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【必読】盗撮事件で示談しないとどうなる?後悔しないための全リスクと対処法

2025.07.23 弁護士コラム

もしも、盗撮事件を起こしてしまい、示談交渉の機会が訪れたものの、「示談しなくても大丈夫だろうか?」、「示談しないとどうなってしまうのだろう?」と不安に感じているのであれば、この記事はあなたのためのものです。

「示談」という言葉はよく聞きますが、その意味や、盗撮事件において示談が果たさないとどうなるのか、具体的に理解している方は少ないかもしれません。しかし、この示談の成否が、あなたの未来を大きく左右する重要なポイントとなるのです。

この記事では、あなたが知りたい情報を網羅的に、そして分かりやすく解説していきます。示談しない場合に想定される最悪のシナリオから、それぞれのリスク、そして万が一示談が成立しなかった場合の対処法まで、あなたの不安を少しでも和らげ、後悔しないためのヒントを提供します。

「示談」とは何か?盗撮事件におけるその意味

まず、「示談」とは何かを理解しておく必要があります。

示談とは、当事者同士が話し合いによって、民事上の紛争を解決する合意のことです。

刑事事件である盗撮の場合、示談は「加害者」と「被害者」の間で行われます。具体的には、加害者が被害者に対して謝罪し、精神的苦痛やその他被害に対する損害賠償(示談金)を支払うことで、被害者に事件を許してもらい(宥恕:ゆうじょ)、刑事処罰を望まない旨の合意を得ることを目指します。

この示談が成立するか否かが、刑事手続きにおいて非常に大きな影響を与えるのです。

盗撮事件で示談しないとどうなる?7つの深刻なリスク

「示談しない」という選択、あるいは「示談できなかった」という結果は、加害者にとって非常に重い結果を招く可能性があります。具体的には、以下の7つの深刻なリスクが想定されます。

リスク1:起訴される可能性が格段に高まる

これが示談しない場合の最も大きなリスクです。

検察官は、事件を刑事裁判にかけるかどうか(起訴・不起訴)を判断する際に、被害者の意向を非常に重視します。示談が成立し、被害者が「加害者の処罰を望まない」という意思(宥恕文言)を示していれば、検察官は不起訴処分(前科がつかない)とする可能性が高まります。

しかし、示談が成立していない場合、被害感情が残っていると判断され、検察官は「被害者のためにも、加害者をきちんと処罰する必要がある」と判断し、起訴に踏み切る可能性が格段に高まります。

リスク2:前科がつく可能性が非常に高まる

起訴された場合、刑事裁判が開かれます。日本の刑事裁判の有罪率は非常に高く、起訴されればほぼ間違いなく有罪となり、「前科」がついてしまいます。

前科がつくことの具体的な影響については後述しますが、これはあなたの社会生活に長期にわたり悪影響を及ぼす、非常に重い事実となります。

リスク3:身柄拘束期間が長期化する可能性が高い

逮捕された後、検察官が勾留請求をし、裁判官が勾留を決定すると、原則として10日間、最長20日間、身体が拘束されます。

示談が成立していれば、被害者との間で解決の目途が立ち、加害者が反省していると判断されやすくなります。その結果、「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断され、勾留請求が却下されたり、早期に釈放されたりする可能性が高まります。

しかし、示談が成立していない場合、被害者との関係が不安定であると判断され、捜査機関は「加害者が被害者に接触したり、証拠を隠滅したりするおそれがある」と懸念し、勾留を続ける必要性を訴える可能性が高くなります。これにより、不要な長期間の身体拘束を強いられることになります。

リスク4:逮捕・勾留の事実が職場や学校に発覚するリスクが高まる

身柄拘束が長期化すればするほど、職場や学校を休まざるを得なくなります。その理由を説明しなければならない状況に陥り、逮捕・勾留の事実が発覚するリスクが格段に高まります。

一度発覚すれば、職場での解雇や懲戒処分、学校での退学や停学といった処分を受ける可能性も出てきます。これは、その後のキャリアや学業に壊滅的な影響を与えかねません。

リスク5:実刑判決や重い罰金刑となる可能性が高まる

起訴され、有罪となった場合、裁判所は刑罰を言い渡します。示談が成立していれば、情状酌量の余地があると判断され、執行猶予付きの判決や、より軽い罰金刑で済む可能性が高まります。

しかし、示談が成立していない場合、被害者との間で何の解決も図られていないため、裁判所は加害者の反省が不十分であると判断し、実刑判決(刑務所に入ること)や、高額な罰金刑を言い渡す可能性が高まります。

特に、盗撮の態様が悪質である場合(常習性がある、動画を拡散したなど)や、過去にも同様の犯罪歴がある場合は、示談が成立していないと、実刑判決となるリスクが飛躍的に高まります。

リスク6:民事訴訟を起こされるリスクが残る

刑事事件とは別に、被害者は加害者に対して、精神的苦痛に対する損害賠償を求める民事訴訟を起こすことができます。示談が成立していれば、示談金の中に損害賠償も含まれるため、基本的に民事訴訟に発展することはありません。

しかし、示談が成立していない場合、被害者は刑事事件の処分とは別に、民事上の損害賠償を求めて裁判を起こす可能性があります。そうなると、別途弁護士費用や裁判費用がかかるだけでなく、長期にわたる裁判手続きに精神的負担を強いられることになります。最終的に、裁判所の判断で示談金よりも高額な賠償命令が下される可能性もゼロではありません。

リスク7:社会的な信用を失う

前科がつくこと、職場や学校に事件が発覚すること、これらはすべて社会的な信用を失うことに直結します。

  • 就職・転職への影響:履歴書の賞罰欄への記載や、企業によっては身辺調査が行われる場合があり、就職や転職が極めて困難になる可能性があります。
  • 現在の仕事への影響:職種によっては資格が制限されたり、解雇されたりする可能性があります。
  • 住居への影響:賃貸契約の審査に通らない、ローンが組めないなどの影響が出る可能性も指摘されています。
  • 人間関係への影響:家族、友人、恋人など、身近な人間関係にも亀裂が生じる可能性があります。

一度失われた信用を取り戻すのは、非常に困難な道のりとなります。

なぜ示談が成立しないのか?主な原因と対処法

示談の重要性は理解できたとしても、実際には示談が成立しないケースも存在します。その主な原因と、それぞれの対処法について見ていきましょう。

原因1:被害者の被害感情が非常に強い場合

盗撮は、被害者に深刻な精神的苦痛を与える犯罪です。そのため、被害者の被害感情が非常に強く、加害者との接触を拒否したり、示談交渉に応じないケースがあります。

対処法:

  • 弁護士を介した丁寧な交渉: 加害者本人や家族が直接交渉しようとすると、かえって被害感情を逆なでしてしまう可能性があります。必ず弁護士を介し、被害者の心情に配慮しながら、誠意を伝える努力を重ねることが重要です。
  • 謝罪の意思と反省の態度を明確に示す: 弁護士を通じて、心からの謝罪文を提出するなど、加害者の深い反省の気持ちを具体的に示すことが求められます。
  • 供託制度の利用: 被害者が示談金を受け取らない場合でも、加害者に被害弁償の意思があることを示すために、法務局に示談金を供託する制度です。これにより、示談は成立しなくとも、加害者の反省の姿勢を検察官や裁判官に示すことができます。

原因2:示談金の金額で合意に至らない場合

加害者が提示する示談金額が、被害者の求める金額と大きく乖離している場合、示談が成立しないことがあります。

対処法:

  • 弁護士による適切な示談金の算定: 弁護士は、過去の判例や類似事件の示談事例、そして事件の具体的な状況(犯行の悪質性、被害の程度など)を総合的に判断し、適切な示談金の金額を提示することができます。
  • 粘り強い交渉: 一度の提示で合意に至らなくても、弁護士が間に入り、双方の意見を聞きながら、歩み寄りの姿勢で粘り強く交渉を続けることが重要です。
  • 供託も視野に: 被害者側が過度に高額な示談金を要求し、交渉が決裂するような場合、供託も一つの選択肢となります。

原因3:加害者側に資力がない場合

示談金を支払うだけの経済力がない場合も、示談が成立しない大きな原因となります。

対処法:

  • 分割払いなどの交渉: 被害者の理解が得られれば、示談金の分割払いを交渉することも可能です。ただし、被害者が分割払いを拒否することもあります。
  • 親族からの援助: 家族や親族から経済的な援助を受けられないか検討します。
  • 供託制度の利用: 経済的に厳しい状況であっても、まずは一部だけでも供託するなど、被害弁償の意思を示すことが重要です。
  • 被害者への誠実な説明: 資力がないことを正直に伝え、それでも精一杯の誠意を見せる姿勢が求められます。

原因4:加害者が反省の態度を見せない場合

加害者が反省の態度を全く見せない、あるいは被害者に対して高圧的な態度を取るなどした場合、被害者は当然示談に応じません。

対処法:

  • 真摯な反省と行動: 何よりも、加害者自身が自身の犯した罪と向き合い、心から反省する姿勢を持つことが不可欠です。弁護士からのアドバイスを真摯に受け止め、二度と繰り返さないための具体的な行動を示すことが重要です。
  • 専門機関でのカウンセリング: 必要であれば、性犯罪再犯防止のための専門機関でのカウンセリングを受けることも、反省と更生を示す具体的な行動となり得ます。

示談が成立しない場合の最終的な対処法:弁護士の役割

示談が成立しない、あるいは示談交渉すら難しい状況であっても、弁護士は最後の最後まで、加害者のために最善を尽くします。

供託による反省の意思表示

前述の通り、示談が成立しなくても、被害者への被害弁償の意思を示すために供託を行うことができます。これは、検察官や裁判官が処分を決定する上で、加害者の反省の姿勢を示す有力な情状となります。

検察官・裁判官への働きかけ

弁護士は、示談交渉の経緯や、供託を行った事実、加害者の反省の態度、再犯防止のための具体的な取り組みなどをまとめた意見書を、検察官や裁判官に提出します。これにより、示談が成立しなくとも、少しでも有利な処分が得られるよう最大限の努力をします。

情状証拠の収集

示談以外のあらゆる情状証拠(反省文、家族の嘆願書、会社からの善行証、カウンセリングの受講証明など)を収集し、検察官や裁判官に提出します。これらは、加害者の真摯な反省と更生への意欲を示す重要な材料となります。

公判での弁護活動

万が一起訴され、刑事裁判になった場合でも、弁護士は公判廷において、被告人(起訴された人)の弁護活動を行います。示談が成立していない中でも、被告人に有利な事実を主張し、証拠を提示し、少しでも軽い刑罰になるよう尽力します。

具体的には、

  • 執行猶予付き判決を目指す
  • 罰金刑で済むよう主張する
  • 刑期の短縮を求める

などの弁護活動を行います。

後悔しないために、弁護士に依頼すべき理由

「示談しないとどうなる」という不安を抱えているのであれば、今すぐにでも弁護士に相談すべきです。その理由は以下の通りです。

示談交渉の専門家である

弁護士は、示談交渉のプロフェッショナルです。被害者の心情に配慮しつつ、冷静かつ客観的に交渉を進めることができます。加害者本人や家族が感情的に交渉を進めることで、かえって事態を悪化させるリスクを回避できます。

法的なアドバイスと手続きの代行

逮捕後の刑事手続きは複雑であり、素人が一人で対応することは非常に困難です。弁護士は、今後の見通しや法的なリスクについて正確な情報を提供し、適切な対応策をアドバイスしてくれます。また、警察や検察とのやり取り、書類作成、示談交渉など、面倒な手続きを代行してくれます。

早期の身柄解放の可能性を高める

弁護士は、逮捕直後から勾留決定までの間に、勾留請求を阻止するための活動や、早期の身柄解放に向けた活動を行うことができます。これにより、職場や学校への影響を最小限に抑えられる可能性があります。

不起訴処分や刑の軽減の可能性を高める

弁護士は、示談交渉の成立だけでなく、検察官や裁判官に対して、加害者の反省や更生の意思を示すためのあらゆる働きかけを行います。これにより、不起訴処分、あるいは起訴されたとしても刑の軽減(執行猶予付き判決など)の可能性を最大限に高めます。

精神的負担の軽減

突然の逮捕や刑事事件への関与は、当事者やその家族にとって計り知れない精神的負担となります。弁護士という専門家が寄り添い、サポートしてくれることで、この精神的負担を大きく軽減することができます。

盗撮事件で示談しないことの重み:あなたの未来のために

盗撮事件で示談しない、あるいは示談が成立しないということは、単に示談金が支払われないというだけの問題ではありません。それは、起訴され、前科がつき、社会生活に多大な悪影響が及ぶ可能性が極めて高くなることを意味します。

あなたが現在抱えている不安は、決して軽視できるものではありません。示談交渉の機会があるにもかかわらず、それを疎かにしたり、誤った判断を下したりすることは、後々深い後悔へと繋がる可能性があります。

「示談しないとどうなる」という問いに対する答えは、「非常に厳しい状況に追い込まれる可能性が高い」ということです。

もし、盗撮事件で示談すべきかどうか悩んでいるのであれば、ためらわずに、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に相談してください。あなたの状況を正確に把握し、最善の選択肢を提案してくれるはずです。

弁護士選びの重要性:刑事事件に強い弁護士を

弁護士であれば誰でも良いというわけではありません。刑事事件、特に盗撮などの性犯罪に関する示談交渉や弁護活動には、専門的な知識と経験が不可欠です。

  • 刑事事件の経験が豊富であること:過去に類似事件の弁護実績が多数あるか。
  • 示談交渉に長けていること:被害者の心情を理解し、粘り強く交渉できるか。
  • 迅速な対応力があること:逮捕後の限られた時間の中で、スピーディーに動いてくれるか。
  • 費用が明確であること:契約前に、費用について詳細かつ明確な説明があるか。
  • 信頼できる人柄であること:あなたが安心して相談でき、任せられると感じるか。

これらの点を踏まえ、複数の弁護士に初回相談を依頼し、あなたにとって最適な弁護士を見つけることが、この困難な状況を乗り越えるための重要な鍵となります。

まとめ:示談しないことは、あなたの未来を閉ざすリスクと直結する

盗撮事件で示談しないことのリスクは、決して軽視できません。起訴、前科、長期の身柄拘束、職場や学校への影響、実刑判決や高額な罰金刑、民事訴訟への発展、そして社会的な信用の失墜。これらはすべて、示談が成立しなかった場合に現実となる可能性のある、非常に重い結果です。

示談は、被害者の心の傷を癒し、加害者が反省の気持ちを示すための重要なプロセスであると同時に、加害者自身の未来を切り開くための、最後の、そして最大のチャンスでもあります。

もし、あなたが「示談しないとどうなる」と不安に感じているのであれば、その不安を放置しないでください。一刻も早く弁護士に相談し、適切なアドバイスを受け、後悔のない選択をすることが、あなたの未来を守るために今できる最善のことです。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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