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離婚の慰謝料はいくら請求できる?相場と認められるケースを解説

2026.08.25 弁護士コラム

離婚を考えたとき、相手に慰謝料を請求できるのか、できるとすればいくらくらいになるのかは、誰もが気になるところでしょう。一方で、離婚すれば必ず慰謝料が支払われると思っている方も少なくありませんが、それは正確ではありません。慰謝料が認められるかどうかは、離婚に至った原因に大きく左右されます。

この記事では、離婚慰謝料がどのような場合に認められるのか、相場はどの程度なのか、金額は何によって決まるのかを、弁護士の視点から整理して解説します。請求する側の立場に立って、知っておくべき基礎知識をまとめました。

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離婚の慰謝料とは

離婚慰謝料は、相手の有責な行為によって精神的な苦痛を受けたときに、その償いとして請求できるお金です。法律的には、不法行為に基づく損害賠償(民法709条)にあたります。逆にいえば、どちらか一方に責められるべき行為があってはじめて発生するものであり、離婚という事実だけで当然に支払われるわけではありません。

離婚慰謝料は、考え方として2つに分けられます。ひとつは、不貞やDVといった個別の有責行為そのものによる苦痛に対する離婚原因慰謝料、もうひとつは、それが原因で離婚を余儀なくされたこと自体による苦痛に対する離婚自体慰謝料です。もっとも実務では両者を厳密に区別せず、まとめてひとつの慰謝料として扱うのが一般的です。

なお、慰謝料は財産分与や養育費とはまったく別のお金です。財産分与は婚姻中に築いた財産を分けるもの、養育費は子の養育にかかる費用であり、いずれも相手の有責性とは関係なく発生します。これらと慰謝料を混同しないことが、請求を考えるうえでの出発点になります。

慰謝料が認められるケース

では、具体的にどのような行為があれば慰謝料が認められるのでしょうか。代表的なものは次のとおりです。

  • 不貞行為(不倫・浮気)
  • 身体的暴力(DV)
  • 精神的な攻撃(モラハラ)
  • 悪意の遺棄
  • 正当な理由のない性交渉の拒否や、性行為の強要

最も典型的なのが不貞行為です。ここでいう不貞とは、配偶者以外の相手と自由な意思で肉体関係を持つことを指します。重要なのは、原則として肉体関係があることが前提になるという点です。気持ちが傾いていただけ、頻繁に連絡を取り合っていただけといったプラトニックな関係にとどまる場合は、慰謝料が発生しないか、認められても低額にとどまることが多くなります。

身体的暴力やモラハラも、慰謝料の対象です。殴る蹴るといった暴力はもちろん、無視や暴言、人格を否定する言動によって精神的に追い詰められていた場合にも、慰謝料を請求できる可能性があります。

悪意の遺棄も見落とされがちな類型です。これは、正当な理由なく夫婦の同居・協力・扶助の義務を果たさないことをいいます。理由もなく家を出ていく、働けるのに働かない、生活費をまったく渡さないといった行為がこれにあたります。

慰謝料が認められにくいケース

一方で、離婚に至っても慰謝料が認められにくいケースもあります。代表的なのが、性格の不一致や価値観の違いを理由とする離婚です。

これらの場合、夫婦のどちらか一方だけが悪いとは言いにくく、関係が壊れた責任を特定の有責行為に帰することが難しくなります。慰謝料は一方の違法な行為が前提となるため、双方に同じ程度の落ち度があるケースや、誰の責任とも言えないかたちで関係が冷えていったケースでは、請求しても認められないのが通常です。信仰や親族との関係、生活習慣のずれなども、それ自体だけでは有責行為とは評価されにくいといえます。自分のケースで慰謝料が見込めるかどうかは、原因となった事実を冷静に整理することから始まります。

離婚慰謝料の相場

気になる金額ですが、離婚慰謝料におおむねの目安はあるものの、固定された相場や計算式は存在しません。最終的な金額は、夫婦関係が壊れた原因、行為の違法性の程度、婚姻期間、当事者の経済力などを踏まえ、裁判官の裁量によって判断されます。

そのうえで、一般的に語られる目安を示すと、全体としてはおおよそ50万円から300万円程度の幅に収まることが多く、高額なケースでも500万円程度とされています。原因別に見ると、次のような傾向があります。

  • 不貞行為:100万円から300万円程度。態様が悪質だったり婚姻期間が長かったりすると、300万円を超えることもある
  • DV・モラハラ:50万円から300万円程度。暴力や暴言の程度・頻度・期間によって大きく変動する
  • 悪意の遺棄:50万円から250万円程度。生活費を渡さない状態が長期に及ぶほど高額になりやすい

いずれもあくまで目安であり、同じ不貞でも事情によって金額は大きく上下します。

慰謝料の金額を左右する要素

相場の幅が大きいのは、金額がさまざまな事情の組み合わせで決まるためです。主に次のような要素が考慮されます。

  • 有責行為の悪質性、継続した期間、回数
  • 婚姻期間の長さ(長いほど高額になりやすい)
  • 受けた精神的苦痛の大きさ(うつ病を発症したなどの事情)
  • 未成年の子の有無や人数
  • 当事者双方の収入や資産
  • 請求する側にも落ち度がなかったか

たとえば、長年連れ添った夫婦で、相手の不貞が長期間にわたり、幼い子がいるといった事情が重なれば、慰謝料は相場の上限に近づきます。逆に、請求する側にも一定の責任がある場合には、その分が考慮されて減額されることもあります。

誰に慰謝料を請求できるのか

請求の相手は、原則として有責行為を行った配偶者本人です。ただし、不貞行為のケースでは、配偶者だけでなく不貞の相手方にも慰謝料を請求できます。

ここで注意したいのは、配偶者と不貞相手の両方に請求できるとはいえ、二重に受け取れるわけではないという点です。精神的苦痛という損害はひとつであるため、一方から十分な賠償を受ければ、その分もう一方への請求は減ります。どちらに、どのように請求するのが有利かは、相手の資力や証拠の状況によって変わってきます。

請求の方法と時効に注意

慰謝料の請求は、まず当事者間の話し合いから始めるのが一般的です。話し合いが難しい場合は、内容証明郵便で請求の意思を伝え、それでもまとまらなければ家庭裁判所の調停、最終的には訴訟へと進みます。

請求を通すうえで決定的に重要なのが証拠です。不貞であればメッセージのやり取りや写真、調査報告書など、DVであれば医師の診断書や負傷部位の写真、録音などが、有責行為を裏づける材料になります。証拠が乏しいと、相手に否定されたときに請求が認められにくくなります。

そして見落としてはならないのが時効です。離婚自体に対する慰謝料は離婚が成立した日から3年、不貞による慰謝料は不貞の事実と相手を知った時から3年で、請求できなくなるのが原則です(民法724条)。また、離婚時に作成する協議書へ清算条項を入れてしまうと、後から慰謝料を請求できなくなる場合があります。期限と書面の内容には十分な注意が必要です。

まとめ

離婚慰謝料は、不貞やDV、モラハラ、悪意の遺棄といった相手の有責行為があってはじめて認められるもので、性格の不一致などでは原則として発生しません。相場はおおむね50万円から300万円程度ですが、固定された金額はなく、行為の悪質性や婚姻期間、子の有無などによって大きく変わります。

適正な金額を引き出すには、有責行為を裏づける証拠をそろえ、時効が完成する前に動くことが欠かせません。自分のケースでどの程度の慰謝料が見込めるのか、どう請求を進めるべきか迷う場合は、早めに離婚問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

代表弁護士 平田裕也

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

広島弁護士会所属/弁護士登録番号 第57063号

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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