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債務整理すると保証人はどうなる? 巻き込まれる範囲と回避策【弁護士に聞く】

2026.06.27 弁護士コラム

債務整理をご検討の方からのご相談で、ご自身の借金の状況と同じくらい重く受け止められるのが、保証人になってくれた方への影響です。親、配偶者、兄弟、友人、勤務先の関係者など、何かしらの形で保証人になってもらった借金があると、その方への迷惑を考えて手続きをためらうという声を本当によく伺います。

結論からお伝えしておくと、債務整理の方法によっては保証人に大きな影響が及びますが、選び方と進め方を工夫することで、影響を最小限に抑えられる場合も少なくありません。本記事では、保証人がいる場合の債務整理について、3つの手続きごとの影響と、巻き込まないための具体的な回避策、そして万一巻き込まれてしまった場合の対応までを整理します。

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保証人と連帯保証人は別物として扱われる

最初に整理しておきたいのが、保証人という言葉が指す2つのタイプの違いです。法律上、保証人には次の2種類があります。

  • 普通の保証人:催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益が認められている
  • 連帯保証人:これら3つの権利が認められていない

催告の抗弁権というのは、債権者から請求が来たときに、まず本人に請求してくださいと主張できる権利です。検索の抗弁権は、本人に支払い能力があるなら、まず本人の財産を差し押さえてくださいと主張できる権利です。分別の利益は、複数の保証人がいる場合に、人数で割った金額だけ負担すればよいという考え方です。

普通の保証人にはこれら3つの権利があるため、いきなり全額を請求されても拒める余地があります。連帯保証人にはこれらの権利が一切ありませんので、本人と同等の責任を負い、いきなり全額を一括請求されても拒めません。

実務でほぼすべての保証契約は連帯保証になっています。住宅ローン、自動車ローン、賃貸借契約、奨学金、事業融資、信販系のショッピングローンなど、現在の日本で交わされる保証契約のうち、普通の保証で済むケースはごく稀です。保証人として書類に押印された方は、ほぼ間違いなく連帯保証人になっていると考えていただいて差し支えありません。本記事でも、以降は連帯保証人を前提として説明します。

任意整理:対象から外せば保証人への影響を抑えられる

任意整理は、保証人がいる方にとってもっとも扱いやすい手続きです。理由は単純で、整理する債権者を自分で選べるからです。

任意整理の特徴を、保証人との関係で整理すると次のようになります。

  • 整理対象から外した借金は、これまでどおりの返済を続けられる
  • 保証人付きの借金を対象から外せば、保証人に請求が向かわない
  • 整理対象は、消費者金融やクレジットカードのキャッシングなど、保証人がついていない借金に絞れる

たとえば、消費者金融3社からの借入と、親が連帯保証人になっている自動車ローンがあるという場合、消費者金融3社だけを任意整理の対象にすることで、親御様には知られずに手続きを進められます。自動車ローンはこれまでどおり返済を続けるため、親御様への請求は発生しません。

ただし、対象から外す代わりに、その借金は元の条件のまま返済し続ける必要があります。保証人付きの借金そのものの返済が苦しい場合は、任意整理だけでは解決しません。その場合は、後述する回避策の組み合わせや、ほかの手続きを検討することになります。

任意整理が保証人を守る選択肢として有効なのは、整理対象から外しても払い続けられる範囲に保証人付き借金の毎月の返済額が収まっているケースに限られる、というのが現場感覚です。

個人再生:保証人への一括請求は避けられない

個人再生は、すべての借金を一律に圧縮する裁判所の手続きです。任意整理のように対象を選ぶことはできません。

個人再生を行うと、保証人がついている借金もまとめて減額の対象になります。ただし、減額の効果は本人にしか及ばないため、保証人は元々の借入金額の支払い義務をそのまま負い続けます。具体的には次のような流れになります。

  • 受任通知が債権者に届くと、本人への請求は止まる
  • 同時に、債権者は連帯保証人へ一括請求の通知を送る
  • 個人再生の手続中も、保証人への請求は止まらない
  • 個人再生が認可されても、保証人の支払い義務は減額されない

ここでよく誤解されるのが、個人再生をすれば保証人への請求も止まるという思い込みです。民事再生法177条2項は、再生計画の効果は保証人には及ばないと明確に定めています。つまり、本人が個人再生で借金を圧縮しても、保証人にとっては何の効果もない、というのが法的な構造です。

さらに、保証人が代わりに支払った場合、本人に対して求償権を持つことになりますが、本人が再生計画で減額された債権の保証分については、求償権も実質的に再生計画の枠内で扱われるため、保証人が支払った分を本人から取り戻すのは難しくなります。

保証人がご家族や親しい方の場合、個人再生を選ぶと、その方も債務整理を考えざるを得ない状況に追い込まれることがあります。保証人がいる場合の個人再生は、保証人にも事前に状況を共有し、必要に応じて二人並行での債務整理を検討するという発想が必要になります。

自己破産:保証人への影響は最大級

自己破産は、本人の支払い義務を法的に消滅させる手続きです。借金を最も大きく整理できる代わりに、保証人への影響も最大になります。

債権者は、本人が自己破産で免責を得ても、保証人に対しては当初の借入金額の全額を一括請求できます。本人の免責の効果は保証人には及ばないという点は、個人再生と同じ構造です。

具体的に保証人に起こることは次のとおりです。

  • 本人の自己破産の手続き開始と同時に、保証人へ全額の一括請求が来る
  • 一括で払えなければ、保証人は分割払いの交渉、もしくは保証人自身の債務整理を検討することになる
  • 保証人が支払った分は、本人への求償権として残るが、本人が免責を取ったあとは求償権も破産債権として消滅する
  • 結果として、保証人は支払った分を実質的に取り戻せない

連帯保証している借金の額が大きい場合、保証人ご自身も自己破産せざるを得ないという連鎖が起こることがあります。とくに住宅ローンの連帯保証や事業資金の保証は金額が大きく、保証人を巻き込むかどうかが手続き選びの最大の論点になることも珍しくありません。事業を営んでこられた方が自己破産を検討される場面では、保証人になっている取引先や経営パートナーへの影響まで考えなければならず、判断が一層難しくなります。

保証人を巻き込まないための具体的な回避策

ここまでの整理を踏まえて、保証人への影響を抑えるための実務的な回避策を3つお伝えします。

回避策1:任意整理で対象から外す

  • 保証人付きの借金以外を任意整理の対象にする
  • 保証人付きの借金は通常どおり返済を続ける
  • 任意整理は債権者を選べるため、もっとも柔軟な方法

回避策2:保証人付き債務を親族返済で完済する

  • 親族の協力を得て、保証人付きの借金だけを完済してもらう
  • 完済すれば保証契約も終了するため、その後の手続きで保証人に影響しない
  • ただし、本人が返済原資を出すと偏頗弁済の問題になるため、親族自身の資金で完済してもらう必要がある

回避策3:保証人へ事前に共有して二人三脚で進める

  • 個人再生・自己破産が避けられない場合は、保証人にも事前に説明する
  • 保証人ご自身も債務整理が必要なら、同じタイミングで一緒に進める
  • 二人で同じ弁護士に依頼すれば、手続きの一体感が出てスムーズに進む

どの回避策が現実的かは、保証人付きの借金の規模、保証人ご自身の経済状況、親族の協力可能性によって変わります。一つの回避策にこだわらず、複数の組み合わせを検討するのが現場での実務です。とくに回避策2については、親族返済の原資の出所が後から問題視されやすいため、必ず弁護士と相談しながら進める必要があります。

巻き込まれた保証人にできること

万一、本人の債務整理によって保証人として一括請求を受けてしまった場合、保証人ご自身にもいくつかの選択肢があります。

  • 債権者と分割払いの交渉をする(一括が無理でも、月々の支払いに応じてもらえることが多い)
  • 保証人ご自身が任意整理で利息カットと分割を交渉する
  • 借金の総額が大きく支払い切れない場合は、保証人ご自身が個人再生または自己破産を検討する

連帯保証人として一括請求を受けたからといって、即座に自己破産しなければならないわけではありません。請求金額や保証人ご自身の資力によっては、分割払いの交渉や任意整理で乗り切れるケースも多いというのが実務感覚です。

請求書が届いた段階で慌てて支払う前に、まず弁護士へご相談ください。本人と保証人で別々に手続きを検討するより、最初から同じ弁護士に相談して全体最適を考えたほうが、結果的に費用も時間も少なく済むことが多いです。保証人としての請求書が届いたあとも、対応の選択肢は複数あるということだけは押さえておいてください。

まとめ:手続き選びの段階で保証人を含めて考える

債務整理が保証人に及ぼす影響は、選ぶ手続きによって大きく変わります。

  • 任意整理:対象から外せば保証人への影響なし
  • 個人再生:保証人への一括請求は避けられない
  • 自己破産:保証人への影響は最大級

保証人がいる場合は、ご自身の借金問題だけを考えて手続きを選ぶのではなく、保証人を含めた家族・関係者全体の状況をどう守るかという視点で方針を決めることが大切です。

借金問題を一人で抱え込み、保証人に伝えないまま手続きを進めることは、結果的にもっとも後悔の残るパターンになりがちです。保証人として名前を貸してくれた方には、できるだけ早い段階で状況を共有し、一緒に整理する道を考えてみてください。

代表弁護士 平田裕也

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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