弁護士が答える!広島の交通事故でよくある質問10選

広島県は観光地としても有名であり、通勤・通学や観光シーズンに伴う交通量の増加など、さまざまな交通事情が混在しています。そのため、広島では他県と同様に日々多くの交通事故が起きており、被害者・加害者問わず悩みを抱える方が少なくありません。
本記事では、「弁護士が答える!広島の交通事故でよくある質問10選」という形で、事故後の対応や保険会社とのやり取り、法律知識などをわかりやすく解説します。皆さんが抱えやすい疑問を取り上げ、順に回答していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次 [閉じる]
広島で交通事故に遭ったらまず何をすればいい?
質問
「広島で交通事故に遭ったら、まずどのような対応を取るべきでしょうか? とりあえず警察に連絡すれば大丈夫ですか?」
回答
安全確保と救護活動
- 車を安全な場所へ移動させ、二次被害が発生しないように注意。負傷者がいる場合はただちに救急車を呼ぶなど、適切に救護しましょう。
警察への通報(110番)
- 広島のように交通量が多い地域であっても、事故の大小にかかわらず、必ず警察に連絡します。物損事故であっても通報をしないと後々トラブルが生じる可能性があります。
保険会社への連絡
- 自動車の任意保険に加入している場合は、なるべく早い段階で保険会社にも事故報告を行いましょう。
証拠保全
- 事故車両の位置関係や道路状況の写真・動画、相手方の情報(氏名・連絡先・車のナンバー)などを記録しておくことが大切です。
病院での受診
- 目立った外傷がなくても、事故直後はアドレナリンの影響で痛みを感じにくい場合があります。後から症状が出ることがあるため、必ず病院へ行って検査を受けましょう。
これらのステップを踏むことで、後々の示談交渉や保険手続きがスムーズになります。また、事故後の対応を誤ると不利な立場になる可能性もあるため、迅速かつ冷静な行動が大切です。
どのタイミングで弁護士に相談すればよい?
質問
「交通事故の被害に遭いました。事故後、弁護士にはいつ相談すればいいのでしょう? 示談交渉が始まってからで大丈夫ですか?」
回答
結論から言うと、できるだけ早い段階で相談するのがベストです。理由としては、以下のような点が挙げられます。
証拠保全や事故状況の把握
- 事故直後であれば、現場の状況や証拠が揃っているうちにアドバイスを受けられます。
保険会社への初動対応
- 被害者側の対応によっては、後の示談金額や過失割合に影響が出る可能性があります。誤った自己判断を避けるためにも、早期相談が有効です。
後遺障害等級の申請サポート
- 治療方針や通院ペース、医師に書いてもらう診断書の内容など、後遺障害認定に直結する重要なポイントを弁護士が助言できます。
示談交渉がすでに始まっている方でも、迷わず相談してみてください。保険会社の提示金額が妥当かどうかを確認し、必要に応じて交渉をやり直すことも可能です。
弁護士に依頼すると費用はどのくらいかかる?
質問
「弁護士に相談したいのですが、費用が高額になりそうで心配です。だいたいどのくらいの費用を想定すればいいのでしょうか?」
回答
弁護士費用は事務所や案件によって異なるため一概には言えませんが、一般的には以下の項目が存在します。
相談料
- 30分ごとに5,000円~など、事務所ごとに料金体系が異なります。最近では初回無料相談を行う事務所も増えています。また、ご自身の任意保険に弁護士費用特約がついている場合には、弁護士費用特約から、法律相談費用が出ることがほとんどです。
着手金
- 事件を正式に依頼する際に支払う費用です。数万円~数十万円ほどが目安で、請求金額によって変動します。ただし、ご自身の任意保険に弁護士費用特約がついている場合には、自己負担はありません。
報酬金(成功報酬)
- 示談金や賠償金など、依頼によって得られた経済的利益の一定割合を支払う形式が多いです。
実費
- 書類の取得費用、交通費、通信費、印紙代など、手続きを進めるうえで実際にかかった費用です。
費用を抑える方法としては、「弁護士費用特約」に加入しているかどうかの確認が第一です(後述のQ4で詳しく解説)。また、事務所によって費用体系や支払い方法が異なるため、複数の事務所で相談を受け、比較検討するのもおすすめです。
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弁護士費用特約とは?付けておくメリットは?
質問
「自動車保険に弁護士費用特約を付けると良いと聞きますが、本当に必要ですか? どんなメリットがあるのでしょう?」
回答
弁護士費用特約とは、交通事故の際に弁護士を雇うための費用を保険会社が負担してくれる特約です。具体的には以下のようなメリットがあります。
費用面の負担軽減
- 弁護士費用がほぼ全額、保険会社から支払われるため、自己負担額を気にせずに弁護士へ依頼しやすくなります。
早期相談が可能
- 費用負担の心配が少ないため、事故直後から弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けやすい環境が整います。
示談金の増額が期待できる
- 弁護士を介することで、示談金や慰謝料が増額する可能性が高まります。費用特約があれば、その増額分をより多く手元に残せる場合があります。
保険料が多少上がるかもしれませんが、万が一の事故対応を考えれば、弁護士費用特約はコストパフォーマンスが高い保険オプションといえます。広島のように交通量が多いエリアであれば、尚更付帯しておくと安心です。
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物損事故でも弁護士が必要なケースはある?
質問
「自分の車が傷ついただけで、ケガ人はいません。物損事故でも弁護士に相談したほうがいいケースはあるのでしょうか?」
回答
物損事故の場合でも、次のような状況であれば弁護士に相談するメリットがあります。
過失割合をめぐって争いが起こっている
- 相手の過失が大きいにもかかわらず、一方的に修理費の請求を受けている場合や、保険会社の提示に納得できない場合は法的根拠をもとに交渉が必要です。
高額な修理費が発生している
- 高級車やカスタム車などで修理費が高額になると、保険会社が全額を認めないケースも。修理費の妥当性を弁護士が検証し、交渉します。
相手との直接交渉が困難
- トラブルが長期化して感情的になっている場合や、相手側が弁護士を立てている場合などは、対等な立場で話を進めるためにも弁護士のサポートが有効です。
人身事故ほど深刻ではないと思われがちな物損事故ですが、金額面や過失割合で揉めると時間もストレスもかかります。納得のいかない状況であれば、まずは弁護士に相談してみてください。
後遺障害等級が認められるポイントは?
質問
「広島市内で事故に遭い、治療を続けているのですが、後遺障害等級の認定を受けたいと思っています。どんな点がポイントになるのでしょうか?」
回答
後遺障害等級の認定には、医学的証拠が極めて重要です。たとえば、以下のポイントを押さえておきましょう。
治療経過を丁寧に記録
- 症状の推移や痛みの度合いを日記などにまとめ、医師にもこまめに報告します。
適切な医療機関の受診
- 整形外科など、症状にあった専門医を受診し、MRIやCTなどの検査を受けると良いでしょう。
医師とのコミュニケーション
- 後遺障害診断書を作成してもらう際、医師としっかり意見交換し、自分の症状を正確に伝えることが大切です。
弁護士からのアドバイス
- 後遺障害等級の認定基準を熟知している弁護士であれば、どのような検査や書類が必要か的確に指導できます。
後遺障害の認定等級が決まると、慰謝料や逸失利益の金額が大きく左右されます。適切な時期に適切な検査を受けることで、不当に低い等級が認定されるリスクを回避しやすくなります。
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過失割合はどうやって決まる?不服がある場合は?
質問
「交差点で事故を起こしたのですが、保険会社から提示された過失割合に納得がいきません。過失割合はどうやって決まるのですか?」
回答
過失割合は、過去の判例や事故態様を基準にして決定されます。日本では、保険会社が利用する「別冊判例タイムズNo.38号」という書籍や過去の類似事例が参考にされるケースが多いです。
- 信号の有無・色
- 車両の走行速度
- 見通しの良し悪し
- 優先道路かどうか
など、現場の状況によって過失割合の基本が決められますが、以下のような事情で修正される場合もあります。
当事者双方の言い分や証拠
- ドライブレコーダー映像や目撃証言により、相手側の注意義務違反が確認されれば修正が認められる可能性があります。
広島特有の道路事情
- 狭い路地や観光地特有の混雑状況などが考慮される場合があります。
弁護士による交渉
- 保険会社の一方的な判断に納得できないときは、弁護士を通じて法的根拠を示しつつ交渉します。
過失割合は示談金の金額を左右する大きな要素です。提示に疑問がある場合は、早めに弁護士へ相談して、自分の主張を正しく伝えることが大切です。
示談を早く進めるためのポイントとは?
質問
「事故後、示談がなかなかまとまらず長引いています。早期解決するためには、どのような工夫が必要でしょうか?」
回答
示談交渉が長引く主な原因は、損害賠償額や過失割合に関して意見が対立していることが大半です。以下のポイントを押さえると、早期解決の可能性が高まります。
根拠のある資料を揃える
- 治療費、修理費、休業損害などを正確に計算できるよう、領収書や診断書などをきちんと保管し、提出できるようにしておきましょう。
主張は整理して簡潔に伝える
- 相手側や保険会社とのやり取りが多くなると、言い分が混乱しやすくなります。ポイントを整理し、論点を絞って交渉を進めましょう。
弁護士を介する
- 法的視点から客観的に整理し、保険会社や相手方との間を取り持ってもらうことで、交渉効率が上がります。
過剰な感情論を避ける
- 示談はあくまで損害賠償額を巡る話し合いです。怒りや悲しみなどの感情をぶつけすぎると、交渉が停滞する原因となります。
弁護士が入ると、妥協点を早期に探し出せるケースが多々あります。示談金の増減だけではなく、時間やストレスの削減を考えても専門家のサポートは有用です。
加害者になった場合に注意すべきことは?
質問
「自分が加害者の立場です。被害者から高額な請求を受けており、どう対応すればいいのかわかりません。注意点を教えてください。」
回答
加害者としてやるべきことは大きく分けて次の3点です。
誠意ある対応
- まずは被害者への謝罪や必要な連絡、救護活動など基本的な対処を誠実に行いましょう。とはいえ法的に不用意な発言(全ての責任を認めるなど)は避け、冷静に対応します。
保険会社と連携
- 自分の保険会社に事故の事実をすぐに伝えましょう。示談交渉の窓口として保険会社が動く場合が多いですが、被害者が高額な賠償金を要求している場合は、弁護士との連携がより重要です。
弁護士への早期相談
- 相手方の請求が妥当かどうかを見極め、必要に応じて反論するために法的知識が不可欠です。自分だけで対応しようとすると、感情的なトラブルに発展するリスクがあります。
広島では観光客や歩行者との接触事故も少なくありません。加害者となってしまった場合、刑事責任・行政処分(免許停止・取消など)にも影響が及ぶ可能性がありますので、速やかに弁護士へ相談してリスクを最小限に抑えることが大切です。
広島で弁護士を選ぶ際に見るべきポイントは?
質問
「広島にたくさんの法律事務所がありますが、どのような基準で弁護士を選べば失敗しませんか?」
回答
弁護士選びは、事故解決の成否を大きく左右します。以下のポイントを参考にしてください。
交通事故案件の実績
- 交通事故の示談交渉や訴訟経験が豊富かどうかをチェックしましょう。事務所のホームページや相談時の説明で、事例や実績を確認できます。
地元広島に根差した活動
- 広島の交通事情や裁判所の運用など、地域特有の情報に精通している弁護士は交渉を有利に進めやすいです。
費用体系の明確さ
- 相談料、着手金、成功報酬、実費などが明確に提示されているか、また弁護士費用特約の取り扱いに慣れているかも重要です。
コミュニケーションのしやすさ
- 直接会って話を聞き、自分の状況や気持ちをくみ取ってくれるか、説明がわかりやすいかを見極めましょう。
複数の弁護士や事務所を比較検討するのも良い方法です。悩んだときは、初回相談が無料の事務所を活用して話を聞き、相性を確かめることをおすすめします。
【まとめ】
広島での交通事故に関する「よくある質問」を10項目取り上げ、それぞれ弁護士の視点から解説してきました。
- 事故直後の対応(警察・保険会社への連絡や証拠保全)
- 弁護士を依頼するタイミングと費用
- 弁護士費用特約のメリット
- 物損事故や後遺障害等級、過失割合などの具体的な争点
- 示談交渉を早く進めるポイント
- 加害者になったときの注意点
- 弁護士選びのコツ
交通事故は突発的に起こり、被害者にも加害者にも大きな不安と負担をもたらします。特に広島県は交通量が多く、観光地や狭い道路など地域特有の事情も加わり、複雑な事故が起こりやすい状況です。事故が起きてしまったら、まずは冷静な対応と専門家への相談が重要となります。
弁護士への相談は費用やハードルの高さが気になるかもしれませんが、弁護士費用特約や初回無料相談などをうまく活用することで、思ったよりも身近に専門的なアドバイスを受けることができます。早期の相談が、結果的にあなたの負担を大幅に軽減し、より良い解決へと導くカギとなるでしょう。
本記事の内容が、交通事故にお悩みの方や、万が一に備えて情報を集めたい方の参考になれば幸いです。事故後の行動や示談交渉のポイントを把握し、専門家との連携を図ることで、適正な賠償金やスムーズな手続きが期待できます。広島での交通事故トラブルに直面した際には、ぜひ本記事を参考に、頼れる弁護士を見つけてください。

この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
