28 弁護士コラム

自己破産を考えるとき、「車を手放さなければならないのか」は多くの方が真っ先に気にするポイントです。通勤や買い物、子どもの送迎に車が欠かせない生活を送っていれば、なおさら不安は大きいでしょう。

結論から言えば、自己破産をしたからといって全員が必ず車を失うわけではありません。ローンの有無、車の査定額、名義の状態によって結果は大きく変わります。条件次第では、今の車をそのまま乗り続けられるケースも珍しくないのです。

この記事では、自己破産と車の関係をローン残債あり・なしの両面から整理し、車を残すための正当な方法と、やってはいけないNG行為、さらに破産後の車の持ち方まで網羅的にお伝えします。自己破産を検討している方はもちろん、すでに弁護士に相談を始めている方にも参考になる内容です。

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自己破産で車はどう扱われるのか ― 基本ルール

自己破産は、返済しきれない借金を裁判所の手続きによって免除してもらう制度です。その代わり、破産者が所有する一定以上の財産は換金され、債権者への配当に充てられます。車も財産のひとつですから、原則としてこの処分対象に含まれます。

ただし、車の取り扱いはローンの残債があるかないかで大きく分かれます。ローンが残っている場合はローン会社との契約関係が問題になり、ローンがない場合は車そのものの査定額が判断基準になります。また、車の名義が本人以外であれば処分対象にならないという原則もあります。まずはこの3つの軸を頭に入れたうえで、それぞれのケースを順に見ていきましょう。

ローンが残っている場合 ― 所有権留保の壁

自動車ローンを組んで車を購入した場合、ローンを完済するまでの間、車の所有権はローン会社やディーラーに留保されているのが一般的です。これを所有権留保といいます。車検証の所有者欄を確認してみてください。そこにローン会社やディーラーの名前が記載されていれば、所有権留保が設定されている状態です。

自己破産の手続きを弁護士に依頼すると、受任通知が全債権者に送付されます。この通知を受けたローン会社は、担保権を実行して車の引き上げに動きます。引き上げまでの期間は数日〜数週間とケースによりまちまちですが、基本的にはローン残債がある限り車を手元に残すことはできません。

なお、軽自動車の場合は車検証の所有者欄が本人名義になっていることがありますが、だからといって安心はできません。契約書の約款に所有権留保の条項が含まれていれば、車検証の記載にかかわらず引き上げの対象になります。ローン契約時の書面を改めて確認しておくことをお勧めします。

銀行系カーローンは例外になる場合がある

ディーラーローンや信販会社のローンでは所有権留保が付くのが通常ですが、銀行系のマイカーローンでは所有権留保が設定されないケースが多くあります。この場合、車検証の所有者欄は購入者本人の名前になっています。

所有権留保がなければローン会社に引き上げられることはありません。ただし、所有者が本人名義である以上、車の査定額が20万円を超えれば換価処分の対象になります。銀行ローンだから安心というわけではなく、車の資産価値と合わせて判断する必要があります。なお、銀行ローンであっても契約内容に所有権留保条項が含まれているケースがまれにありますので、契約書の約款は必ず確認してください。

第三者弁済で引き上げを防ぐ方法

ローンが残っていても、家族や親族に代わりに残額を一括返済してもらう方法があります。これを第三者弁済といい、法的に認められた手段です。第三者弁済によってローンが完済されれば、所有権留保は解除され、ローン会社に引き上げられることはなくなります。

ただし注意点があります。第三者弁済で所有権が本人に移った後、車の査定額が20万円を超えていれば、結局は換価処分の対象になってしまいます。せっかくローンを肩代わりしてもらっても車を失う可能性があるため、事前に査定額を確認しておくことが不可欠です。また、破産者本人が自分の手持ち資金でローンを一括返済する行為は、他の債権者との公平性を欠く偏頗弁済に該当する可能性があるため、あくまで第三者に支払ってもらう形を取る必要があります。

ローンがない場合 ― 査定額20万円がボーダーライン

現金一括で購入した車やローンを完済済みの車は、所有権が完全に本人にあります。この場合、車を残せるかどうかは査定額で決まります。車の価値を正確に把握するためには、中古車買取業者やディーラーに査定を依頼する方法がありますが、裁判所に提出する資料としては、日本自動車査定協会(JAAI)の査定書が最も信頼性が高いとされています。JAAIは各地の裁判所から鑑定人として指名を受けている公的な機関で、認定査定士による評価額は法的にも強い根拠になります。

査定額20万円以下なら原則として残せる

多くの裁判所では、評価額が20万円以下の車は自由財産として手元に残すことを認めています。自由財産とは、破産者の最低限の生活を守るために処分対象から除外される財産のことです。

ここでひとつ実務上のポイントがあります。東京地方裁判所をはじめとする多くの裁判所では、法定耐用年数を経過した国産車は無価値(0円)とみなす運用を採っています。普通自動車なら初年度登録から6年、軽自動車なら4年が目安です。この年数を過ぎていれば、わざわざ買取業者に査定を出さなくても処分対象にならない可能性が高いのです。ただし、外国車や車両本体価格が300万円を超える高級車はこの扱いの対象外となることがあるため、事前に弁護士へ確認しておきましょう。

査定額20万円超でも残せる場合がある ― 自由財産の拡張

査定額が20万円を超えていても、生活に車がどうしても必要な事情がある場合は、裁判所に自由財産の拡張を申し立てることで車を残せる余地があります。たとえば、公共交通機関が乏しい地域に住んでいて通院や日常生活に車が不可欠なケース、あるいは身体に障害があり車なしでの移動が著しく困難なケースなどが該当し得ます。

拡張の申し立ては、破産手続開始決定の日から1ヶ月以内に、破産管財人を通じて裁判所に書面を提出する形で行います。認められるかどうかは各裁判所の換価基準や個別事情によるため確実ではありませんが、正当な理由があれば検討する価値は十分にあります。なお、仕事で車が必要という理由だけでは拡張が認められにくいとする裁判所もあるため、申し立ての際は具体的にどのような場面で車がなければ生活が成り立たないのかを書面で丁寧に説明することが求められます。

家族名義の車は処分されない

自己破産で処分対象になるのは、あくまで破産者本人名義の財産です。配偶者や親、子どもなど家族名義の車であれば、たとえ日常的に本人が使用していたとしても、原則として引き上げや換価処分の対象にはなりません。

ただし、本人が購入資金を出していた場合は話が変わります。実質的に本人の財産であると判断されれば、裁判所が家族に対して購入費用の返還を求める可能性があります。また、破産直前に本人名義の車を家族名義に変更する行為は、財産隠匿として免責が認められなくなる重大なリスクを伴うため、絶対に行わないでください。なお、家族名義の車を使っている場合でも、手続きの過程で家計収支表を提出する際に駐車場代やガソリン代の支出が記載されていれば、車検証のコピーなどで名義を証明する資料の提出を求められることがあります。

車を残したいがために絶対やってはいけない3つの行為

車を手放したくない一心で手を出しがちな行為のなかには、自己破産そのものを台無しにしてしまうものがあります。

名義を家族や知人に書き換える

先ほども触れましたが、破産申立て直前に車の名義を変更する行為は、管財人に財産隠匿と認定される典型的なパターンです。発覚すれば免責不許可事由に該当し、借金がゼロにならないという最悪の結果を招きかねません。「少額だからバレないだろう」という考えは通用しません。管財人は財産の動きを細かく調査しますので、不自然な名義変更はほぼ確実に見つかります。

ローン会社にだけ優先的に返済する

複数の債権者がいるにもかかわらず、車を残したい一心で自動車ローンだけを先に完済する行為は偏頗弁済と呼ばれ、破産法で禁止されています。自己破産では、すべての債権者を平等に扱わなければなりません。特定のローンだけを返済すると、免責不許可事由に該当するおそれがあります。弁護士に相談する前の段階で「とりあえず車のローンだけ先に終わらせよう」と動いてしまう方がいますが、後から大きな問題になるため、くれぐれも自己判断で動かないようにしてください。

ローン会社の存在を隠して手続きを進める

自動車ローンの債権者を申告せず、そのローンだけ支払い続けるという手口も見られますが、これも厳禁です。手続きの過程で必ず発覚しますし、発覚した場合は免責取消しのリスクすらあります。債権者の一部を意図的に除外する行為は、裁判所から最も厳しく見られる不正のひとつです。信用情報機関の記録や銀行口座の取引履歴から支払い先は容易に特定されますので、隠し通すことはまず不可能だと考えてください。

自己破産後に車が必要になったときの選択肢

仮に自己破産で車を手放すことになったとしても、その後ずっと車に乗れなくなるわけではありません。免責確定後に得た収入や財産は自由に使えますので、新たに車を手に入れる方法はいくつかあります。

まず、現金一括での中古車購入は最も確実な方法です。ブラックリストに登録されている間はローン審査に通りませんが、現金払いであれば何の制約もありません。20万円前後の予算でも、走行に問題のない中古車は十分に見つかります。破産手続き中に車を手放した場合でも、免責確定後に新たに現金で車を購入すること自体は自由です。破産後に得た収入や財産は破産財団には組み入れられないため、堂々と購入して問題ありません。

次に、家族名義での購入やリースも選択肢に入ります。配偶者や親に名義人になってもらい、実質的な費用を自分が負担する形です。ただし、家族の信用情報に問題がないことが前提になります。

レンタカーやカーシェアリングの活用も、日常的に車を使わない方にとっては現実的な代替手段です。レンタカーの支払いは現金でも可能なので、クレジットカードが作れない期間でも利用できます。なお、運転免許は自己破産の影響を一切受けないため、免許が失効する心配は不要です。カーリースについてはローンと同様に信用情報の照会が行われるため、事故情報が残っている間は契約が難しい点に留意してください。

信用情報の事故登録が抹消されるのは、おおむね免責確定から5年〜10年後です。その時期を過ぎれば、再びローンを組んで車を購入することも可能になります。ブラックリストから消えたかどうかは、各信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に本人開示請求をすることで確認できます。開示請求は郵送やインターネットで手続きでき、手数料も数百円〜千円程度です。

まとめ

自己破産と車の関係は、ローンの有無と査定額という2つの軸で整理すればシンプルに理解できます。ローンが残っていれば所有権留保により引き上げのリスクがあり、ローンがなくても査定額が20万円を超えれば処分対象です。一方で、法定耐用年数を超えた国産車や査定額20万円以下の車であれば、そのまま手元に残せる可能性は十分にあります。

大切なのは、車を残したいあまりに名義変更や偏頗弁済といった不正行為に走らないことです。こうした行為は免責不許可という取り返しのつかない結果を招きます。車を残せるかどうかの判断は個々の状況によって異なりますので、手続きに入る前に必ず弁護士へ相談し、正しい方法で最善の結果を目指してください。仮に車を手放すことになったとしても、破産後の生活を立て直す手段はいくつもあります。車の問題だけにとらわれず、借金全体の解決を優先することが、結果的に生活再建への最短ルートになるはずです。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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