自己破産の流れを7ステップで解説|相談から免責確定までの全手順と期間の目安
自己破産を決意したものの、「何から始めればいいのか分からない」「どんな手続きがどんな順番で進むのか見えない」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。手続きの全体像が見えないまま踏み出すのは、誰にとっても怖いものです。
自己破産の手続きは、弁護士への相談から免責確定まで、おおむね半年〜1年程度を要します。その間にやるべきことはある程度決まっていて、一つひとつ順番に片付けていけば、特別な知識がなくても乗り越えられる手続きです。
この記事では、自己破産が完了するまでの流れを7つのステップに分けて時系列で解説します。各ステップで何が起こるのか、自分は何をすればいいのか、どれくらいの時間がかかるのかを具体的にお伝えします。手続き中にやってはいけない注意点も併せて紹介していますので、手続き全体の見通しを立てるうえでの地図として活用してください。
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まずは全体像を把握する ― 同時廃止と管財事件の違い
自己破産の手続きには、同時廃止事件と管財事件という2つの種類があります。どちらに振り分けられるかによって、手続きの流れや期間、費用が大きく異なります。
同時廃止事件は、破産者にめぼしい財産がなく、免責不許可事由にも該当しない場合に適用される簡易的な手続きです。破産手続開始決定と同時に手続きが終了し、その後は免責手続きだけが行われます。弁護士への依頼から免責確定まで、おおむね4〜8ヶ月程度で終わるのが一般的です。
一方、管財事件は、一定以上の財産がある場合や、借金の原因にギャンブルや浪費といった免責不許可事由が含まれる場合に適用されます。裁判所が選任した破産管財人が財産の調査・換価・配当を行うため、手続き期間は6ヶ月〜1年以上になることもあります。なお、弁護士に依頼して申し立てた場合に適用される少額管財という簡略化された運用もあり、通常管財よりも期間・費用ともに抑えられます。少額管財の予納金は20万円程度が目安で、通常管財(50万円以上)に比べてかなり負担が軽くなります。
自分のケースがどちらに該当するかは、弁護士が財産や借金の内容を確認したうえで判断します。以下では、両方に共通する基本的な流れをステップ順に見ていきましょう。
自己破産手続き7つのステップ
ステップ1:弁護士への相談・依頼(目安:即日〜数日)
最初のステップは、弁護士への相談です。初回相談を無料で受け付けている事務所も多く、借金の総額や収入、財産の状況を伝えれば、自己破産が最適な解決策かどうかを判断してもらえます。任意整理や個人再生のほうが適しているケースもあるため、この段階で複数の選択肢を比較検討できるのが大きな利点です。
正式に依頼することが決まれば、弁護士と委任契約を結びます。費用の支払い方法は事務所によって異なりますが、分割払いに対応しているところも多いので、まとまったお金がなくても手続きを始められる場合がほとんどです。弁護士費用の相場は、同時廃止で20万〜40万円程度、管財事件で40万円以上が目安ですが、これに加えて裁判所への予納金も必要になります。費用面が不安な方は、法テラス(日本司法支援センター)の立替制度を利用する方法もありますので、相談時に確認してみてください。
ステップ2:受任通知の送付と督促の停止(目安:依頼当日〜数日)
委任契約を結ぶと、弁護士は速やかに全債権者へ受任通知を発送します。受任通知とは、弁護士が代理人として手続きを進めることを債権者に知らせる文書です。
この通知を受け取った債権者は、債務者に直接連絡することが貸金業法で禁じられています。つまり、受任通知の発送をもって、日々の電話や郵便による督促がぴたりと止まるのです。それまで返済に追われて精神的に追い詰められていた方にとっては、ここで一気に気持ちが楽になるはずです。同時に、毎月の返済も一旦ストップします。
このタイミングで弁護士は各債権者に取引履歴の開示を請求し、借金の正確な総額を確定させる債権調査も進めていきます。過払い金が見つかる場合もあり、その分が借金から相殺されるケースもあります。
ステップ3:必要書類の収集と申立書の作成(目安:1〜3ヶ月)
受任通知の発送後、最も時間がかかるのがこのステップです。裁判所への申し立てには多くの書類が必要であり、その準備に1〜3ヶ月、場合によってはそれ以上かかることもあります。
主に求められるのは、過去1〜2年分の全口座の通帳コピー、直近の給与明細や源泉徴収票、課税証明書などの収入関係書類です。加えて、住民票や戸籍謄本、保険証券、不動産の登記簿謄本、車の車検証、家計収支表なども必要になります。同居家族がいる場合は、家族の収入を証明する書類の提出を求められることもあります。
弁護士から必要書類のリストが渡されるので、一つずつ確認しながら集めていきましょう。書類の準備が遅れると手続き全体が長引く原因になります。なお、住民票などの公的書類には有効期限(通常3ヶ月)があるため、取得のタイミングにも注意が必要です。通帳については、申し立て直前にすべての口座を記帳し、最新の状態にしておく必要があります。これと並行して、弁護士は自己破産申立書や陳述書、財産目録、債権者一覧表などの書類一式を作成します。陳述書には借金が増えた経緯や生活状況を記載しますが、ここで重要なのは事実を正直に書くことです。多少不利に見える内容でも、正確に記載しておくほうが結果的にスムーズに進みます。
ステップ4:裁判所への申し立て(目安:書類完成後すぐ)
必要書類がすべて揃い、申立書類の作成が完了したら、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に破産手続開始・免責許可の申し立てを行います。提出は弁護士が代理で行うため、この時点で本人が裁判所に足を運ぶ必要は原則としてありません。申立時には、裁判所に収める手数料(収入印紙)や予納金、郵券代も納付します。
申し立て後、東京地方裁判所など一部の裁判所では、弁護士と裁判官が面接する即日面接という制度があり、申し立て当日もしくは翌日には破産手続開始の可否が判断されます。他の裁判所では、書面審査または破産審尋(裁判官との面談)を経て判断が下されます。なお、弁護士費用を分割で支払っている場合は、積み立てが完了してから申し立てるのが一般的です。そのため、費用を早く払い終えることが手続き期間の短縮に直結します。
ステップ5:破産手続開始決定(目安:申し立てから2週間〜1ヶ月)
裁判所が申立書類を審査し、債務者が支払不能の状態にあると認めた場合、破産手続開始決定が出されます。この決定と同時に、手続きが同時廃止と管財事件のどちらで進むかが確定します。
同時廃止の場合は、破産手続開始決定と同時に破産手続きそのものが終了し、そのまま免責手続きへ移行します。財産の調査や換価を行う必要がないため、ここから先はスピーディーに進みます。
管財事件の場合は、ここで破産管財人が選任されます。管財人は裁判所が選んだ弁護士が務め、破産者の財産を調査し、換金できるものは換金して債権者への配当に充てます。選任後に管財人面接が設定され、借金の経緯や財産の内容について30分程度のやり取りで確認されます。質問には正直に答えることが何より重要です。嘘の申告は免責不許可に直結するおそれがあります。また、管財事件では手続き中に破産者宛ての郵便物が管財人に転送される措置が取られることがあり、この点も事前に知っておくと戸惑わずに済みます。
ステップ6:免責審尋・債権者集会(目安:開始決定から2〜4ヶ月)
同時廃止の場合は、裁判所で免責審尋が行われます。これは裁判官が債務者と面談し、免責を認めてよいかを最終確認する手続きです。弁護士が同席するため過度に緊張する必要はなく、氏名や住所の確認、今後の生活についての見通しなど簡単な質問を受ける程度で終わります。所要時間は数分程度です。
管財事件の場合は、開始決定から3〜4ヶ月後に債権者集会が開かれます。管財人が財産の調査状況や配当の見込みを裁判所と債権者に報告する場ですが、実際に債権者が出席することは稀です。裁判官・管財人・弁護士・本人のみで5〜10分で終わるケースが大半ですが、不動産の売却など財産の処分に時間がかかっている場合は、集会が複数回開かれることもあります。すべての財産の処分と配当が完了した時点で破産手続きが終結し、免責手続きへと進みます。
ステップ7:免責許可決定と確定(目安:審尋・集会から1〜2ヶ月)
免責審尋や債権者集会を経て、裁判所が免責を認めると免責許可決定が出されます。この決定は官報に掲載され、掲載日から2週間の間に債権者から異議(即時抗告)が出なければ、免責が正式に確定します。
免責が確定した瞬間に、税金や養育費などの非免責債権を除くすべての借金の返済義務が消滅します。同時に、手続き中に受けていた職業制限や居住地の制限も解除され、法的には破産前と同じ自由を取り戻すことになります。ここが自己破産手続きのゴールであり、経済的な再出発のスタート地点です。なお、信用情報機関への事故登録は免責確定後も5〜10年程度残りますが、その期間が過ぎれば再びローンやクレジットカードの利用が可能になります。
手続き中に気をつけるべき4つのポイント
新たな借り入れをしない
弁護士に依頼した後に新たに借金をする行為は、免責不許可事由に該当するおそれがあります。返済が止まって手元に余裕ができたとしても、新規の借り入れやクレジットカードの利用は絶対に避けてください。返済のために別の業者から借りるという自転車操業も同様です。受任通知を出した後の新規借入は、返す意思がないのに借りたと見なされる危険性が高いため、特に注意が必要です。
特定の債権者にだけ返済しない
「親に借りたお金だけは返したい」という気持ちは理解できますが、特定の債権者にだけ優先的に返済する行為は偏頗弁済にあたります。これが発覚すると、免責が認められなくなるリスクがあります。すべての債権者を平等に扱うのが破産法の大原則であり、個人的な関係のある債権者であっても例外は認められません。家族や友人への返済についても、手続き完了後に改めて対応することを検討しましょう。
財産を隠したり処分したりしない
手続き前に財産を家族名義に移し替えたり、不当に安い価格で売却したりする行為は、財産隠匿として厳しく追及されます。管財人は通帳の入出金履歴や不動産の登記情報を丹念に調べますので、不正は高確率で発覚します。発覚した場合は免責不許可だけでなく、詐欺破産罪に問われる可能性もあります。正直に申告することが、スムーズな免責への最短ルートです。
弁護士との連絡を怠らない
手続き中は、弁護士から書類の追加提出や情報の確認を求められる場面が何度もあります。対応が遅れると手続き全体がずるずると長引く原因になりますので、連絡にはできる限り早く返答しましょう。不明点はその場で質問するのが鉄則です。手続きが長引くほど精神的な負担も増しますから、こまめな連携が結果的に自分を助けることになります。
まとめ
自己破産の手続きは、弁護士への相談から免責確定まで7つのステップを経て進みます。同時廃止であれば4〜8ヶ月、管財事件でも半年〜1年程度が目安です。手続き自体は複雑に見えますが、弁護士に依頼すれば書類作成や裁判所とのやり取りの大部分を任せることができます。本人がやるべきことは、指示された書類を期限内に揃えることと、免責審尋や債権者集会に出席することが中心です。
最も大切なのは、早い段階で専門家に相談することです。相談が早ければ早いほど、受任通知の発送で督促が止まるタイミングも早まり、精神的な余裕を取り戻せます。落ち着いた状態で手続きに臨めれば、書類の準備もスムーズに進み、結果的に手続き全体の期間も短くなります。借金の悩みを一人で抱え続けるよりも、まずは最初の一歩を踏み出してみてください。手続きの流れを知った今なら、その一歩はきっと以前よりも軽いはずです。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。