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弁護士コラム

交通事故の示談金交渉を有利に進めるための実践ガイド

2025.08.28 弁護士コラム

交通事故は、誰にとっても突然訪れる非日常です。事故の直後は、ケガの治療や車の修理、警察への対応などで頭がいっぱいになり、気が付けば保険会社から「示談金の話をしたい」と連絡が来る——そんな流れがほとんどです。

しかし、この示談金交渉こそが、事故後の生活を大きく左右する最重要プロセスです。受け取れる金額が適正かどうかで、治療費の補填はもちろん、その後の生活再建にまで影響します。

実際、同じ事故内容でも、交渉の進め方によって最終的な金額が数十万円から場合によっては100万円以上違ってくることもあります。それにもかかわらず、多くの人は経験も知識もないまま、保険会社の提示額をそのまま受け入れてしまっているのが現実です。

示談金交渉が難しい3つの理由

なぜ多くの人が、示談金交渉で不利な立場になってしまうのか。そこには明確な理由があります。

相手は交渉のプロ

示談交渉の相手は、ほとんどの場合、保険会社の担当者です。彼らは日々、数多くの事故案件を処理し、交渉経験も豊富。しかも保険会社は営利企業であるため、支払額をできるだけ抑える方向で動くのが基本です。提示される金額は、あくまで保険会社にとって都合のいい「初期案」にすぎません。

複数の基準が存在する

示談金には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの算定基準があります。これらの基準によって、同じ事故でも金額が大きく異なります。例えば、後遺障害が残らない軽傷でも、自賠責基準と弁護士基準では慰謝料が倍近く違うケースもあります。

感情のコントロールが難しい

事故のショックや怒り、相手への不信感がある状態で冷静な交渉を行うのは難しいものです。感情的なやり取りは相手の警戒心を強め、逆に交渉を不利にすることがあります。

示談金交渉の全体の流れ

流れを把握しておくと、どの段階で何を準備すべきかが見えてきます。

  • 事故直後の対応
     警察への通報、相手方の情報交換、現場の写真撮影、ドライブレコーダー映像の保存など。ここでの証拠確保が、その後の交渉の土台になります。
  • 治療・修理期間
     通院やリハビリを続けながら、医師の診断書や領収書を残します。治療の打ち切り時期や通院回数は慰謝料額に直結します。
  • 損害額の算定
     治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料など、すべての損害を洗い出します。専門家に依頼すると漏れを防げます。
  • 交渉開始
     保険会社が金額を提示し、必要に応じて増額交渉を行います。この段階が最も重要です。
  • 合意・示談書作成
     合意内容を示談書にまとめ、署名押印して成立します。一度署名すると、原則として後から変更できません。

基準ごとの金額差を理解する

自賠責基準
最低限の補償額を定めた基準。慰謝料は1日4,300円(2023年時点)で、日数計算も制限があります。

任意保険基準
各保険会社が独自に設定する基準。自賠責より高額になる場合が多いですが、弁護士基準には及びません。

弁護士基準
裁判例をもとにした基準で最も高額になります。弁護士が交渉することで適用される可能性が高く、慰謝料額が倍近くになることもあります。

有利に進めるための具体的な交渉ポイント

証拠は徹底的に揃える

現場写真、車の破損状況、ドライブレコーダー映像、通院記録、領収書などはすべて保存します。証拠が豊富だと、相手は安易に否定できず、こちらの主張が通りやすくなります。

初回提示額をうのみにしない

保険会社の初回提示額はあくまで交渉の出発点です。「これ以上は無理」と言われても、一度持ち帰って検討するのが基本です。

弁護士基準を把握しておく

自分が請求できる上限を知ることで、交渉の目標ラインを設定できます。インターネットや無料相談を活用しましょう。

弁護士に依頼するメリット

  • 保険会社の態度が変わる
     弁護士が介入すると、保険会社も低額提示をしにくくなります。
  • 弁護士基準での請求が可能に
     慰謝料や休業損害など、全体の賠償額が増える可能性が高まります。
  • 精神的負担が軽くなる
     煩雑なやり取りや期限管理をすべて任せられるため、治療に集中できます。

NG行動とその理由

  • 感情的になって相手を責める
     相手の防御姿勢を強め、交渉が長引きます。
  • 根拠のない請求額を提示する
     数字に裏付けがなければ、相手から「非現実的」と切り捨てられます。
  • 期限を曖昧にする
     時間が経つほど記憶や証拠が薄れ、交渉力が低下します。

ケース別の交渉戦略

軽傷事故の場合
通院日数や実治療日数が慰謝料計算に影響します。可能な限り通院記録を残しましょう。

後遺障害が残る場合
等級認定が金額を大きく左右します。認定申請は専門家のサポートを受けるのが望ましいです。

過失割合で争いがある場合
事故現場の写真や第三者証言が重要。過失が減れば、その分受け取れる金額が増えます。

まとめ|情報と準備が勝敗を決める

交通事故の示談金交渉は、一度しかチャンスがありません。提示額をそのまま受け入れるのではなく、基準の違いや証拠の重要性を理解し、必要に応じて弁護士の力を借りることが大切です。事故後の生活を安定させるためにも、冷静かつ計画的に進めましょう。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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