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弁護士コラム

離婚訴訟を起こされたらどうする?流れと対応のすべて

2025.08.25 弁護士コラム

ある朝、ポストを開けると「家庭裁判所」と書かれた封筒が入っている。差出人を見た瞬間、心臓が強く脈打ち、手が震える──封筒には「訴状在中」の文字。何が書かれているのか知るのが怖くて、しばらく封を切れない……。

離婚訴訟を起こされた瞬間、多くの人は混乱と不安に押しつぶされます。「どうしてこんなことになったのか」「これからどうなるのか」という疑問が頭を巡り、何から手をつければいいのか分からなくなるのも無理はありません。

しかし、離婚訴訟は感情だけで進むものではなく、法律に基づいて冷静に進められる手続きです。ここで慌てず、正しい手順を踏むことが将来を大きく左右します。

訴状が届いたら最初にすべきこと

家庭裁判所からの訴状は「特別送達」で送られます。これは、普通郵便や宅配便とは違い、法律で定められた重要書類の送付方法です。受け取りを拒否することはできず、不在の場合は郵便局で保管され、必ず受け取ることになります。

封筒の中には、次のような書類が同封されています。

  • 呼出状:第一回口頭弁論の日時や場所が記載されたもの
  • 訴状:相手の主張や請求内容が書かれたもの
  • 答弁書の用紙:あなたの反論や意見を記入するための書式

最初に確認すべきは、第一回口頭弁論の日程と答弁書の提出期限です。これらの期限は厳守しなければなりません。答弁書を期限までに提出しないまま初回期日を迎えると、相手の主張がそのまま認められてしまう可能性が高くなります。

まずは弁護士に相談を

訴状を受け取った直後は、冷静な判断が難しいものです。自分だけで答弁書を作成することも可能ですが、慰謝料や財産分与、親権などが争点となる場合、専門知識なしに戦うのは非常に危険です。

弁護士に依頼することで、

  • 相手の主張に対して法的に有効な反論を構築できる
  • 裁判所が重視する証拠を適切に揃えられる
  • 裁判でのやり取りを代理してもらえるため精神的負担が軽くなる

といったメリットがあります。特に相手に弁護士がついている場合は、必ずこちらも同等の専門サポートを受けるべきです。

離婚訴訟と調停の違いを理解する

多くの離婚問題は、まず家庭裁判所での調停から始まります。調停では調停委員が双方の意見を聞き、合意点を探ります。合意に至れば、その内容を調書にして終了します。

しかし、調停が不成立になると、訴訟に移行します。訴訟では裁判官が証拠と法律に基づいて判決を下すため、感情や同情はほとんど考慮されません。つまり、訴訟は「証拠と法的主張がすべて」という世界です。

離婚訴訟の全体の流れ

ここからは、離婚訴訟の典型的な進行を段階ごとに解説します。各ステップで何をすべきかを理解しておくと、不意を突かれることが減ります。

訴状の提出

原告(離婚を求める側)が訴状を家庭裁判所に提出します。訴状には離婚理由、請求内容(慰謝料額、財産分与の割合、親権の希望など)、そして証拠の概要が記載されます。

訴状の送達と答弁書の提出

訴状が被告(訴えられた側)に特別送達されます。被告は答弁書を期限内に提出し、相手の主張に同意できる部分と反論する部分を明確にします。反論はできる限り具体的に書き、証拠や事実を添えるのが理想です。

第一回口頭弁論

この日は形式的な進行確認が中心で、実質的な審理はまだ行われません。ただし、欠席すると重大な不利益を被るため、必ず出席しましょう。

証拠提出と争点整理

メールやLINE履歴、写真、診断書、領収書など、主張を裏付ける証拠を提出します。裁判所はこれらをもとに、何が争点となっているかを整理します。

証人尋問・当事者尋問

争点に関わる人物を証人として呼び、裁判官や弁護士が質問します。当事者尋問では自分自身が証言台に立ちます。この場での発言は判決に直結するため、事前準備が必須です。

和解の提案・交渉

裁判官が和解を提案することもあります。和解は条件を柔軟に決められる一方で、勢いで不利な合意をしてしまう危険もあるため、弁護士と慎重に検討しましょう。

判決

和解が成立しなければ、判決が言い渡されます。離婚の可否、財産分与や慰謝料額、親権の帰属などが決定されます。不服があれば控訴できますが、時間と費用がかかります。

有利に進めるための準備と心構え

  • 証拠を徹底的に集める
    裁判は「言った者勝ち」ではなく「証拠を示した者勝ち」です。メールやメッセージ履歴、診断書、写真、録音などを時系列で整理しましょう。
  • 感情的な発言は控える
    裁判官は感情論よりも事実と証拠を重視します。相手の挑発や事実と異なる発言に反応してしまうと、不利に働くこともあります。
  • 期限は絶対に守る
    提出期限や期日は法律上のルールです。1日でも遅れると不利益を受ける可能性があるため、必ず守りましょう。

弁護士に依頼するメリット

  • 法的戦略の構築
  • 必要な証拠の取捨選択
  • 裁判所とのやり取りを代行
  • 和解交渉での有利な条件引き出し
  • 精神的ストレスの軽減

まとめ

離婚訴訟は精神的にも経済的にも負担の大きい手続きですが、冷静な対応と的確な準備が結果を左右します。訴状を受け取ったら、まず期限を確認し、証拠を集め、専門家の助けを借りて臨むこと。それが将来の生活を守る最善の方法です。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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