自己破産したら何を失う?
一人で悩んでいませんか?
弁護士に相談することで、解決への道筋が見えてきます。
- ✓ 初回相談無料
- ✓ 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。
- ✓ 全国どこからでも24時間年中無休でメール・電話・LINEでの相談ができます。
目次 [閉じる]
処分される財産・残せる財産・財産以外に失うものを総まとめ
自己破産をすると全財産を取り上げられてしまう。そんなイメージを持っている方は少なくないでしょう。確かに自己破産では一定の財産を手放す必要がありますが、すべてを失うわけではありません。生活に必要な財産は法律で保護されており、冷蔵庫や洗濯機まで没収されるようなことは現実にはまず起こりません。
とはいえ、持ち家や車、まとまった預貯金がある方にとっては、具体的に何を手放すことになるのかが最も気になるポイントでしょう。また、財産だけでなくクレジットカードの利用停止や職業上の制限など、目に見えない部分で失うものもあります。
この記事では、自己破産で処分される財産と手元に残せる財産を整理したうえで、財産以外に失うものと、逆に失わないものまでを網羅的に解説します。何を覚悟すべきで、何を心配しなくてよいのかを明確にすることで、自己破産という選択を冷静に判断できるようになるはずです。実際に弁護士に相談した方の中には、思っていたより失うものが少なかったと安堵される方も多いです。
1. 処分対象になる財産の基準
自己破産で処分の対象となるのは、破産手続き開始時点で本人が所有している財産のうち、換価価値が20万円を超えるものです。これは多くの裁判所で採用されている基準であり、20万円以下の財産は原則として手元に残せます。現金については99万円までが自由財産として認められています。
ここで押さえておくべきポイントは、処分対象はあくまで本人名義の財産に限られるということです。配偶者や子供など家族名義の財産は原則として手つかずのままです。ただし、本人の収入で形成されたにもかかわらず家族名義にしている財産は、実質的に本人の資産とみなされ、処分対象になる可能性があるため注意が必要です。
2. 処分される代表的な財産
20万円を超える財産が具体的にどのようなものか、代表的なケースを見ていきましょう。
持ち家・不動産
不動産は自己破産において最も影響の大きい資産です。価値がどれだけ低くても20万円を超えることがほとんどのため、本人名義の持ち家はまず間違いなく処分対象となります。破産管財人によって売却され、その代金が債権者への配当に充てられます。住宅ローンが残っている場合でも、ローン債権者が抵当権を行使して競売にかけるため、いずれにしても手放すことになります。夫婦共有名義の場合は、本人の持ち分だけを切り離して売ることが難しく、家全体の売却に至る可能性が高いです。
どうしても持ち家を手放したくない場合は、自己破産ではなく個人再生の住宅ローン特則を検討する方法もあります。自分のケースでどの手続きが適しているかは、弁護士に相談して総合的に判断してもらうのが確実です。
車・バイク
査定額が20万円を超える車やバイクは処分対象です。ただし、初年度登録から普通自動車で6年、軽自動車で4年が経過している場合は、減価償却の考え方により無価値とみなされ、手元に残せることが多いです。一方、ローン返済中の車は状況が異なります。ローン会社に所有権が留保されているため、破産手続きとは別にローン会社が車を引き揚げて売却する権利を持っており、手元から失うことになります。
預貯金
複数の口座を合算して20万円を超える預貯金は処分対象です。例えばA銀行に15万円、B銀行に10万円ある場合、合計25万円のため超過分の5万円が処分されます。なお、現金として手元に持っている分は99万円まで自由財産として認められているため、預貯金を事前に引き出して現金化しておくことも一つの方法ですが、不自然な出金は財産隠しとみなされるリスクがあるため、必ず弁護士に相談のうえ判断してください。
生命保険・学資保険の解約返戻金
解約返戻金が20万円を超える保険は解約のうえ処分対象になります。掛け捨て型の保険や返戻金が20万円以下のものは影響ありません。特に注意が必要なのは学資保険です。契約者が本人であれば、子供の教育資金として積み立てていた保険でも解約を求められます。どうしても残したい保険がある場合は、後述する自由財産の拡張制度を利用できる可能性があります。
退職金
退職金も処分の対象に含まれます。ただし、自己破産をしても退職する必要はありません。退職金は将来受け取る見込み額をもとに計算され、退職金見込み額の4分の1にあたる金額が、財産として評価されます。近い将来退職の予定がない場合は8分の1で計算されるのが一般的です。この評価額が20万円を超える場合、その金額を裁判所に納める必要がありますが、退職金そのものを先に受け取る必要はなく、手元の現金や分割で対応するケースが多いです。
有価証券・その他の資産
株式、投資信託、社債などの有価証券は換価価値が20万円を超えれば処分されます。そのほか、貴金属、骨董品、ブランド品、ゴルフ会員権なども、20万円を超える価値があれば換価の対象となります。
なお、そもそも高額な財産を持っていない方の場合は、処分される財産がほとんどないまま手続きが完了するケースも珍しくありません。自己破産を申し立てる方の多くは、借金返済に追われるなかですでに資産を消耗しているため、実際に処分対象になる財産がゼロという事案も少なくないのです。
3. 手元に残せる財産
自己破産は生活の再建を目的とした制度であり、すべてを奪い去るものではありません。法律が保護している自由財産として、以下のものは手元に残すことができます。
- 99万円以下の現金:破産法で明確に定められた自由財産であり、当面の生活費として保護される
- 生活必需品:衣服、寝具、家具、台所用品、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、パソコンなど日常生活に必要な家財道具。1品目あたり1台までが差し押さえ禁止財産として保護されている
- 仕事に必要な道具:職業上不可欠な器具や備品も差し押さえ禁止財産に含まれる
- 年金受給権:公的年金は差し押さえが禁止されており、自己破産をしても受給資格を失うことはない
- 破産手続き開始後に得た財産:破産手続き開始後に受け取った給与やボーナス、新たに取得した財産は新得財産として保護される
さらに、本来は処分対象となる財産であっても、生活に不可欠であることを裁判所に認めてもらえれば、自由財産の拡張という制度を使って手元に残せる場合があります。例えば、地方在住で通勤に車が必須である場合や、持病の治療に必要な保険を維持したい場合などが該当します。この制度を活用するには弁護士の助力が欠かせないため、残したい財産がある方は必ず事前に相談しておきましょう。
4. 財産以外に失うもの
自己破産では、目に見える財産だけでなく、いくつかの権利や信用も一時的に失うことになります。
クレジットカードとローンの利用
自己破産すると信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリスト状態になります。登録期間は5年から10年程度で、この間は新たなクレジットカードの作成やローンの利用ができません。ETCカードやスマートフォンの分割購入にも影響が出ます。ただし、デビットカードやプリペイドカードは信用審査が不要なため、自己破産後も問題なく利用可能です。
登録期間が終了すれば事故情報は削除され、再びカードの作成やローンの利用が可能になります。永遠に利用できなくなるわけではないため、一定期間を耐えれば信用は回復できるという点は押さえておきましょう。
一部の職業資格
破産手続き中に限り、弁護士、税理士、司法書士、公認会計士、宅地建物取引士、警備員、保険外交員などの職業に就くことが制限されます。ただし、これは永久的な資格剥奪ではなく、免責が確定し復権すれば制限は解除されます。手続き期間は通常数か月から1年程度であり、その間だけの一時的な制限です。該当する職業に就いている方は、事前に弁護士と対応策を相談しておくことが重要です。
官報への掲載によるプライバシー
自己破産をすると、破産手続き開始決定時と免責許可決定時の計2回、氏名と住所が官報に掲載されます。官報は国が発行する公報であり、法律上は誰でも閲覧できます。しかし、日常的に官報を購読している一般の方はほぼ存在しないため、ここから周囲に知られるリスクは極めて低いと言えます。
5. 自己破産しても失わないもの
自己破産にまつわる誤解を解くために、失わないものも明確にしておきましょう。
- 選挙権:憲法で保障された権利であり、自己破産を理由に制限されることはない
- 戸籍・住民票への記載:自己破産の事実が公的書類に載ることはない。マイナンバーカードにも影響しない
- 家族の財産と信用情報:処分対象は本人名義の財産のみであり、家族の資産や信用に波及することはない
- 給与を受け取る権利:破産後も今まで通り働き続けることができ、給与は新得財産として全額受け取れる
- 生活保護や障害者手当などの社会保障:公的給付は差し押さえ禁止であり、自己破産による影響はない
- パスポート:自己破産を理由にパスポートの発行が制限されることはない。ただし管財事件の手続き中は裁判所の許可なく海外渡航ができない場合がある
6. 財産を守りたい場合の代替手段
持ち家や車などどうしても手放したくない財産がある場合は、自己破産以外の債務整理を選択することで財産を維持できる可能性があります。
任意整理は裁判所を通さず債権者と個別に交渉する方法で、整理対象を選べるため、車のローンを対象から外してそのまま返済を続けることが可能です。財産の処分も不要ですが、借金の元本自体は減らないため、返済を続ける経済力が前提となります。
個人再生は裁判所に申し立てて借金を大幅に減額する手続きで、住宅ローン特則を利用すれば持ち家を維持しながら他の借金を圧縮できます。減額幅は借金総額によって異なりますが、最大で5分の1程度まで減る可能性があり、持ち家を守りたい方にとって有力な選択肢です。
どの手続きが最適かは、借金の総額や収入、財産の状況によって異なります。弁護士に状況を正確に伝え、手放したくない財産があるならその旨を明確に伝えたうえで、最善の方法を一緒に検討してもらうことが大切です。
7. 絶対にやってはいけないこと
自己破産の前後で財産を守ろうとするあまり、次のような行為に手を出す方がいますが、これらは免責不許可や刑事罰につながる重大な違反です。
- 財産を家族や知人の名義に移す行為:財産隠匿とみなされ、免責が認められなくなるだけでなく、詐欺破産罪として刑事罰の対象になりうる
- 特定の債権者にだけ返済する行為:破産直前に一部の債権者だけに偏って返済すると偏頗弁済にあたり、免責不許可事由となる
- 新たな借り入れをして返済に充てる行為:返済不能を認識しながら借り入れを行うことは免責不許可事由であり、悪質な場合は詐欺に該当する可能性もある
こうした行為は破産管財人の調査で高い確率で発覚します。財産を少しでも多く残したいのであれば、弁護士と相談のうえ、合法的な自由財産の拡張制度を活用するのが唯一の正しい方法です。
まとめ
自己破産で失うのは、本人名義の財産のうち換価価値が20万円を超えるものが中心です。持ち家や高額な車、一定額を超える預貯金や保険の解約返戻金などは処分対象となりますが、99万円以下の現金、生活必需品、年金受給権などは法律で保護されています。財産以外では、クレジットカードの利用と一部の職業資格が一時的に制限されますが、いずれも永久的な喪失ではありません。
自己破産は多くのものを失う手続きに見えますが、同時に返済義務という最大の重荷から解放される手続きでもあります。毎月の返済に追われ続ける日々と比べれば、手放す財産の範囲は案外限定的であることに気づく方が大半です。何を失い何が守られるのかを正確に理解したうえで、弁護士と相談しながら最善の判断をしてください。初回無料で相談できる事務所も多いため、費用面の心配なく第一歩を踏み出すことができます。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。