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モラハラ離婚で慰謝料を取れる条件とは?相場・判例・請求手順まとめ

2025.09.24 弁護士コラム

近年、「モラハラ離婚」という言葉が一般的になってきました。モラルハラスメント(モラハラ)は、身体的暴力ではなく精神的な圧力や支配によって相手を追い詰める行為を指します。直接的な暴力ではないため、証拠が集めにくく、離婚や慰謝料請求の場面で悩む方も少なくありません。
本記事では、モラハラ離婚と慰謝料の関係について、実際に請求できるケースや必要な準備、請求金額の相場まで詳しく解説します。

モラハラとは何か?

モラハラの定義

モラハラは「言葉や態度によって相手を精神的に追い詰める行為」です。例えば以下のようなケースが典型的です。

  • 日常的に人格を否定するような発言を繰り返す
  • 無視や過度な監視などによる精神的支配
  • 経済的な自由を奪う行為(お金を一切渡さないなど)

DVとの違い

DVは身体的な暴力を伴うのに対し、モラハラは精神的な圧力が中心です。そのため外部からは分かりにくく、被害者本人も「自分が悪いのでは」と思い込みやすい傾向があります。

離婚と慰謝料の基本知識

慰謝料とは

慰謝料とは「精神的苦痛に対する損害賠償金」です。離婚時に請求できる慰謝料は、不倫や暴力だけでなく、モラハラによる精神的苦痛も対象になります。

慰謝料が発生する条件

慰謝料を請求するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 相手の不法行為(モラハラ)が存在すること
  • その行為によって精神的苦痛を受けたこと
  • 因果関係が認められること

モラハラで慰謝料が認められるケース

モラハラによる慰謝料が認められるかどうかは「継続性」と「証拠の有無」が重要です。例えば、数回の口論や一時的な言葉の行き過ぎでは慰謝料請求は難しいですが、長期間にわたって人格を否定する発言や経済的支配が続き、被害者の生活に深刻な影響を与えている場合には、慰謝料が認められる可能性が高くなります。
特に医師の診断書(うつ病や適応障害など)がある場合や、録音・日記など具体的な証拠が揃っている場合は、裁判での立証が容易になります。

モラハラ離婚における慰謝料相場

モラハラによる慰謝料は、一般的に50万円〜300万円程度の範囲で認められることが多いです。ただし、実際の金額は状況によって大きく変わります。
相場を左右する要素には、以下のようなものがあります。

  • モラハラの期間:数か月ではなく、数年単位で継続している場合は金額が上がりやすいです。
  • 被害の深刻度:精神的苦痛が原因でうつ病や適応障害を発症した場合、慰謝料は高額になる傾向があります。
  • 相手の収入や社会的地位:高収入や社会的立場が高い場合、慰謝料額が増額されることもあります。
  • 証拠の有無と強さ:客観的な証拠が揃っていれば、裁判で認められる金額が上がりやすくなります。

実際の判例を見ると、100万円前後で落ち着くケースが多いものの、証拠が十分で精神的被害が深刻と判断された場合には200万〜300万円を超える事例も存在します。逆に証拠が乏しい場合やモラハラが限定的だった場合は、50万円程度にとどまることもあります。

慰謝料を請求するための証拠集め

  • 音声録音:日常的な暴言を録音しておく
  • LINEやメールの記録:相手の侮辱や支配的なメッセージを保存
  • 日記・メモ:いつ、どのようなモラハラを受けたかを時系列で記録
  • 医師の診断書:精神的ダメージを受けていることを客観的に示す
  • 第三者の証言:友人や親族に相談した記録

慰謝料請求の流れ

まず、離婚協議の場で慰謝料を請求するのが一般的です。話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、それでも決着がつかないと裁判に進むことになります。裁判では証拠が重視されるため、前章で述べたような証拠集めが非常に重要です。弁護士に依頼することで手続きの負担を軽減でき、請求額も適正に算定されやすくなります。

弁護士に依頼するメリット

専門的な交渉力

弁護士は法的知識をもとに相手方と交渉できるため、自分だけで請求するよりも有利な条件を引き出しやすくなります。

精神的な負担の軽減

モラハラの加害者と直接やり取りをするのは大きなストレスになります。代理人を立てることで、心理的負担を減らすことができます。

慰謝料額の増額の可能性

適切な証拠を揃え、相場に基づいて主張することで、実際に受け取れる金額が増えることもあります。

モラハラ離婚を成功させるためのポイント

  • 早めに証拠を集める
  • 弁護士や専門機関に相談する
  • 経済的な自立を準備する
  • 第三者に相談し孤立しないようにする
  • 冷静に戦略を立てる(感情的な衝突は避ける)

まとめ

モラハラ離婚で慰謝料を請求するのは簡単ではありません。しかし、的確な証拠を集め、専門家のサポートを受けることで成功の可能性は大きく高まります。慰謝料は「被害をお金に換算する」ための手段にすぎませんが、それでも自分の人生を取り戻す第一歩となることは間違いありません。
もし今モラハラに悩んでいる方がいれば、勇気を持って専門家に相談し、適切な対応を進めていただきたいと思います。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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