column

弁護士コラム

  • HOME>
  • 弁護士コラム>
  • 自己破産しても税金は免除されない|滞納分の扱いと差押えを防ぐための具体的・・・

自己破産しても税金は免除されない|滞納分の扱いと差押えを防ぐための具体的な対処法

2026.03.31 弁護士コラム

借金の返済に追われて税金まで手が回らず、住民税や国民健康保険料を滞納してしまっている方は少なくありません。自己破産をすれば借金がゼロになるのなら、滞納した税金も一緒に帳消しにならないのかと期待する方もいるでしょう。しかし、結論から言えば、自己破産をしても税金の支払義務は一切免除されません。

税金は破産法で非免責債権に指定されており、免責許可が出ても全額がそのまま残ります。しかも、税金の滞納は借金の滞納よりも差押えに至るスピードが格段に速く、放置していると給与や預金を短期間で差し押さえられる深刻なリスクがあります。

この記事では、自己破産と税金の関係について、どの税目が免除されないのか、税金を滞納し続けるとどんなリスクがあるのか、そして滞納分を支払えない場合にどう対処すべきかを具体的に解説します。

一人で悩んでいませんか?

弁護士に相談することで、解決への道筋が見えてきます。

  • ✓ 初回相談無料
  • ✓ 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。
  • ✓ 全国どこからでも24時間年中無休でメール・電話・LINEでの相談ができます。
弁護士に相談

自己破産でも免除されない税金 ― 非免責債権の仕組み

自己破産で免責許可が確定すると、原則としてすべての借金の返済義務が消滅します。ただし、破産法253条1項は、社会的に見て免除することが適切でない債権を非免責債権として列挙しており、税金はその筆頭に位置づけられています。条文では租税等の請求権と表現されており、これには税金だけでなく社会保険料や一部の公共料金も含まれます。

非免責債権に該当する税金の支払義務は、破産手続きの前後を問わず消滅しません。すでに滞納している分はもちろん、破産後に新たに発生する税金も当然に支払わなければなりません。納税は憲法30条で定められた国民の義務であり、借金のある人もない人も等しく負担すべきものだという考え方が、非免責債権の根拠になっています。

免除されない税金・保険料の具体例

非免責債権に該当する主な税目と公的負担は次のとおりです。所得税、住民税(市民税・県民税)、固定資産税、自動車税、事業税、消費税(個人事業主の場合)、相続税、贈与税といった各種税金に加え、国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料も含まれます。さらに、下水道使用料も国税徴収の例によって徴収される公的負担であるため免除されません。一方、電気代・ガス代・上水道料金は通常の債権として扱われるため、自己破産による免責の対象になります。また、交通違反の反則金や刑事罰の罰金も非免責債権に含まれる点は覚えておきましょう。

なお、税金を滞納していると本来の税額に加えて延滞税(地方税の場合は延滞金)が加算されます。延滞税の税率は年によって変動しますが、納期限の翌日から2ヶ月を経過すると税率が跳ね上がる仕組みになっており、滞納期間が長引くほど負担が雪だるま式に膨らみます。この延滞税も非免責債権であるため、自己破産をしても免除されません。滞納を放置するほど支払総額が増えていくことを意識してください。

税金の滞納は借金より危険 ― 差押えまでのスピード

税金の滞納を放置することのリスクは、一般的な借金の滞納よりもはるかに深刻です。消費者金融やカードローンの債権者が差押えを実行するには、まず裁判所に訴訟を提起し、勝訴判決を得たうえで強制執行を申し立てるという法的手続きを踏む必要があります。そのため、滞納から実際の差押えまでに数ヶ月から半年以上かかるのが通常です。

ところが、税金は違います。国や地方自治体は、裁判所を通さずに自らの職権で滞納者の財産を差し押さえることができます。法律上は、納期限を過ぎてから20日以内に督促状が発送され、督促状を発送してから10日を経過すると差押えが可能になります。つまり、滞納から最短で約1ヶ月で財産が差し押さえられる可能性があるのです。

差し押さえの対象は、銀行預金、給与、生命保険の解約返戻金、不動産、自動車など多岐にわたります。特に給与の差押えは生活への影響が大きく、手取り額の一定割合が毎月天引きされる形で継続的に徴収されます。預金口座が差し押さえられた場合は、残高がゼロになるまで一括で持っていかれることもあります。

さらに厄介なのは、自己破産の手続き中であっても、税金による差押え(滞納処分)は原則として解除されないという点です。借金の債権者による差押えは破産手続開始決定によって中止されますが、税金の滞納処分にはこのルールが適用されません。つまり、破産手続きに入ったからといって安心はできず、滞納税金への対応は別途必要になるのです。すでに差押えを受けている場合は、管轄の税務署や自治体と交渉して滞納処分の停止や猶予を求める必要があります。

税金を優先的に支払っても問題はない

自己破産の準備中に知っておくべき重要なルールがあります。それは、税金の支払いは偏頗弁済に該当しないという点です。

破産手続きでは、特定の債権者だけに優先的に返済する偏頗弁済が禁止されています。たとえば、消費者金融A社への借金だけを返済して他の債権者をないがしろにする行為は、債権者平等の原則に反するため免責不許可事由にあたります。しかし、税金については破産法163条3項により、偏頗弁済の規定が適用されないことが明文で定められています。

つまり、借金の返済を止めてでも税金の滞納分を優先的に支払うことは、法律上まったく問題ありません。むしろ、差押えリスクの高さを考えれば、税金を優先して支払うのが賢明な判断です。弁護士に自己破産を依頼すると、受任通知の発送をもって借金の返済が停止しますので、それまで毎月の返済に充てていたお金を滞納税金の支払いに回すことが現実的な戦略になります。特に住民税や国民健康保険料は滞納額が数十万円に膨らんでいるケースも珍しくないため、借金の返済停止による浮き資金をそのまま税金に振り向けるという発想が重要です。

ただし、滞納税金を支払う目的で新たに借入をする行為は避けてください。返済するつもりのない借入として、免責不許可事由に該当するおそれがあります。あくまで手元の資金から支払うことが前提です。

滞納分を支払えない場合の3つの対処法

税務署・市区町村の窓口で分納を相談する

滞納した税金を一括で支払えない場合、最も重要なのは放置せずに自ら窓口に出向いて相談することです。税務署(国税の場合)や市区町村の納税課(地方税の場合)に事情を説明すれば、現在の収入や生活状況に応じた分割納付の計画を立ててもらえる場合があります。窓口に足を運ぶこと自体が「納税の意思がある」という姿勢の表明になり、差押えの回避にもつながります。

国税については、国税通則法に基づく換価の猶予や納税の猶予という制度が用意されています。換価の猶予は、誠実に納税する意思があり、かつ税金を一度に納付すると事業の継続や生活の維持が困難になる場合に、差押え済みの財産の換価(売却)を最長1年間猶予してもらえる制度です。納税の猶予は、災害や病気、事業の著しい損失、本人や家族の病気やけがといった特別な事情がある場合に認められ、最長1年間、延滞税の一部が免除されたうえで分割納付が認められます。いずれも申請が認められれば、猶予期間中は新たな差押えが行われません。地方税についても各自治体が独自の猶予制度を設けていることが多いため、まずは窓口で事情を説明してみてください。

相談の際には、自己破産を申し立てた(または申し立てる予定である)旨を伝え、破産手続開始決定書や免責決定書があれば持参するとスムーズです。自己破産をするほど経済的に困窮していることが分かれば、役所も現実的な分納プランを提示してくれる可能性が高まります。

管財手続きの中で滞納税金が優先配当される場合もある

自己破産が管財事件として進んだ場合、破産者の財産を換価した配当金から滞納税金が優先的に支払われることがあります。税金は破産法上、一般の破産債権よりも優先順位が高い財団債権または優先的破産債権に分類されるため、配当の際に他の債権者より先に弁済を受けられるのです。

たとえば、不動産を売却して住宅ローンを返済した後に100万円の余剰金が生じ、滞納税金が20万円あったとします。この場合、管財人は100万円の中から税金20万円を優先的に支払い、残りの80万円を一般の債権者に配当します。この仕組みによって、破産手続きを通じて滞納税金の一部または全部が解消されるケースもあり得ます。ただし、これは処分できる財産がある管財事件に限られるため、めぼしい財産がなく同時廃止として処理される場合にはこの効果は期待できません。

生活保護の受給を検討する

自己破産後も税金の支払いが困難な状況が続き、最低限の生活を維持することすら難しい場合は、生活保護の受給を検討する選択肢もあります。生活保護を受給すると、住民税や国民健康保険料は法令上の減免措置の対象となり、実質的に支払いが免除されるケースがあります。また、生活保護受給中は滞納処分の執行が停止される場合もあります。

ただし、生活保護の受給には資産がないこと、働く能力を活用していることなど厳格な要件があり、誰でも利用できるわけではありません。自治体の福祉課や法テラスに相談して、受給要件を満たしているか確認してみてください。

税金の消滅時効は期待できない

税金にも消滅時効は存在し、原則として法定納期限から5年で時効により消滅します(国税通則法72条)。しかし、実際に時効が完成するケースは極めて稀です。税務署や自治体は時効の完成前に必ず督促状を送付し、督促には時効の更新(中断)効果があるためです。さらに、差押えや交付要求がなされた場合も時効はリセットされます。税金の滞納を放置しておけばいつか時効で消えると期待するのは非現実的であり、積極的に分納交渉を行うほうがはるかに建設的です。

自己破産は税金の問題を間接的に解決する

自己破産では税金そのものを免除することはできません。しかし、税金以外の借金を免責によってゼロにすることで、それまで返済に充てていたお金を税金の支払いに回せるようになるという間接的な効果は極めて大きいと言えます。

たとえば、カードローンや消費者金融の返済に毎月5万円を費やしていた方が、自己破産でこれらの借金をゼロにできれば、その5万円をそのまま滞納税金の分割納付に充てることが可能になります。住民税や国民健康保険料を数十万円滞納していたとしても、月5万円ずつ返済できれば1年前後で完済の見通しが立ちます。借金と税金の滞納を同時に抱えている場合、自己破産によって借金を片付けたうえで、税金は分割納付で対応するというのが最も現実的な解決パターンです。

税金の滞納額が大きい場合でも、弁護士と税務署・市区町村の双方に相談しながら計画的に対応すれば、差押えを回避しつつ生活再建を進めることは十分に可能です。大切なのは、税金の問題を後回しにしないことです。借金の相談と併せて、滞納税金についても早い段階で弁護士に状況を共有しておきましょう。なお、相続によって多額の相続税が発生し、支払いが困難な場合は、相続放棄という選択肢もあります。相続放棄をすれば財産を受け取らない代わりに相続税の支払義務も生じないため、状況によっては有効な手段です。

まとめ

自己破産をしても、税金は非免責債権として全額が残ります。所得税、住民税、固定資産税から国民健康保険料、年金保険料に至るまで、公的な負担は一切免除の対象になりません。延滞税も同様に免除されず、滞納期間が長引くほど支払総額が膨らみます。さらに、税金の滞納は裁判所を通さずに差し押さえが可能であり、借金よりも緊急性が高い債務です。

一方で、税金を優先的に支払うことは偏頗弁済にあたらず、自己破産の手続きに影響しません。滞納分の一括支払いが難しければ、税務署や市区町村の窓口に相談して分割納付の交渉をすることが最も有効な対処法です。自己破産で借金をゼロにし、浮いた資金を税金の返済に回すという組み合わせが、借金と税金の両方を抱えた方にとって最も現実的な解決策になります。税金の問題は放置するほど延滞税が膨らみ、差押えのリスクも高まります。まずは弁護士と役所の双方に早めに相談し、計画的に対応を進めてください。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

初回相談は無料です

自己破産についてはまずご相談ください。

9:00~24:00 / 定休日:なし

TOP

050-5445-1846

MAILFORM