共同親権を拒否できる?相手からの要求への対応方法と単独親権を選ぶための手続き
2024年5月に成立した民法改正により、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」が選択できるようになりました。しかし、すべての離婚において共同親権が望ましいわけではありません。「元配偶者から共同親権を求められているが、応じたくない」「DV被害があったのに、相手が共同親権を主張している」「養育に無関心だった相手が、離婚時になって急に親権を主張してきた」。このような状況に直面している方は少なくありません。
共同親権制度は選択制であり、必ずしも共同親権にしなければならないわけではありません。一方の親が拒否した場合、または拒否する正当な理由がある場合は、単独親権を選択できます。特に、DV(ドメスティックバイオレンス)や児童虐待があった場合、父母の対立が激しく協力が不可能な場合などは、共同親権は認められるべきではありません。
しかし、実際に相手から共同親権を求められたとき、どのように対応すればよいのか、どのような理由があれば拒否できるのか、裁判所はどのように判断するのか、といった具体的な情報を知らない方も多いでしょう。
この記事では、共同親権を拒否したい場合の法的根拠、相手から共同親権を求められた際の対応方法、単独親権を主張するための手続きと必要な証拠、そして実際に単独親権を獲得するための実践的なアドバイスまで、詳しく解説していきます。
注意:本記事は2024年5月の改正民法成立時点の情報に基づいています。施行後の具体的な運用や判断基準は変更される可能性があります。実際に対応される際は、最新の情報を確認し、専門家に相談することを強くおすすめします。
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共同親権を拒否できる法的根拠
まず、共同親権の要求を拒否することが法律上認められているのかを理解しましょう。
共同親権は義務ではなく選択肢
2024年改正民法において最も重要なのは、共同親権が「義務」ではなく「選択肢」として位置づけられている点です。すべての離婚で共同親権が強制されるわけではなく、父母の協議または裁判所の判断により、単独親権か共同親権かを選択します。
したがって、一方の親が共同親権を希望しても、もう一方の親が反対すれば、自動的に共同親権になるわけではありません。父母の合意がない場合は、最終的に裁判所が「子の利益」を基準に判断します。
この制度設計の背景には、共同親権がすべてのケースで適切とは限らないという認識があります。特に、DV・虐待のケースや、父母の対立が激しいケースでは、共同親権は子どもにとって有害となる可能性が高いため、拒否する権利が保障されています。
子の利益が最優先基準
共同親権か単独親権かを判断する際、最も重要な基準は「子の利益」です。父母のどちらの希望が通るかではなく、子どもにとって何が最善かという視点で判断されます。
「子の利益」を判断する際には、以下のような要素が考慮されると想定されています。
- 父母の協力関係が築けるかどうか
- 子どもの意思(一定の年齢以上の場合)
- これまでの養育状況
- 父母それぞれの養育能力と意欲
- DV・虐待の有無
- 父母間の対立の程度
- 居住地の距離
これらを総合的に判断し、共同親権が子の利益に適わないと判断されれば、一方の親が希望しても、単独親権となります。
DV・虐待があった場合の特別な考慮
改正法の議論において、最も重視されたのがDV・虐待への対応です。DV被害者や児童虐待の被害を受けた子どもが、加害者と継続的に関わらなければならない状況は、極めて危険です。
改正法では、以下のような場合、共同親権は認められない方向性が明確に示されています。
- 配偶者に対するDV(身体的暴力、精神的暴力、経済的暴力、性的暴力など)
- 子どもに対する虐待(身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト)
- 父母間の激しい対立により、子どもの福祉が害されるおそれがある場合
これらのケースでは、被害者が明確に「拒否する」という意思を示すことが重要です。加害者が「反省している」「もう暴力は振るわない」と主張しても、被害者の安全と子どもの福祉が最優先されるべきです。
協議離婚における拒否の効果
協議離婚(裁判所を通さずに離婚届を提出する離婚)の場合、共同親権にするには父母双方の合意が必要です。したがって、一方が拒否すれば、協議離婚では共同親権にすることはできず、単独親権となります。
離婚届には、「単独親権」か「共同親権」かを選択する欄が設けられる見込みです。一方が共同親権を希望しても、もう一方が単独親権にチェックを入れて署名しなければ、その離婚届は受理されないか、または単独親権として扱われることになります。
相手が共同親権を強く主張し、単独親権での協議離婚に応じない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停の中で親権の形態を決めることになります。
共同親権を拒否すべき具体的な状況
どのような場合に共同親権を拒否すべきか、具体的なケースを見ていきます。
DV被害を受けていた場合
配偶者からDVを受けていた場合、共同親権は絶対に拒否すべきです。DVには以下のような形態があります。
身体的暴力 殴る、蹴る、物を投げつける、髪を引っ張る、首を絞めるなど、身体に対する直接的な暴力です。怪我の有無に関わらず、暴力行為そのものがDVです。
精神的暴力 罵倒する、無視する、行動を監視する、交友関係を制限する、大声で怒鳴る、物を壊して脅すなど、精神的に支配し、傷つける行為です。身体的暴力がなくても、精神的暴力だけでも深刻なDVです。
経済的暴力 生活費を渡さない、働くことを禁止する、収入を取り上げる、借金を強要するなど、経済的に支配する行為です。
性的暴力 性行為を強要する、避妊に協力しない、中絶を強要するなど、性的な自己決定権を侵害する行為です。
これらのDV被害があった場合、共同親権を認めることは、加害者による支配の継続を意味します。子どもに関する協議を口実に、被害者に接触し続けることができ、支配や暴力が再発するリスクが高いのです。
子どもへの虐待があった場合
子どもに対する虐待があった場合も、共同親権は絶対に拒否すべきです。児童虐待には以下の種類があります。
身体的虐待 殴る、蹴る、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞めるなど、子どもの身体に危害を加える行為です。
性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る・触らせる、ポルノグラフィの被写体にするなど、子どもに対する性的な行為です。
心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの面前でのDV(面前DV)など、子どもの心を傷つける行為です。
ネグレクト 食事を与えない、不潔なまま放置する、病気やケガを治療しない、学校に行かせない、車内に放置するなど、子どもの基本的な世話を怠る行為です。
虐待をした親に親権を与えることは、子どもを再び危険にさらすことになります。「もう虐待はしない」という約束は信用できず、共同親権を通じて子どもへのアクセスを確保し、虐待を継続するリスクがあります。
父母間の対立が激しい場合
DVや虐待がなくても、父母間の対立があまりに激しく、建設的な話し合いが不可能な場合、共同親権は機能しません。
例えば、以下のような状況です。
- 離婚原因が不倫で、相手への憎悪が強く、顔を見ることも話すことも苦痛
- 連絡を取ろうとすると、必ず口論になり、感情的になる
- 子どものことでさえ、すべての事項で意見が対立する
- 相手が嫌がらせ目的で反対ばかりする
このような状況で共同親権にすると、重要な決定のたびに対立が生じ、子どもが板挟みになります。裁判所での調停や審判を繰り返すことになり、子どもの利益を害します。
父母が冷静に協議できない状況では、共同親権は避け、単独親権で明確に責任を分ける方が、子どもにとって健全です。
相手が養育に無関心・無責任だった場合
婚姻中、相手が子どもの養育にほとんど関わらず、無関心だった場合も、共同親権を拒否する理由になります。
具体的には、以下のような状況です。
- 子どもの学校行事に一度も参加したことがない
- 子どもの担任の先生の名前を知らない
- 子どもと遊んだり、話をしたりすることがほとんどなかった
- おむつ替えや食事の世話など、基本的な育児をしたことがない
- 子どもの病気や怪我の時も無関心だった
このような親が、離婚時になって突然「親権を持ちたい」と主張するのは、本当に子どものためを思ってのことではなく、離婚条件を有利にするため、または元配偶者への嫌がらせ目的である可能性があります。
養育に無関心だった親に共同親権を与えても、実際には決定に参加せず、形骸化する可能性が高いでしょう。むしろ、たまに思いつきで口を出し、養育を混乱させるリスクがあります。
遠距離または海外居住の場合
父母の居住地が極端に遠い場合、共同親権の実効性は大幅に低下します。
例えば、一方が東京、もう一方が九州や北海道に住んでいる場合、緊急時の対応ができず、日常的なコミュニケーションも困難です。ましてや、一方が海外に移住する場合、時差や距離の問題で、共同での決定は非現実的です。
このような場合、形式的に共同親権としても、実際には機能せず、単独親権と同じ状況になります。むしろ、重要な決定のたびに、連絡が取れない、時間がかかるなどの問題が生じます。
遠距離や海外居住の場合は、単独親権とし、適切な面会交流(オンラインでの交流を含む)を保障する方が現実的です。
相手から共同親権を求められた際の対応方法
実際に相手から共同親権を要求された場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
まずは明確に拒否の意思を伝える
相手から共同親権を求められたら、まずは明確に「拒否する」という意思を伝えることが重要です。曖昧な態度を取ると、「合意した」と誤解されたり、相手が諦めずに説得を続けたりします。
伝え方としては、以下のような方法があります。
口頭で伝える 直接会って、または電話で、「共同親権には応じられません。単独親権を希望します」と明確に伝えます。ただし、口頭だけでは証拠が残らないため、後で「そんなことは言っていない」と争いになるリスクがあります。
書面で伝える メールやLINE、または手紙で、拒否の意思を文書として残します。「○月○日の話し合いで、あなたは共同親権を希望されましたが、私は単独親権を希望します。理由は以下の通りです」と、具体的に記載します。
内容証明郵便で伝える 相手が執拗に共同親権を主張する場合、内容証明郵便で正式に拒否の意思を伝えます。内容証明郵便は、いつ、誰が、誰に、どんな内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれるサービスです。法的な証拠能力が高く、相手に対して強い意思を示すことができます。
拒否する理由を明確にする
単に「嫌だから」「関わりたくないから」という感情的な理由だけでなく、「なぜ共同親権が適さないのか」を具体的に説明できるようにしておきます。
例えば、以下のような理由です。
- DV被害があり、今後も接触することは恐怖である
- 子どもへの虐待があり、子どもの安全が確保できない
- 婚姻中、あなたは子どもの養育に関心を示さなかった
- 話し合いが常に口論になり、建設的な協議ができない
- あなたは遠方に住んでおり、共同での決定は現実的でない
理由を明確にすることで、裁判所での手続きになった場合にも、主張が説得力を持ちます。
安易な妥協をしない
相手から「養育費を多く払うから共同親権にしてほしい」「財産分与を有利にするから」といった条件を提示されることがあります。また、「離婚を早く成立させたいなら、共同親権に同意してほしい」と圧力をかけられることもあります。
しかし、共同親権の選択は、子どもの今後の養育に長期的に影響する重要な決定です。金銭的な条件や離婚の早期成立と引き換えに、安易に妥協すべきではありません。
特に、DV被害があった場合、「もう暴力は振るわない」「反省している」と言われても、信用してはいけません。DV加害者は、しばしば離婚を避けるため、または支配を継続するために、一時的に態度を改めることがあります。
協議離婚では合意しない
相手が共同親権を強く主張し、単独親権での協議離婚に応じない場合、無理に協議離婚を成立させようとしないことが重要です。
協議離婚では父母の合意が必要なため、どちらかが譲歩しなければ成立しません。自分が譲歩して共同親権に同意するか、相手が譲歩して単独親権に同意するかのどちらかです。
相手が譲歩しない場合、協議離婚を諦め、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。調停では、調停委員が間に入り、双方の意見を聞いた上で、適切な親権の形態を提案してくれます。合意に至らなければ、裁判所が判断します。
証拠を集めておく
共同親権を拒否する正当な理由があることを、後で証明できるよう、証拠を集めておくことが重要です。
DV・虐待の証拠
- 怪我の写真
- 医師の診断書
- 警察への相談記録
- 配偶者暴力相談支援センターへの相談記録
- DV被害を記録した日記やメモ
- 暴力的なメールやLINEのメッセージ
- 近隣住民や親族の証言
養育への無関心の証拠
- 学校行事の出席記録(相手が一度も来ていない)
- 育児日記(誰が何をしたかの記録)
- 子どもの病院への付き添い記録
- 写真やビデオ(子どもと関わっている様子が全くない)
対立の激しさの証拠
- 口論になったときのメールやLINEのやり取り
- 第三者(カウンセラーや弁護士)の所見
- 過去の調停や裁判の記録
これらの証拠は、調停や審判で提出し、「共同親権は子の利益に反する」ことを主張する材料になります。
家庭裁判所での手続きと対応
協議で解決しない場合、家庭裁判所での手続きになります。
離婚調停の申立て
相手が単独親権に同意しない場合、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てます。調停では、離婚すること自体の合意と、離婚条件(親権、養育費、財産分与など)を話し合います。
調停の申立てに必要な書類は以下の通りです。
- 夫婦関係調整調停申立書(裁判所のウェブサイトからダウンロード可)
- 申立人と相手方の戸籍謄本
- 年収を証明する書類(源泉徴収票、確定申告書など)
費用は、収入印紙1,200円と数百円分の郵便切手です。弁護士を立てる必要はなく、自分で申し立てることができますが、DV被害があった場合など、弁護士のサポートを受けることを強くおすすめします。
調停での主張方法
調停では、調停委員が双方の話を個別に聞き、合意に向けて調整します。共同親権を拒否したい場合、調停委員に対して、以下の点を明確に伝えます。
自分の希望 「単独親権を希望します。私が親権者になることを希望します」と明確に述べます。
拒否する理由 DVや虐待の事実、相手の養育への無関心、対立の激しさなど、具体的な理由を説明します。感情的にならず、事実を冷静に述べることが重要です。
証拠の提出 準備しておいた証拠(診断書、メール、写真など)を提出します。調停委員は、これらの証拠を考慮して、調停案を検討します。
子どもへの影響 「共同親権になると、子どもがどのような影響を受けるか」を具体的に説明します。例えば、「元配偶者と連絡を取ることで、私が精神的に不安定になり、子どもの養育に支障が出る」「子どもが両親の対立に巻き込まれ、心理的な負担を負う」といった点です。
調停委員の判断傾向
調停委員は、双方の話を聞いた上で、「このケースでは単独親権が適切」または「共同親権も検討できる」といった提案をします。
調停委員が単独親権を勧める傾向があるのは、以下のようなケースです。
- DV・虐待の証拠が明確にある
- 父母の対立が激しく、協議が不可能と判断される
- 一方の親が養育に無関心であることが明らか
- 相手が嫌がらせ目的で共同親権を主張していると判断される
一方、調停委員が共同親権を勧める傾向があるのは、以下のようなケースです。
- 父母が冷静に話し合える関係にある
- 両親とも子どもの養育に積極的である
- 明確なDV・虐待の証拠がない
- 子どもが両親との関係を望んでいる
調停委員の提案に必ずしも従う必要はありませんが、第三者の客観的な意見として、参考にする価値はあります。
調停不成立の場合の審判
調停で合意に至らない場合、手続きは自動的に「審判」に移行します。審判では、裁判官が双方の主張と証拠を検討し、親権の形態を決定します。
審判では、以下のような点が重視されます。
子の利益 最も重要な基準です。どちらの形態が子どもにとって最善かという視点で判断されます。
これまでの養育状況 婚姻中、主に誰が子どもの世話をしていたか、どちらの親と子どもの関係が深いかが考慮されます。
父母の協力可能性 共同親権が機能するためには、父母の協力が不可欠です。協力が期待できない場合、単独親権が選択されます。
DV・虐待の有無 DV・虐待の証拠がある場合、加害者に親権を与えることは子の利益に反すると判断されます。
子どもの意思 子どもが一定の年齢(概ね10歳以上)に達している場合、子どもの意思も考慮されます。家庭裁判所調査官が子どもと面接し、意見を聴取します。
審判の結果に不服がある場合は、2週間以内に「抗告」(不服申立て)ができます。
DV被害者のための特別な配慮
DV被害者が調停や審判に参加する場合、裁判所では様々な配慮がなされます。
別室での待機 加害者と顔を合わせないよう、別々の待合室を用意してもらえます。
入室時間をずらす 加害者と遭遇しないよう、裁判所への入室時間や退出時間をずらしてもらえます。
付き添い人の同席 調停室に、弁護士や支援者の同席を求めることができます。
調停の進行方法の工夫 加害者と同席しなくても調停が進められるよう、調停委員が個別に話を聞く時間を長くするなどの工夫がなされます。
これらの配慮を希望する場合は、申立書にその旨を記載するか、または調停の初回期日前に裁判所に連絡して、事前に伝えておくことが重要です。
単独親権を獲得するための実践的アドバイス
共同親権を拒否し、単独親権を獲得するための具体的な方法をお伝えします。
早期に専門家に相談する
共同親権を拒否したい場合、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。特に、DV被害がある場合、専門家のサポートは不可欠です。
弁護士に相談するメリット
- 自分のケースで単独親権が認められる可能性を判断してもらえる
- どのような証拠が必要か、アドバイスを受けられる
- 相手との交渉を代理してもらえる
- 調停や審判に同席してもらえる
- DV被害者への配慮を裁判所に求めてもらえる
費用面で心配な方は、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、無料相談や弁護士費用の立て替えが受けられます。また、DV被害者向けの法律相談を無料で提供している団体もあります。
証拠を体系的に整理する
証拠を集めるだけでなく、分かりやすく整理しておくことが重要です。
時系列での整理 DV・虐待があった日時、場所、内容を時系列で整理します。「○年○月○日、リビングで、理由もなく殴られた」というように、具体的に記録します。
写真の整理 怪我の写真は、日付入りで印刷し、どの出来事の時の写真かが分かるようにします。
文書の整理 診断書、警察への相談記録、メールなどの文書は、種類ごとに分け、インデックスを付けます。
証拠説明書の作成 「この証拠は何を証明するものか」を簡潔に説明する文書(証拠説明書)を作成します。裁判所や調停委員が証拠を理解しやすくなります。
子どもの最善の利益を中心に主張する
調停や審判では、「自分が親権を持ちたい」という希望だけでなく、「子どもにとって単独親権が最善である」という視点で主張することが重要です。
良い主張の例
- 「相手はDVの加害者であり、共同親権になると私が恐怖を感じ、子どもの養育に支障が出ます」
- 「婚姻中、相手は子どもの養育に無関心でした。今になって親権を主張するのは、嫌がらせ目的と思われます」
- 「父母の対立が激しく、共同親権では決定のたびに紛争が生じ、子どもが板挟みになります」
避けるべき主張
- 「相手が嫌いだから」「顔も見たくないから」という感情的な理由だけ
- 「自分が親権を持つ権利がある」という親の権利の主張
- 相手への個人攻撃や誹謗中傷
常に「子どもにとって」という視点を忘れずに主張しましょう。
自分の養育能力をアピールする
単独親権を獲得するには、「自分が適切に子どもを養育できる」ことを示す必要もあります。
養育の実績 婚姻中、主に自分が子どもの世話をしていたこと、学校行事に参加していたこと、子どもと良好な関係を築いていることを示します。
養育環境 離婚後の住居、収入、サポート体制(祖父母の協力など)が整っていることを説明します。
養育計画 離婚後、どのように子どもを養育していくか、具体的な計画を示します。「平日は保育園に預け、自分が仕事から帰った後に一緒に過ごす。週末は公園や図書館に連れて行く」といった具体例です。
面会交流への姿勢 単独親権を希望する場合でも、相手と子どもの面会交流については、「子どもにとって必要であれば認める」という柔軟な姿勢を示すことが望ましいです。ただし、DV・虐待がある場合は、「子どもの安全が確保されることが前提」と条件を付けます。
子どもの意思を適切に反映させる
子どもが一定の年齢に達している場合、子ども自身の意思も重要な判断材料になります。
ただし、子どもに「お父さんとお母さん、どっちがいい?」と直接聞くことは、子どもを板挟みにし、心理的な負担を与えます。また、子どもは親の顔色を見て、本心と違うことを言う場合もあります。
家庭裁判所では、家庭裁判所調査官という専門家が、子どもと面接し、子どもの気持ちを丁寧に聴き取ります。親がいない場所で、子どもがリラックスして話せる環境を作り、本心を引き出します。
子どもの意思を反映させるには、「家庭裁判所調査官による調査を希望する」と裁判所に申し出ることができます。
精神的なサポートを受ける
共同親権の拒否、離婚手続き、元配偶者との対立など、非常にストレスの多い状況です。精神的なサポートを受けることも重要です。
カウンセラー・心理士 自分の感情を整理し、ストレスに対処する方法を学べます。また、調停や審判での証言として、カウンセラーの所見が役立つこともあります。
支援団体 DV被害者支援団体、離婚家庭支援団体など、同じような経験をした人たちと情報交換したり、励まし合ったりできます。
配偶者暴力相談支援センター DV被害者のための公的な相談窓口です。緊急時の保護、法的な支援、住居や就労の支援など、総合的なサポートが受けられます。
自治体の相談窓口 多くの自治体には、離婚に関する相談窓口があります。法律相談、生活支援、子どもの心理的ケアなど、様々な支援を受けられます。
一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に活用しましょう。
まとめ
2024年の民法改正で導入される共同親権制度は選択制であり、一方の親が拒否すれば、共同親権は強制されません。特に、DV・虐待があった場合、父母の対立が激しい場合、相手が養育に無関心だった場合などは、共同親権を拒否し、単独親権を選択すべきです。
相手から共同親権を求められた場合、まずは明確に拒否の意思を伝え、その理由を具体的に説明できるようにしておきます。安易な妥協はせず、必要であれば家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停や審判で単独親権を主張します。
単独親権を獲得するには、DVや虐待の証拠、相手の養育への無関心の証拠、対立の激しさを示す証拠などを体系的に整理し、「共同親権は子の利益に反する」ことを説得力を持って主張することが重要です。また、自分の養育能力をアピールし、子どもの意思を適切に反映させることも必要です。
弁護士、カウンセラー、支援団体など、専門家のサポートを積極的に活用することで、共同親権の拒否と単独親権の獲得がよりスムーズになります。
重要な注意点: 本記事は2024年5月の法改正成立時点の情報に基づいており、施行後の具体的な運用は変更される可能性があります。実際に対応される際は、最新の情報を確認し、専門家に相談することを強くおすすめします。
最も大切なのは、子どもの安全と幸せです。自分や子どもを守るために、共同親権を拒否する必要がある場合は、遠慮せず、堂々と主張しましょう。この記事が、共同親権の拒否を考えている方の参考になれば幸いです。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。