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価値観の違いで離婚できる?広島で「合わない」と感じた時に考えるべきこと

2025.11.23 弁護士コラム

「結婚してみたら、想像以上に価値観が違った」 「お金の使い方、休日の過ごし方、すべてが合わない」 「話し合っても分かり合えず、疲れ果ててしまった」

「価値観の違い」。離婚理由として最もよく挙げられる言葉です。でも、実はこの言葉ほど曖昧で、法律的に扱いが難しいものはありません。

この記事では、広島で価値観の違いを理由に離婚を考えている方に向けて、「価値観の違いとは具体的に何なのか」「それだけで離婚できるのか」「どんな違いなら離婚が認められやすいのか」を、わかりやすく解説します。

単に「合わない」という感覚ではなく、法律的にどう判断されるのか。そして、本当に離婚すべきなのか、それとも乗り越えられるのか。冷静に考えるための情報をお届けします。

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目次 [閉じる]

「価値観の違い」とは何か

離婚原因で一番多いのが、「価値観の違い」

裁判所の司法統計を見ると、離婚理由として最も多く挙げられるのが「性格の不一致」や「価値観の違い」です。

でも、これらは非常に抽象的な言葉。具体的に何が違うのか、どの程度の違いなのか。それによって、離婚が認められるかどうかが変わります。

価値観とは何か

価値観とは、「何を大切だと思うか」「何が正しいと考えるか」という、その人の根本的な考え方のことです。

価値観の例

  • お金の価値観:貯金が安心か、使って楽しむか
  • 時間の価値観:効率重視か、のんびり過ごすか
  • 家族の価値観:家族第一か、個人の自由も大切か
  • 仕事の価値観:出世が重要か、ワークライフバランスか
  • 子育ての価値観:厳しく育てるか、自由に育てるか

なぜ結婚前に気づかないのか

「結婚前は気づかなかった」という方も多いでしょう。

恋愛中は、相手の良いところしか見えません。デートは楽しい時間だけ。日常生活の細かいことまでは、見えていないんです。

結婚して初めて、生活習慣、お金の使い方、休日の過ごし方、家事の分担。こうした日常の中で、価値観の違いが浮き彫りになります。

価値観の違いは誰にでもある

大前提として、完全に価値観が一致する夫婦など、存在しません。

育った環境も、経験も、考え方も違う二人が一緒になるのですから、価値観が違って当然です。

問題は、その違いを「面白い」「刺激的」と感じられるか、それとも「耐えられない」「苦痛」と感じるか。後者なら、深刻です。

どこまでが「普通」でどこからが「離婚理由」か

「これくらいの違いは、どの夫婦にもある」のか、「これは深刻な不一致」なのか。

その境界線を見極めることが、この記事の目的です。

法律的に見た「価値観の違い」

価値観の違いだけでは離婚できない

結論から言えば、「価値観が合わない」というだけでは、離婚理由として弱いです。

相手が離婚に同意すれば、どんな理由でも離婚できます。でも、相手が拒否している場合、裁判で離婚を認めてもらうには、民法第770条の「婚姻を継続し難い重大な事由」が必要です。

単なる「価値観の違い」では、この「重大な事由」には該当しません。

「婚姻を継続し難い」とは

「婚姻を継続し難い」とは、夫婦関係が完全に破綻していて、修復の見込みがない状態を指します。

価値観の違いが原因で、以下のような状態になっていれば、「重大な事由」に該当する可能性があります。

会話が成立しない 話し合おうとしても、価値観の違いから毎回衝突。建設的な会話ができない。

日常生活が破綻している お金の使い方、家事の分担、休日の過ごし方。価値観の違いから、日常生活が成り立たない。

長期間の別居 価値観の違いに耐えられず、別居している。3年、5年と別居が続いている。

精神的に追い詰められている 価値観の違いを押し付けられ、または否定され続け、うつ病などを発症した。

具体的な問題と結びついている必要がある

「なんとなく合わない」ではダメです。価値観の違いが、具体的にどんな問題を引き起こしているか、明確にする必要があります。

例:お金の価値観の違い 夫は貯金したい、妻は旅行に使いたい。この違いが原因で、毎月喧嘩。家計が破綻しかけている。

例:家族の価値観の違い 夫は親と同居すべきだと考える、妻は別居したい。この違いから、義理の両親を巻き込んだ大きな対立に。

例:子育ての価値観の違い 教育方針が真逆。この違いが原因で、子どもが板挟みになり、情緒不安定に。

こうした「具体的な問題」と結びついていれば、離婚理由として認められやすくなります。

改善の努力をしたか

裁判所が重視するのは、「改善の努力をしたか」です。

価値観の違いに気づいた時点で、話し合いを試みたか。夫婦カウンセリングを受けたか。妥協点を探る努力をしたか。

何もせずに「合わないから離婚」では、認められません。「様々な努力をしたが、どうしても合わなかった」という経緯が必要です。

広島家庭裁判所での傾向

広島家庭裁判所でも、価値観の違いだけを理由とした離婚は、認められにくい傾向があります。

ただし、価値観の違いが原因で具体的な問題が生じている、長期間の別居がある、改善の努力を尽くした。こうした事情があれば、離婚が認められるケースもあります。

離婚理由になりやすい価値観の違い10

どんな価値観の違いが、離婚理由として認められやすいのか。具体例を見ていきましょう。

お金の価値観の違い

浪費家 vs 節約家 一方は「お金は使って楽しむもの」と考え、趣味や娯楽に湯水のように使う。もう一方は「将来のために貯金すべき」と考え、1円でも節約したい。

この違いが原因で、家計が破綻する、借金ができる、毎日喧嘩になる。

何にお金を使うかの違い 夫は車やバイクにお金をかけたい。妻は家族旅行や子どもの教育にお金をかけたい。

優先順位の違いが、深刻な対立を生む。

広島での具体例 広島カープの年間シートに何万円も使う夫と、「そんなお金があるなら生活費に回して」という妻。マツダスタジアムに通う頻度で大喧嘩。

家族観の違い

親との距離感 夫は「親と同居するのが当然」と考える。妻は「核家族で暮らしたい」と考える。

または、妻は「毎週実家に帰りたい」と考えるが、夫は「もっと自分たちの時間を大切にすべき」と考える。

家族行事への考え方 夫は「正月、盆、法事、すべて参加すべき」と考える。妻は「形式的な行事より、普段の交流が大切」と考える。

広島では、親族の結びつきが強い地域もあり、この価値観の違いが大きな問題になることがあります。

仕事への価値観の違い

仕事第一 vs 家庭第一 夫は「仕事が何より大切。出世のためなら、家庭は二の次」と考える。妻は「家族との時間を大切にしてほしい」と考える。

または、妻がキャリア志向で「仕事を辞めたくない」と考えるが、夫は「子どもが小さいうちは専業主婦になるべき」と考える。

転勤への考え方 夫の転勤に、妻は「家族でついていくべき」と考えるか、「子どもの学校があるから単身赴任すべき」と考えるか。

広島から東京、大阪への転勤。または広島市内から県北への転勤。家族で動くか、別居するか。この選択で夫婦が対立します。

休日の過ごし方の違い

アクティブ vs インドア 夫は「休日は外に出て、アウトドアを楽しみたい」と考える。妻は「家でゆっくり過ごしたい」と考える。

宮島にハイキング、瀬戸内海でキャンプ。夫は毎週出かけたい。妻は「たまにはゆっくり家にいたい」。

一緒に過ごす vs 別々に過ごす 夫は「休日は家族で過ごすべき」と考える。妻は「たまには一人の時間がほしい」と考える。

または、夫は「休日は趣味に没頭したい」と考え、妻は「家族サービスをしてほしい」と考える。

家事・育児の分担への価値観

性別役割分担 夫は「家事は妻の仕事」と考える。妻は「共働きなんだから、家事も半分ずつ」と考える。

または、「男は外で働き、女は家を守る」という昭和的な価値観と、「夫婦は対等、家事も育児も平等に」という現代的な価値観の対立。

家事のやり方 妻は「きちんと掃除、整理整頓」を重視。夫は「多少散らかっていても気にしない」。

この違いが、毎日の小さなストレスになり、積み重なって爆発する。

子どもを持つことへの価値観

子どもがほしい vs ほしくない 最も深刻な価値観の違いの一つ。

結婚前は「そのうち考えよう」と曖昧にしていたが、いざ結婚すると、一方は「すぐにでもほしい」、もう一方は「まだ早い」または「そもそもほしくない」。

子どもの人数 妻は「一人っ子で十分」と考える。夫は「兄弟姉妹がいた方がいい、三人はほしい」と考える。

経済的な理由、体力的な理由、様々な要因が絡みます。

宗教への価値観

熱心な信者 vs 無宗教 一方が特定の宗教の熱心な信者。もう一方は無宗教、または別の宗教。

結婚前は「尊重し合おう」と思っていたが、実際には、礼拝への参加を強要される、献金が家計を圧迫する、子どもへの影響を懸念する。

広島にも様々な宗教団体があり、この問題で悩む夫婦は少なくありません。

将来設計への価値観

マイホーム vs 賃貸 夫は「家を買ってこそ一人前」と考える。妻は「ローンに縛られたくない、賃貸でいい」と考える。

広島市内でマンションを買うか、郊外に一戸建てを買うか、それとも賃貸のままでいいか。人生の大きな決断で、価値観が対立します。

老後への考え方 早いうちから老後資金を貯めるべきか、今を楽しむべきか。将来、田舎で暮らしたいか、都市部にいたいか。

友人関係への価値観

社交的 vs 内向的 夫は「友人を家に招いて、よくパーティーをしたい」と考える。妻は「家族だけの時間を大切にしたい」と考える。

または、配偶者の友人が気に入らない、異性の友人との付き合いが気になる。

清潔感や生活習慣の違い

潔癖 vs 大雑把 妻は「毎日掃除、毎日お風呂」が当然。夫は「週に一度掃除すればいい、風呂も時々でいい」と考える。

靴を脱ぐ場所、食器の洗い方、洗濯物のたたみ方。些細なことの積み重ねが、大きなストレスに。

生活リズム 夫は朝型、妻は夜型。または、夫は「規則正しい生活が大切」と考え、妻は「自由でいいじゃない」と考える。

価値観の違いで離婚する前に試すべき5つのこと

離婚を決断する前に、以下の5つを試してみてください。

徹底的に話し合う

「わかってくれない」と諦める前に、本当に話し合いましたか?

効果的な話し合いの方法

  • 相手の話を最後まで聞く(途中で反論しない)
  • 「あなたはおかしい」ではなく「私はこう感じる」と伝える
  • 「なぜそう考えるのか」背景を理解しようとする
  • 一度に全部解決しようとしない

週末、落ち着いた場所で、時間をかけて話し合いましょう。

妥協点を探る

二者択一ではなく、中間点を 「私の価値観 vs あなたの価値観」ではなく、「二人が納得できる第三の道」はないでしょうか。

例:お金の価値観 夫の希望:毎月5万円は趣味に使いたい 妻の希望:全額貯金したい 妥協点:月2万円は趣味費、3万円は貯金

例:休日の過ごし方 夫の希望:毎週アウトドア 妻の希望:家でゆっくり 妥協点:月2回は外出、2回は家で過ごす

夫婦カウンセリングを受ける

二人だけでは話が平行線。そんな時は、プロの力を借りましょう。

夫婦カウンセラーは、価値観の違いを整理し、お互いが歩み寄れるポイントを見つける手伝いをしてくれます。

広島市内にも、夫婦カウンセリングを行っている機関があります。

別居して冷静になる

毎日顔を合わせているから、イライラが募るのかもしれません。

短期間の別居で、お互いに冷静になる時間を持つ。その間に、「本当に離婚したいのか」「相手の大切さに気づくのか」を見極める。

優先順位をつける

すべての価値観が一致する必要はありません。

「これだけは譲れない」ことと、「まあ、合わせてもいい」ことを区別しましょう。

お互いが「これだけは譲れない」ことを尊重し合えれば、他のことは妥協できるかもしれません。

価値観の違いで離婚する場合の証拠

話し合いを尽くしても、どうしても合わない。離婚を決断したなら、証拠を集めましょう。

価値観の違いを示す記録

日記 いつ、どんな価値観の違いで衝突したか。詳しく記録しましょう。

「○月○日、夫が友人10人を家に呼ぶと言い出した。私は家族だけで静かに過ごしたかったのに。『お前は付き合いが悪い』と責められた」

メールやLINE 価値観の違いについてのやりとりを、すべて保存しておきましょう。

具体的な問題の証拠

価値観の違いが、具体的にどんな問題を引き起こしているか。

お金の問題 浪費の証拠、借金の証明書、家計簿。

家事の問題 「家事は妻がすべきだ」と言われたメール、家事分担表(実際には妻だけが負担している記録)。

子育ての問題 教育方針の違いで子どもが混乱している証拠、学校やカウンセラーからの報告。

話し合いの試みの記録

「話し合いを試みたが、相手が応じなかった」ことを示す記録。

「明日、将来のことについて話し合いたい」というメールと、「そんな話は必要ない」という返信。

精神的ダメージの証拠

価値観の違いを押し付けられ続けた結果、精神的に追い詰められた。

うつ病、適応障害、不眠症。診断書があれば、深刻さを証明できます。

別居の事実

価値観の違いに耐えられず、別居した。

別居開始日、別居の理由を伝えたメール、住民票。これらが証拠になります。

弁護士に依頼するメリット

価値観の違いでの離婚は、法的判断が難しい分野です。

離婚が認められるか判断してもらえる

「この価値観の違いで、離婚が認められるか」。弁護士なら、過去の判例から判断できます。

「抽象的」を「具体的」に変えてもらえる

「価値観が合わない」という抽象的な訴えを、法的に有効な主張に変換してくれます。

「金銭感覚の違いにより、家計が破綻し、婚姻関係を継続することが困難になった」

こうした法的な表現に組み立ててくれます。

必要な証拠をアドバイスしてもらえる

「どんな証拠が有効か」「どう記録すればいいか」。具体的に教えてくれます。

調停や裁判で代理人になってもらえる

「価値観が合わない」という主張は、感情的になりがち。弁護士が冷静に、法的に正しく主張してくれます。

関係修復の可能性も探ってもらえる

良い弁護士は、「本当に離婚がベストか」も一緒に考えてくれます。

夫婦カウンセリングを勧めてくれる、別居を提案してくれる。そんなサポートも期待できます。

広島で価値観の違いに詳しい弁護士の選び方

離婚案件の経験が豊富か

価値観の違いは、離婚理由として最も多いケース。経験豊富な弁護士なら、様々なパターンを知っています。

「性格の不一致」案件に詳しいか

価値観の違いは、「性格の不一致」の一形態。この分野に詳しい弁護士を選びましょう。

あなたの価値観を否定しないか

「それくらいで離婚?」と否定する弁護士ではダメです。

あなたの価値観を尊重し、真剣に聞いてくれる弁護士を選んでください。

現実的な見通しを示してくれるか

「絶対に離婚できます」と断言する弁護士も、「無理です」と門前払いする弁護士も、避けましょう。

「このケースなら、こういう可能性があります」と現実的に教えてくれる弁護士が理想です。

関係修復の選択肢も提示してくれるか

すぐに離婚を勧めるのではなく、「まだ修復の可能性はありませんか?」と聞いてくれる弁護士。

本当にあなたのことを考えてくれる専門家を選びましょう。

まとめ:価値観の違いで悩むあなたへ

価値観の違いで苦しんでいるあなたへ。

価値観が違うこと自体は、悪いことではありません。違う価値観を持つ二人が、お互いを尊重し合えれば、それは豊かな関係です。

問題は、「尊重し合えるか」「妥協できるか」「歩み寄れるか」。

もし、一方的に価値観を押し付けられている、自分の価値観を全否定されている、価値観の違いが原因で日常生活が破綻している。

そんな状況なら、離婚を考えるのは当然です。

でも、まだ話し合いの余地があるなら、まだお互いに歩み寄る可能性があるなら。もう一度、向き合ってみませんか?

夫婦カウンセリング、一時的な別居、徹底的な話し合い。試せることは、まだあるかもしれません。

それでも無理なら、離婚という選択も、決して間違いではありません。

価値観の違いでの離婚は、法的には難しいケースもあります。でも、具体的な問題と結びつけ、証拠を集め、改善の努力の記録を残せば、認められる可能性はあります。

広島には、あなたを助けてくれる弁護士がいます。一人で悩まず、まずは相談してみてください。

あなたには、自分の価値観を大切にして生きる権利があります。 無理に合わせて、自分を殺す必要はありません。

でも、決断する前に、もう一度だけ、「本当に修復不可能なのか」「子どもへの影響は?」「離婚後の生活は?」を、冷静に考えてみてください。

この記事が、あなたにとって最善の選択をするための、道しるべになれば幸いです。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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