column

弁護士コラム

  • HOME>
  • 弁護士コラム>
  • 不倫の慰謝料はいつまで請求できる?期間と時効をわかりやすく解説

不倫の慰謝料はいつまで請求できる?期間と時効をわかりやすく解説

2025.11.01 弁護士コラム

配偶者の不倫が発覚したとき、多くの人が最初に思うのは「裏切られた」という強い感情でしょう。そして次に浮かぶのが、「慰謝料を請求できるのか?」という疑問です。実際に弁護士事務所への相談でも、この質問は非常に多く寄せられます。

しかし、慰謝料には「請求できる期間=時効」が存在することをご存じでしょうか。気持ちの整理がつくまで放置してしまったり、行動を先延ばしにした結果、本来請求できたはずのお金を受け取れなくなるケースも珍しくありません。

この記事では、不倫慰謝料の「期間」と「時効」に焦点をあて、法律上のルールや実際の手続き、よくある勘違いなどをわかりやすく解説していきます。

不倫慰謝料の基本知識

不倫による慰謝料とは、法律上は「不法行為に基づく損害賠償請求」です。つまり、婚姻関係にある一方が肉体関係を持つことで、相手配偶者に精神的な損害を与えたと評価されるため、その苦痛に対してお金で補償を求める制度です。

ただし「必ず慰謝料がもらえる」わけではありません。請求が認められるには、以下の条件が必要です。

  • 配偶者と不倫相手が肉体関係を持っていたこと
  • 夫婦関係がまだ破綻していなかったこと
  • 精神的苦痛があったと認められること

特に「夫婦関係がすでに壊れていた」場合や「肉体関係が証明できない」場合には、慰謝料が否定される可能性もある点には注意が必要です。

慰謝料請求に関わる「期間」の考え方

慰謝料の請求には時効があり、無期限で行えるものではありません。法律上は以下のように定められています。

  • 不倫の事実と相手を知った時から3
  • 不倫行為から20年で完全に消滅

この2つを理解していないと、「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに請求権を失ってしまいます。

例えば、2021年に配偶者の不倫が発覚し、不倫相手の名前や住所も判明した場合、慰謝料を請求できるのは2024年までとなります。2025年に入ってからでは、裁判で請求しても相手側が「時効」を主張すれば認められなくなってしまうのです。

時効の起算点はいつからか?

時効が「いつからカウントされるのか」は非常に重要です。

  • 不倫を知った日 → 原則ここから3年
  • 不倫相手が誰か特定できた日 → 相手が不明だった場合はここから3年
  • 不倫行為そのものから20年 → 気づかなくても20年で請求権は消滅

ここで混乱しやすいのは「怪しいと思っていた日」と「確実に知った日」の違いです。単なる疑いではなく、実際に証拠を得て相手を特定できた時点から3年がスタートする、と覚えておくとよいでしょう。

時効を止めるための方法

もしも「もうすぐ3年になってしまう」という状況に直面したら、どうすればいいでしょうか。実は、時効には「中断」という仕組みがあります。これを行えば新たにカウントが始まり、請求できる期間を延ばせるのです。

代表的な方法は次の2つです。

  • 内容証明郵便で慰謝料請求を通知する
  • 調停や訴訟を申し立てる

たとえば内容証明を送るだけでも「請求の意思表示」として時効は中断します。その後、話し合いで解決できなければ裁判に進む流れをとればよいでしょう。

実際に慰謝料請求を進める流れ

不倫慰謝料の請求は、ただ「払ってほしい」と伝えるだけでは進みません。実際のステップは次のようになります。

  • 証拠を集める
     LINEのやり取り、ホテルの領収書、写真、探偵報告書など。裁判でも通用するレベルの証拠が必要です。
  • 内容証明郵便で請求する
     感情的な電話やメールでは効果が弱いので、正式な書面で通知します。
  • 話し合いによる解決を試みる
     示談交渉で合意できれば、調停や裁判を避けられます。
  • 調停・訴訟に進む
     話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所で解決を図る流れとなります。

慰謝料の金額相場

請求できる慰謝料の金額はケースにより異なります。

  • 数か月程度の不倫で夫婦関係が比較的良好 → 50万円程度
  • 長期間の不倫で婚姻関係が大きく悪化 → 100~200万円程度
  • 不倫が原因で離婚に至った場合 → 200~300万円以上

ここで重要なのは「相場に幅がある」ということです。自分のケースでどの程度認められるかは、法律の知識と交渉力が必要になります。

慰謝料請求で失敗しないために

実際に慰謝料を請求する場面では、多くの人が感情的になりやすく、交渉がこじれることも少なくありません。よくある失敗例は以下の通りです。

  • 証拠が不十分で相手に否認される
  • 感情的なやり取りで関係が悪化する
  • 時効を過ぎてしまい請求できなくなる

こうしたリスクを避けるためには、冷静に手続きを進めることが欠かせません。

弁護士に相談するメリット

ここまで読んで「自分だけで進めるのは難しい」と感じた方もいるでしょう。実際、慰謝料請求をスムーズに進めたいなら、弁護士への相談が近道です。

  • 請求可能な期間を正確に判断してもらえる
  • 裁判でも通用する証拠の有効性をチェックできる
  • 相手との交渉を任せられるため精神的負担が軽くなる
  • 適切な金額を見極めて請求できる

特に「時効が迫っている」「相手が強気で拒否している」といったケースでは、専門家の介入が解決への大きな一歩になります。

まとめ:慰謝料請求は早めの行動が肝心

不倫慰謝料の請求には「期間」という制限があります。原則は「不倫を知った時から3年」、最長でも「行為から20年」で時効が成立してしまいます。

不倫が発覚したら、まずは証拠を確保し、請求できる期限を意識しながら早めに動くことが重要です。そして、少しでも不安があれば弁護士に相談することで、より確実に権利を守ることができます。

慰謝料は「復讐」ではなく「自分の人生を立て直すための補償」です。後悔しないためにも、今の状況を整理し、適切なタイミングで行動を起こしましょう。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

初回相談は無料です

不倫慰謝料の請求期限についてはお気軽にご相談ください。

9:00~24:00 / 定休日:なし

TOP

050-5445-1846

MAILFORM