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別居中浮気で慰謝料請求できる?証拠の集め方や注意点を弁護士が解説!

2024.07.10

本記事では、別居中の浮気・不倫における慰謝料請求について、法的な観点から、別居中に発生した不貞行為が慰謝料請求につながるための要件や証拠の重要性に焦点を当てて解説していきます。慰謝料を請求できる場合とできない場合の違いを明らかにし、別居中の不倫において、どの程度慰謝料を請求できる可能性があるのかを明らかにします。
 証拠の収集方法や注意すべきポイントにも触れながら、読者の皆様が法的トラブルに遭遇した際に正しい対処ができるようサポートします。不倫・浮気問題に直面した方々にとって、必読の情報となるでしょう。

別居中不倫の慰謝料請求について

 別居中に発覚した不倫は、夫婦双方にとって大きな衝撃となり、精神的苦痛を伴います。しかし、必ずしも絶対に慰謝料請求が認められるわけではありません。ここでは、別居中不倫の慰謝料請求に必要な条件をわかりやすく解説します。

法的な意味での「不貞」の定義

 不貞行為とは、「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであって、この場合、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと解する」と判示されています(最高裁第一小法廷昭和48年11月15日判決/判例タイムス303号141頁)。
 ただし、いかなる場合であっても、不貞行為に起因する損害賠償請求責任を負うのではなくて、「婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、」責任を負わないと考えられております(最高裁第三小法廷平成8年3月26日判決)。
 そのため、別居中不倫の慰謝料請求において、最も重要なポイントは**「婚姻関係が破綻していないか」**です。婚姻関係が破綻していると判断された場合、不貞行為があっても慰謝料請求が認められない可能性があります。

婚姻関係が破綻していないと判断されるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 別居期間が短い
  • 夫婦間の交流がある
  • 離婚の意思がない
  • その他、夫婦関係が継続していることを示す要素
  • 住民票を移動させていない
  • 離婚調停を申し立てていない

上記のような要件を満たすためには、証拠が重要となります。具体的には、以下のようなものが証拠となります。

  • 別居期間を示す資料(住民票、郵便物など)
  • 夫婦間のやり取り(メール、LINEなど)
  • 離婚の意思がないことを示す資料(婚姻届の写しなど)
  • 目撃証言
  • 探偵調査報告書

慰謝料請求には、以下のような手続きが必要となります。

  • 弁護士に相談
  • 証拠の収集
  • 相手方への請求
  • 調停
  • 裁判

別居中不倫の慰謝料請求は、複雑な法律問題であり、個々の状況によって判断が異なります。弁護士に相談し、自身のケースにどのように適用できるかを検討することが重要です。

慰謝料請求が認められないケース

慰謝料請求が認められないケースは、大きく3つに分類できます。

  1. 婚姻関係がすでに破綻している
  2. 不貞行為が立証できない(証拠不十分)。
  3. 損害賠償請求権が時効によって消滅している。

1. 婚姻関係が破綻している

婚姻関係が破綻していると判断されるケースは以下の通りです。

  • 長期別居(目安:2年以上)
  • 夫婦間の交流がない(セックスレスや会話すらない。)
  • 離婚の意思がある
  • 離婚に向けて協議・調停・裁判を進めている
  • 離婚原因となるような重大な夫婦間のトラブルがある(DV、モラハラなど)

2. 不貞行為が立証できない

不貞行為が立証できないケースは以下の通りです。

  • 単なる噂や憶測
  • 証拠が乏しい(目撃証言のみなど)
  • 不貞行為があったことを否認している

3. 損害賠償請求権が時効によって消滅している。

損害賠償請求権が時効消滅期間は、3年です。

上記のようなケースを立証するためには、証拠が重要となります。

  • 別居期間を示す資料(住民票、郵便物など)
  • 夫婦間のやり取り(メール、LINEなど)
  • 離婚協議書
  • 調停調書
  • 裁判所の判決書
  • 目撃証言
  • 探偵調査報告書

慰謝料請求が認められなかった場合、以下の選択肢があります。

  • 諦める
  • 更なる証拠収集を行い、再度請求する
  • 婚姻関係の破綻について争う

別居中不倫の慰謝料請求は、個々の状況によって判断が大きく異なります。

 ケース別詳細解説

以下では、上記で紹介した3つのケースについて、さらに詳しく解説します。

婚姻関係が破綻している

婚姻関係が破綻していると判断されるかどうかは、個々の事案によって総合的に判断されますが、長期別居、夫婦間の交流の希薄化、離婚の意思などが重要な要素となります。

  • 長期別居:目安としては2年以上と言われています。ただし、1年未満であっても、夫婦間の交流が全くない(セックスレス)、離婚に向けて協議を進めているなど、他の事情を考慮して破綻が認められる場合もあります。
  • 夫婦間の交流の希薄化:同居していても、夫婦間の会話やスキンシップがない、別居状態と変わらない生活を送っているなど、夫婦としての関係が希薄化している場合は、破綻が認められる可能性があります。
  • 離婚の意思:双方が離婚を希望していることはもちろん、一方のみが離婚を希望している場合でも、離婚に向けて協議を進めていることなどが破綻の判断材料となります。

不貞行為が立証できない

不貞行為を立証するには、客観的な証拠が必要です。単なる噂や憶測では不十分であり、目撃証言や探偵調査報告書など、不貞行為があったことを裏付ける証拠が必要となります。

  • 探偵調査報告書:探偵による調査結果をまとめた報告書は、客観的な証拠として一定程度認められます。ただし、調査方法や内容によっては、証拠能力が低いと判断される場合もあります。

請求権の時効消滅

慰謝料請求権は、3年の時効によって消滅します。不貞行為を知ってから3年以内に請求しないと、認められなくなる可能性があります。

  • 時効の起算点:不貞行為を知った時が起算点となります。具体的には、不倫相手との密会現場を目撃した時、不倫関係に関するメールや写真を入手した時などが該当します。
  • 時効の援用:相手方が時効の援用をするまで、請求権が消滅したことを主張することはできません。

 別居中不倫の慰謝料請求は、婚姻関係の破綻状況、不貞行為の立証、請求権の消滅など、様々な要素が絡み合い、複雑な判断が求められます。それぞれのケースにおけるポイントを踏まえることで、より適切な対応が可能となります

不倫に関する慰謝料の金額 

 不倫は、夫婦関係を大きく損ない、精神的な苦痛を与える深刻な行為です。被害者は、精神的苦痛の対価として慰謝料を請求することができます。しかし、慰謝料の金額は一律ではなく、様々な要素を考慮して決定されます。

慰謝料の金額決定に影響を与える要素は以下の通りです。

  • 不倫関係の期間と程度
  • 不倫相手との関係性
  • 被害者の精神的苦痛の程度
  • 被害者の経済状況
  • 加害者の経済状況
  • 不倫の発覚方法
  • 不倫の露呈後の加害者の態度
  • その他の事情

不倫相手との関係性

不倫相手との関係性も、慰謝料の金額決定に大きく影響を与えます。

  • 親族関係
  • 友人関係
  • 勤務関係
  • その他

 親族関係や友人関係の場合、夫婦関係への影響が大きいため、慰謝料の金額が高額になる傾向があります。また、勤務関係の場合、職場での影響や社会的信用への影響も考慮されます。

法的リスクの詳細解説

 不倫は、民法上の不法行為(民法709条)に該当するため、加害者は被害者に対して慰謝料を支払う義務を負います。また、刑法上の重婚罪に該当する場合もあり、刑事罰を受ける可能性もあります。

さらに、不倫相手も、民法上の不法行為に該当する場合があり、被害者に対して慰謝料を支払う義務を負う可能性があります。

証拠の収集方法と注意点

不倫の慰謝料請求において、証拠の収集は非常に重要です。十分な証拠を収集することで、より有利な立場で裁判を争うことができます。

以下では不倫の証拠収集方法と注意点について詳細解説を行います。

不倫の証拠として有効なものには、以下のようなものがあります。

  • 目撃証言
  • 写真
  • 動画
  • 録音
  • メール
  • LINEのメッセージ
  • ホテルの領収書
  • 旅行の航空券

証拠収集を行う際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 証拠の違法性を避ける
  • 証拠の信憑性を確保する
  • 証拠を隠滅されないように注意する

有効な証拠の種類

不倫の証拠として有効なものには、以下のようなものがあります。

  • 目撃証言

不倫現場を目撃した第三者の証言は、非常に有力な証拠となります。目撃証言を得るためには、目撃者に事情を説明し、協力を依頼する必要があります。

  • 写真

不倫相手と一緒に出かけている写真や、ラブホテルに入っていく写真などは、有力な証拠となります。写真は、日時や場所がわかるように撮影することが重要です。

  • 動画

不倫相手と手をつないで歩いている動画や、キスをしている動画などは、非常に有力な証拠となります。動画は、編集されていないことを証明できるような方法で撮影する必要があります。

  • 録音

不倫相手との会話の内容を録音したものは、有力な証拠となります。録音を行う際には、相手が録音していることを知られないように注意する必要があります。

  • メール

不倫相手とのやり取りを記録したメールは、有力な証拠となります。メールは、削除されないように保存しておくことが重要です。

  • LINEのメッセージ

不倫相手とのやり取りを記録したLINEのメッセージは、有力な証拠となります。LINEのメッセージは、スクリーンショットを撮って保存しておくことが重要です。

  • ホテルの領収書

不倫相手と一緒に行ったホテルの領収書は、有力な証拠となります。領収書は、日付や部屋番号などがわかるように保管しておくことが重要です。

  • 旅行の航空券

不倫相手と一緒に行った旅行の航空券は、有力な証拠となります。航空券は、日付や行き先などがわかるように保管しておくことが重要です。

重要なポイントの押さえ方

証拠収集を行う際には、以下の点に特に注意する必要があります。

  • 証拠の関連性

収集した証拠が、不倫の事実と関連性があることを証明する必要があります。

  • 証拠の客観性

収集した証拠が客観的な事実であることを証明する必要があります。

  • 証拠の説得力

収集した証拠が裁判官を説得する力を持っていることを証明する必要があります。

不倫の証拠収集は、慰謝料請求において非常に重要です。解説した内容を参考に、不倫の証拠収集をしっかりと行い、有利な立場で裁判を争うようにしましょう。

別居中の不倫に遭遇した際の対処法

別居中の不倫は、精神的に大きな負担となるだけでなく、法的にも問題となる可能性があります。

別居中の不倫に遭遇した際に取るべき対処法は以下の通りです。

  • 証拠収集
  • 弁護士への相談
  • 離婚の検討
  • 慰謝料請求

弁護士への相談

別居中の不倫に遭遇した場合は、まず弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、法律的なアドバイスを提供し、今後の対応についてサポートすることができます。

弁護士に相談する際には、以下の情報を用意しておくと良いでしょう。

  • 不倫の事実
  • 証拠
  • 現在の状況
  • 希望する解決方法

法的トラブルへの対処法

別居中の不倫は、以下のような法的トラブルを引き起こす可能性があります。

  • 不貞行為による慰謝料請求
  • 離婚
  • 親権争い
  • 財産分与

これらの法的トラブルに巻き込まれないためには、早めに弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。

まとめ

別居中の不倫における慰謝料請求について、本記事では慰謝料請求が認められないケースや慰謝料の金額、証拠の収集方法や注意点、別居中の不倫に遭遇した際の対処法について詳細に解説しました。不倫行為は深刻な問題であり、法的トラブルに発展する可能性もあるため、適切な対処が重要です。

慰謝料請求が認められないケースには、別居期間が長い場合や夫婦関係が完全に破たんしている場合などが挙げられます。これらの条件を踏まえて、慰謝料請求の可否を判断することが必要です。証拠の収集方法や注意点についても正確かつ十分な情報を集めることが重要であり、証拠を確保する際には法的な規定に則った方法で行うことが不可欠です。

別居中の不倫に遭遇した際の対処法としては、まずは冷静に状況を把握し、弁護士への相談を検討することが重要です。弁護士に相談することで、適切なアドバイスや法的な支援を受けることができ、問題解決に向けた適切な対応が可能となります。法的トラブルに直面した際には、適切なアクションを取ることで自身の権利や利益を守ることができます。

別居中不倫における慰謝料請求や法的トラブルについて、正確な知識と適切な対処が重要です。本記事を参考にして、適切な対応を行い、問題解決に向けて効果的に取り組んでいただければ幸いです。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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