自己破産のデメリット7つを弁護士監修レベルで解説|よくある誤解と判断基準も紹介
自己破産を検討し始めると、ネットで目にするのは「人生が終わる」「すべてを失う」といった極端な情報ばかり。しかし実際には、自己破産後も普通に働き、普通に生活している人は大勢います。
とはいえ、デメリットがまったくないわけではありません。大切なのは、何が本当のデメリットで、何が単なる誤解なのかを正確に把握し、自分の状況に照らして冷静に判断することです。
この記事では、自己破産で実際に生じるデメリットを7つに絞って具体的に解説したうえで、世間に広まっている誤解にも触れていきます。さらに、デメリットを踏まえてもなお自己破産を選ぶべきケースや、自己破産以外の選択肢についても整理していますので、判断材料として活用してください。
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自己破産で実際に生じる7つのデメリット
自己破産のデメリットは、大きく分けると金銭面・生活面・手続き面の3つの側面に整理できます。順番に見ていきましょう。
信用情報に事故記録が残る(ブラックリスト入り)
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。これがいわゆるブラックリスト入りです。登録期間は機関によって異なりますが、おおむね免責決定から5年〜10年程度と言われています。
この間、新たにクレジットカードを作ることができず、住宅ローンや自動車ローンも組めません。すでに持っているカードも、更新のタイミングなどで利用停止になります。日常的にカード払いを使っている方にとっては、支払い方法の大幅な見直しが求められるでしょう。ただし、デビットカードやプリペイドカードは審査なしで持てるため、完全にキャッシュレス決済ができなくなるわけではありません。携帯電話の端末分割購入も審査に通りにくくなりますが、一括購入や中古端末の利用で対応は可能です。
一定額以上の財産を手放す必要がある
自己破産では、破産者が所有する財産のうち、時価20万円以上の価値があるものは原則として換価処分の対象になります。対象になり得る主な財産は次のとおりです。
- 不動産(持ち家・土地)
- 査定額20万円以上の自動車
- 解約返戻金が20万円以上の生命保険・学資保険
- 20万円を超える預貯金
- 有価証券(株式・投資信託など)
一方で、99万円以下の現金や生活に最低限必要な家財道具、仕事に不可欠な道具類は自由財産として手元に残せます。すべてを根こそぎ取り上げられるわけではないので、その点は正しく理解しておきましょう。また、裁判所の許可が下りれば自由財産の範囲を広げられる拡張制度もあります。
一部の職業・資格に制限がかかる
破産手続きの開始から免責が確定するまでの間、一部の職業に就くことが制限されます。代表的なものとしては、弁護士・税理士・公認会計士などの士業、宅地建物取引士、生命保険募集人、警備員などが挙げられます。
ただし、制限されるのは手続き中の3〜6ヶ月程度だけで、免責が確定すれば制限は解除されます。一生その職に就けなくなるわけではありません。また、一般的な会社員や公務員、飲食業、IT業界など、多くの職種は制限の対象に含まれていません。自分の仕事が対象かどうか不安な場合は、申し立て前に弁護士へ確認しておくのが確実です。
官報に氏名と住所が掲載される
自己破産をすると、破産手続開始決定時と免責許可決定時の2回、官報に氏名と住所が掲載されます。官報は国が発行する機関紙で、法令の公布や人事異動、裁判所の公告などが載っているものです。
とはいえ、官報を日常的に読んでいる一般人はまずいません。この記事を読んでいる方でも、一度も官報を手に取ったことがないという方がほとんどではないでしょうか。現実的に、官報への掲載がきっかけで友人や知人に知られるリスクは極めて低いといえます。ただし、2025年4月以降は官報が電子化され、インターネット上での閲覧がより容易になった点は念頭に置いておく必要があるでしょう。なお、一部のヤミ金業者が官報情報を元にダイレクトメールを送ってくるケースが報告されていますが、これには絶対に応じないようにしてください。
保証人に返済義務が移る
自己破産によって免責が認められても、その効果は破産者本人にしか及びません。保証人や連帯保証人がいる借金については、債権者からの請求がそのまま保証人へ向かいます。しかも多くの場合、分割ではなく残額の一括返済を求められます。
保証人が家族や親しい友人の場合、人間関係にも大きな影響を及ぼしかねません。事前に事情を説明し、場合によっては保証人自身の債務整理も含めた対策を弁護士と相談しておくことが重要です。なお、保証人のついた借金がネックになっている場合は、任意整理でその借金だけを対象から外すという選択肢もあります。
手続き中は居住地の移動や長期旅行が制限される
管財事件として手続きが進む場合、破産者は裁判所の許可なく居住地を離れることができなくなります。家族の事情による引っ越しや転勤であっても例外ではなく、許可を得る手続きが必要です。
もっとも、この制限は管財事件に限った話であり、めぼしい財産がなく同時廃止で手続きが進む場合には適用されません。また、管財事件であっても裁判所に申請すれば許可が出ることがほとんどなので、旅行や出張が完全に不可能になるわけではありません。
免責が認められないケースがある
自己破産を申し立てれば必ず借金がゼロになるとは限りません。破産法には免責不許可事由が定められており、これに該当すると免責が認められない可能性があります。主な免責不許可事由は以下のとおりです。
- ギャンブルや浪費が借金の主な原因である場合
- 財産を隠したり、不当に安く処分した場合
- 特定の債権者にだけ優先的に返済した場合
- 過去7年以内に免責を受けている場合
ただし、免責不許可事由があっても、裁判所が諸般の事情を考慮して免責を認める裁量免責という制度があり、実務上は多くのケースで免責が認められています。破産に至った経緯を真摯に反省し、手続きに誠実に協力する姿勢を見せることが、裁量免責を得るうえでは重要なポイントになります。とはいえ、申し立て前に財産を名義変更したり、特定の親族にだけ借金を返したりする行為は厳しく見られますので、手続きに入る前の行動には十分注意してください。
デメリットと誤解されがちな6つのこと
自己破産には根強いマイナスイメージがあるため、実際にはデメリットに当たらないことまで心配してしまう方が少なくありません。ここでは、特に多い誤解を一つずつ解消していきます。
まず、選挙権が剥奪されるという誤解がありますが、自己破産は選挙権にまったく影響しません。手続き中も手続き後も、これまでどおり投票できます。
次に、戸籍や住民票に破産歴が載るのではと心配する方もいますが、これも誤りです。戸籍にも住民票にもマイナンバーカードにも、自己破産の記録は一切記載されません。
年金がもらえなくなるという話もよく耳にしますが、事実ではありません。公的年金は差し押さえの対象外であり、自己破産を理由に受給資格を失うことはありません。すでに年金を受け取っている方も、今後受給予定の方も、これまでどおりです。
会社をクビになるのではという不安も根強いですが、自己破産は解雇の正当な理由にはなりません。裁判所から勤務先に通知が届くこともないため、自分から申告しない限り、職場に知られる可能性は低いです。万一知られたとしても、それだけを理由にした解雇は労働契約法上認められていません。
生活保護が受けられなくなるという心配も不要です。生活保護法に自己破産を理由とした受給制限は存在しません。むしろ、生活保護費で借金を返済することは認められていないため、借金がある状態では先に自己破産を勧められるケースもあります。
最後に、パスポートが取得できなくなるという噂もありますが、これも事実ではありません。自己破産がパスポートの発給に影響を与えることはなく、手続き後も海外渡航は自由にできます。
それでも自己破産を検討すべき人の特徴
デメリットを把握したうえで、それでも自己破産が最善の選択肢となるケースは実は少なくありません。ここでは、自己破産のメリットがデメリットを上回りやすい人の特徴をまとめます。
めぼしい財産を持っていない
処分対象となる高額な財産がない方は、自己破産による実質的な損失がほとんどありません。賃貸住まいで車も持っていない、あるいは車はあるが古くて査定額が20万円を下回るといったケースでは、生活環境を変えることなく借金だけをゼロにできる可能性が高いです。財産がない場合は同時廃止という簡易な手続きで進むことが多く、管財事件に比べて期間も費用も抑えられます。
資格制限の対象外の仕事に就いている
会社員や公務員、飲食業・IT業界・製造業・医療介護職など、資格制限の影響を受けない職種に就いている方にとっては、職業面のデメリットはゼロに等しいです。仕事に支障が出ないのであれば、手続き中の数ヶ月を乗り越えるだけで経済的な再建を図れます。免責確定後は新たに財産を築くことにも制限はなく、給与を貯金していくことも自由にできます。
任意整理や個人再生では解決が難しい
借金の総額が収入に対してあまりにも大きい場合、利息のカットや元本の圧縮だけでは返済の見通しが立ちません。毎月の収入から生活費を差し引いた残りで3年〜5年かけても完済できない水準であれば、無理に返済計画を組むより、自己破産で一からやり直すほうが現実的です。返済を続けること自体が精神的・経済的に生活を圧迫し続けている状態であれば、なおさら早めの決断が結果的に傷を浅くします。
自己破産以外の選択肢も知っておこう
自己破産のデメリットがどうしても気になる場合は、他の債務整理の方法も視野に入れてみてください。
任意整理は、弁護士が債権者と直接交渉し、将来利息のカットや返済スケジュールの見直しを行う方法です。裁判所を通さないため手続きが比較的簡単で、整理する借金を選べるのが最大の利点です。保証人付きの借金を対象から外したり、住宅ローンには手をつけずに消費者金融の借金だけを整理するといった柔軟な対応ができます。ただし、元本そのものが減るわけではないため、借金総額が大きい場合には効果が限定的です。
個人再生は、裁判所に申し立てて借金を5分の1〜10分の1程度に圧縮し、3年から5年で返済する計画を立てる手続きです。最大の特徴は、住宅ローン特則を利用すれば持ち家を維持したまま他の借金を減額できる点にあります。安定した収入があり、圧縮後の借金を返済し続けられる見込みがある方に向いています。ただし、借金総額が5,000万円を超える場合は利用できない点と、再生計画どおりの返済が滞ると借金が全額復活してしまう点には注意が必要です。
どの手続きが自分に合っているかは、借金の総額、収入、保有財産、保証人の有無など複数の要素によって変わります。自己判断で決めるのではなく、まずは弁護士や司法書士に現状を伝えて、最適な方法を一緒に検討してもらうのが賢明です。
まとめ
自己破産には確かにデメリットがあります。ブラックリストへの登録、財産の処分、職業制限、保証人への影響などは、手続きを進めるうえで避けて通れない現実です。
しかし、その多くは一時的なものであり、免責が確定すれば職業制限は解除され、数年の経過とともに信用情報も回復していきます。戸籍に傷がつく、選挙権を失う、年金がもらえなくなるといった世間の噂は、いずれも事実ではありません。
借金に追われる日々を何年も続けることのほうが、長い目で見れば人生へのダメージは大きいはずです。デメリットを正しく理解したうえで、それでもなお返済が困難な状況にあるなら、自己破産は人生を立て直すための有効な一手です。自己破産は「終わり」ではなく、経済的な再出発のための法的な制度にほかなりません。まずは無料相談を利用して、自分の状況を専門家に打ち明けるところから始めてみてください。一人で悩み続けるよりも、確実に前に進めるはずです。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。