column

弁護士コラム

共同親権の手続きを場面別に解説

2026.04.22 弁護士コラム

一人で悩んでいませんか?

弁護士に相談することで、解決への道筋が見えてきます。

  • ✓ 初回相談無料
  • ✓ 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。
  • ✓ 全国どこからでも24時間年中無休でメール・電話・LINEでの相談ができます。
弁護士に相談

協議離婚・調停・変更申立て・意見対立時の対処まで流れがわかる

2026年4月1日から、離婚後の親権について共同親権という選択肢が加わりました。しかし、実際にどんな手続きをすればいいのか、どこに何を提出するのかがわからない方は多いはずです。

この記事では、共同親権に関係する手続きを場面ごとに整理して、初めて読む方でも流れが理解できるよう解説します。協議離婚の場合・話し合いがまとまらない場合・すでに離婚している場合・共同親権になった後の場面まで、それぞれ具体的に説明します。

協議離婚のとき|離婚届への記入と合意書の作成

離婚届に親権者の記入が必要

話し合いで離婚に合意できた場合(協議離婚)は、市区町村の窓口に離婚届を提出することで離婚が成立します。

従来の離婚届には子どもの親権者の欄があり、父か母のどちらか一方を記入するルールでした。2026年4月1日以降は、この欄に父母の両方(共同親権)を記入することも、一方のみ(単独親権)を記入することも選べるようになりました。

話し合いで共同親権にすると決めたのであれば、離婚届の親権者欄に父母の両方の名前を記入して提出します。単独親権にするなら従来どおりどちらか一方のみを記入します。

子どもが複数いる場合は、子どもごとに親権者を決めることになります。兄は共同親権・妹は単独親権といった組み合わせも制度上は可能ですが、きょうだいを異なる養育環境に置くことが子どもの利益に照らして適切かどうかも考慮する必要があります。

離婚と同時に決めておくべきこと

共同親権か単独親権かを決めると同時に、子どもの養育に関する具体的な取り決めも離婚時にしておくことを強くおすすめします。離婚後に話し合う機会を持つのは現実的に難しくなる場合が多いためです。

特に共同親権を選ぶ場合は、以下の事項を離婚時に決めて書面に残しておくことが重要です。

  • 誰が子どもと一緒に住んで日常の養育を担うか(監護者の指定)
  • 別居している親がいつ・どのようなかたちで子どもと交流するか(親子交流の頻度・方法)
  • 養育費の金額・支払い方法・支払い期間
  • 共同で決める必要がある事項が生じたときの連絡方法や話し合いの進め方

これらを子どもの養育に関する合意書として書面化しておくと、後々のトラブル防止になります。公正証書にしておくと法的拘束力が強まります。法務省は合意書の作成手引きをウェブサイトで公開しているので参考にしてください。

合意書を公正証書にする手順

養育費や親子交流の取り決めを公正証書にするには、以下の流れで手続きします。

  1. 最寄りの公証役場に連絡し、予約を取る
  2. 合意した内容を文書にまとめて持参する(下書きでよい)
  3. 公証人と内容を確認しながら正式な公正証書を作成する
  4. 父母双方が署名・押印する

費用は合意内容の金額によって変わりますが、養育費の公正証書であれば数万円程度が目安です。公正証書にしておくと、養育費が未払いになった場合に裁判を経ずに差し押さえ手続きに進めるという大きな利点があります。

話し合いがまとまらないとき|調停と審判の手続き

調停申立てとは何か

父母の話し合いがまとまらず、共同親権にするか単独親権にするかが決められない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法があります。

調停とは、家庭裁判所の調停委員(法律の専門家と一般市民からなる第三者)が間に入って、双方の話を聞きながら合意を目指す手続きです。直接顔を合わせる場面は少なく、それぞれが別々に調停委員と話す形式がとられることが多いため、相手と直接やり取りが難しい場合でも進められます。

調停の申立て手順

  1. 相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出する
  2. 収入印紙(申立費用)と郵便切手を納める
  3. 指定された期日に家庭裁判所に出頭する(月1〜2回程度)
  4. 調停委員と双方が話し合い、合意を目指す
  5. 合意に至れば調停調書が作成され、法的拘束力を持つ

申立費用は子ども1人あたり収入印紙1,200円と郵便切手代です。申立書は裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。

調停で使われる書類は、夫婦の収入証明書・子の戸籍謄本・住民票などです。ケースによって必要書類が変わるため、申立て前に裁判所窓口で確認するのが確実です。

調停不成立から審判へ

調停でも合意に至らなかった場合、手続きは自動的に審判に移行します。審判では裁判官が双方の主張と証拠をもとに、共同親権か単独親権かを決定します。

審判では、家庭裁判所調査官が子どもの生活状況や心理状態を調査することがあります。調査官は子どもに直接面談したり、保育園・学校などに問い合わせたりして、子どもの現在の状況を把握します。この調査報告書は裁判官の判断に大きく影響します。

審判の決定に不服がある場合は、審判書を受け取った翌日から2週間以内に即時抗告を申し立てることができます。

監護者を別途決めるとき|指定の手続き

共同親権を選んだ場合でも、子どもが実際に生活する家をどちらにするかは別の問題です。子どもと日常的に生活を共にして世話をする親を監護者と呼び、共同親権の中でも監護者を父母のどちらかに定めることができます。

監護者に指定された親は、子どもの住まい・日常の養育・子どもの職業の決定といった監護に関する行為を単独で行えます。

監護者を協議で決める場合

父母の話し合いで合意できれば、監護者を定める合意書を作成します。離婚届と同時に進めることが多く、親権者:父母双方(共同親権)、監護者:母という形で整理されます。

合意書は公正証書にしておくと、後から言った・言わないのトラブルを防げます。

監護者を裁判所で決める場合

話し合いで監護者が決まらない場合、家庭裁判所に子の監護者の指定調停を申し立てることができます。調停でも決まらなければ審判に移行し、裁判官が子どもの利益を最優先に判断します。

申立て先は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。必要書類は離婚調停と概ね共通しています。

すでに離婚している場合|単独親権から共同親権への変更手続き

2026年4月1日より前に離婚して単独親権となっている場合、施行後に共同親権へ変更を求めることができます(改正民法819条6項)。ただし、自動的に変わるわけではなく、正式な申立て手続きが必要です。

変更申立ての手順

  1. 家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てる
  2. 調停で父母が合意し、かつ裁判所が子どもの利益に資すると判断すれば変更が認められる
  3. 合意に至らなければ審判に移行し、裁判所が判断する

申立て先は相手方(現在の親権者)の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立費用は子ども1人あたり収入印紙1,200円と郵便切手代です。

注意点として、単独親権が決まった経緯や、その後の状況の変化、共同親権を必要とする合理的な理由がなければ変更は認められにくい傾向があります。施行前に決めた親権を変えたいという希望だけでは十分ではなく、変更が子どもの利益になるという説得力ある事情が必要です。

逆の場合|共同親権から単独親権への変更

共同親権の状態から単独親権への変更を求めることも可能です。手続きは同様に親権者変更調停の申立てになります。

変更が認められやすいのは、虐待やDVのおそれが生じた場合・父母間の関係が著しく悪化して子どもへの影響が懸念される場合などです。DVが関係している場合は、証拠を準備したうえで早めに弁護士に相談してください。

共同親権になった後|意見が対立したときの手続き

共同親権になると、子どもの転居・進学先・重要な医療行為などの重要事項については父母の合意が必要です。しかし現実には合意に至らないケースも出てきます。その場合の手続きを理解しておくことが大切です。

相手に連絡したが返事がない場合

共同で決めるべき事項について相手に連絡したものの返事がない場合、無視されているからといって一方的に決定して行動することは原則できません。

返事がない状態が続いて子どもの利益に支障が生じるおそれがある場合は、家庭裁判所への申立てを検討する必要があります。裁判所への申立てを通じて、その事項について一方の親が単独で決定できるよう親権行使者の指定を求めることができます。

意見が対立した場合の親権行使者指定申立て

共同親権のもとで父母の意見が合わず、どちらかの意見を採用して子どものために動く必要が生じた場合、家庭裁判所に特定の事項についての親権行使者指定の審判を申し立てることができます。

たとえば、子どもの高校進学先について父は私立を、母は公立を希望して話し合いがまとまらない、といった場面でこの手続きが使われます。裁判所が子どもの利益の観点からどちらの意見を採用するかを決定します。

申立て先は子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。緊急性のある事案では、速やかに申立てることが重要です。子どもにとってその判断を早急に下す必要があるのに手続きに時間がかかり過ぎる場合は、弁護士に相談して対処法を検討してください。

緊急の場合は単独で行動できる

共同親権のもとでも、子どもの利益のために緊急の対応が必要な場合は、相手の同意なしに単独で動くことが認められています。たとえば、子どもの急病で即座に手術の同意が必要な場合や、DVや虐待の危険から子どもを避難させる必要がある場合などです。

緊急事態が過ぎた後は、取った行動について相手方に説明し、今後の対応を話し合うことが求められます。

手続き全体を通じた注意点

子どもの人数分だけ親権を決める

子どもが複数いる場合、各子どもごとに親権者を定めることになります。全員を共同親権にするケース・全員を単独親権にするケース・子どもによって異なるケースの選択が可能です。ただし、きょうだいを分けることが子どもの利益に反しないかについても考慮が必要です。

合意の内容は書面に残す

親権の形態に限らず、監護者の指定・養育費・親子交流の取り決めは書面に残すことが重要です。口約束では言った・言わないのトラブルが起きやすく、後から証明することが難しくなります。できれば公正証書にしておくと強い法的効力が生まれます。

子どもの意見を聞く

子どもに一定の判断力がある年齢(概ね10歳以上が目安とされることが多い)の場合、調停・審判の過程で子どもの意見が考慮されます。改正法でも、父母は子どもの意見に耳を傾け、その人格を尊重することが求められています。

子どもに対して自分の意見を誘導したり、相手方の親を悪く言うような行動は、裁判所の心証を悪くするだけでなく、子ども自身を傷つけることになります。

まとめ|共同親権の手続きは場面で変わる

共同親権に関わる手続きは、どの場面にいるかによって内容が異なります。離婚届への記入だけで完結する協議離婚の場合から、調停・審判を経て裁判所が決める場合、すでに離婚している人が変更を求める場合、共同親権後に意見対立が生じた場合まで、それぞれに対応した手続きが用意されています。

どの場面でも共通して言えることは、子どもに関する取り決めは書面に残すこと、合意の内容はできれば公正証書にすること、そして手続きに迷ったら早めに弁護士や家庭裁判所の窓口に相談することです。

特に話し合いが難しい関係にある場合、自分一人で手続きを進めようとすると想定外の状況に直面することがあります。弁護士や法テラスに相談することで、自分のケースで何が必要かを正確に把握したうえで手続きに臨むことができます。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

初回相談は無料です

共同親権についてはまずご相談ください。

9:00~24:00 / 定休日:なし

TOP

050-5445-1846

MAILFORM