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弁護士コラム

共同親権と養育費|2026年4月の法改正で何が変わる?

2026.04.24 弁護士コラム

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法定養育費の金額・支払い確保の新制度・既離婚者への影響をわかりやすく解説

2026年4月1日から、離婚後の親権のルールが大きく変わります。共同親権という選択肢が新たに加わり、それにあわせて養育費に関する制度も見直されました。

共同親権になると養育費はもらえなくなるのか、逆に払わなくていいのか——そんな疑問を抱えている方は少なくありません。結論から言えば、共同親権になっても養育費の支払い義務はなくなりません。むしろ今回の改正は、養育費をより確実に受け取れるようにするための仕組みを整えたものです。

この記事では、法改正の内容を初めて知る方にもわかりやすいよう、共同親権の基本から養育費への具体的な影響まで、順を追って解説します。

共同親権とは何か|まず基本から整理する

これまでの単独親権との違い

離婚後の親権について、これまでの日本の法律は原則として単独親権でした。つまり、離婚すると父か母のどちらか一方だけが子どもの親権を持ち、もう一方は親権を失う仕組みです。

2026年4月1日に施行された改正民法では、これに加えて、離婚後も父母の両方が親権を持ち続ける共同親権を選べるようになりました。強制されるものではなく、あくまでも選択肢が増えた形です。

共同親権の決め方

共同親権にするか単独親権にするかは、まず父母の話し合いで決めます。話し合いで合意できた場合は、その内容に従います。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所が子どもの利益を最優先に考えて判断します。ただし、次のいずれかに当てはまる場合、裁判所は必ず単独親権にしなければなりません。

  • 一方の親から子どもへの虐待のおそれがあると認められるとき
  • DV(ドメスティック・バイオレンス)のおそれその他の事情によって、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき

DVや虐待は身体的なものに限らず、精神的なものも含まれます。安全が守られない環境で共同親権を強制されることがないよう、歯止めが設けられています。

共同親権でも日常の決定は単独でできる

共同親権になると、すべての育児判断に相手の同意が必要になるわけではありません。子どもの日常的な世話や教育に関することは、子どもと一緒に暮らしている親が単独で決められます。

共同で決める必要があるのは、子どもの生活に大きな影響を与える重要事項です。

  • 遠方への転居
  • 進路に影響する進学先の決定(高校への進学をしないで就職するなど)
  • 心身に重大な影響を与える医療行為
  • 子ども名義の預金口座の開設など財産管理に関すること

また、緊急事態(子どもの急病など)の場合は、単独で判断・行動できます。

共同親権になっても養育費はなくならない

養育費は、親権を持っているかどうかとは無関係に、子どもの親であれば両親ともに負う義務です。これは改正前も改正後も変わりません。

養育費の根拠は民法に定める扶養義務です。子どもが自立するまで、両親はそれぞれの収入に応じて子どもの生活を支える義務を負います。

共同親権を選んだとしても、子どもと離れて暮らす親(非監護親)が養育費を支払う義務は残ります。

よくある誤解として、共同親権になれば両方が親権者なのだから養育費は必要ないという考え方がありますが、これは誤りです。養育費は親権の有無ではなく、子どもが生活するうえで必要なお金を実際に育てている側が相手に請求できる権利です。

今回の改正で養育費はどう変わったか

法定養育費制度の新設

今回の改正で最も注目される変更点の一つが、法定養育費制度の創設です。

これまでは、養育費を受け取るためには、離婚の際に相手方との話し合い(または調停・審判)で金額を取り決めておく必要がありました。取り決めをしないままで離婚すると、後から請求するのが難しい状況でした。

改正法では、養育費の取り決めをしないまま離婚した場合でも、子どもと暮らす親(監護親)が他方の親(非監護親)に対して一定額の養育費を請求できるようになります。これが法定養育費です。

法定養育費の金額は法務省令によって定められており、子ども1人あたり月2万円です。この金額は養育費の標準額や下限額を示すものではなく、取り決めが成立するまでの間に請求できる暫定的・補充的なものです。

なお、法定養育費が適用されるのは2026年4月1日以降に離婚したケースに限られます。施行前に離婚している場合は対象外です。

先取特権による支払い確保の強化

これまで養育費の未払いに対処するためには、家庭裁判所の調停調書や審判といった確定判決に相当する文書(債務名義)が必要でした。この文書がないと、相手の給与や預金を差し押さえることができなかったのです。

改正法では、父母間で文書(合意書)で養育費の取り決めをしていれば、その文書をもとに差し押さえの申立てができるようになります。わざわざ調停や審判を経なくても、取り決めた金額が払われない場合に迅速に動ける仕組みです。これを先取特権といいます。

先取特権が適用される金額の上限は子ども1人あたり月8万円です。それを超える部分については通常どおり債務名義(調停調書・審判書など)が必要です。

改正前後の養育費ルールの比較

改正前(〜2026年3月)改正後(2026年4月〜)
養育費の義務取り決めがないと請求困難法定養育費(月2万円/人)が請求できる
未払い時の差し押さえ債務名義(調停調書等)が必要文書で取り決めがあれば申立て可能(上限月8万円/人)
親権の選択肢単独親権のみ単独親権または共同親権を選択可能

すでに離婚している場合への影響

2026年4月1日の施行前にすでに離婚している場合、いくつかの点で注意が必要です。

自動的に共同親権にはならない

施行前に単独親権で離婚している場合、改正法の施行によって自動的に共同親権に変更されることはありません。従来どおりの単独親権のままです。

ただし施行後に、子ども自身やその親族が家庭裁判所に申し立てれば、子どもの利益のために必要だと判断された場合は単独親権から共同親権に変更されることがあります。変更が認められるかどうかはケースによります。

法定養育費は適用されない

法定養育費制度は2026年4月1日以降に離婚したケースにのみ適用されます。施行前に離婚した場合は法定養育費の対象外であるため、養育費の取り決めがなければ別途協議または家庭裁判所への申立てが必要です。

先取特権は施行後に発生する養育費から適用

施行前に養育費の取り決めをしていた場合でも、2026年4月1日以降に発生する養育費については先取特権の適用を受けられます。施行前の未払い分には適用されません。

養育費の金額はどうやって決まるのか

共同親権・単独親権にかかわらず、養育費の具体的な金額は父母の合意によって自由に決めることができます。合意できない場合は養育費算定表を基準に調停・審判で決まります。

算定表は、支払う側(非監護親)と受け取る側(監護親)それぞれの年収と、子どもの人数・年齢を組み合わせて月額の目安が示される仕組みです。令和元年(2019年)に改定版が公表されており、全国の家庭裁判所で広く使われています。

法定養育費の月2万円はあくまで取り決めが成立するまでの暫定額です。実際の養育費は算定表にもとづいて決まることが多く、月2万円よりも高い金額になるケースが大半です。法定養育費をもらっていれば十分と誤解しないよう注意が必要です。

まとめ|共同親権と養育費の要点

2026年4月1日の改正民法施行によって、離婚後の親権の選択肢に共同親権が加わりました。しかし共同親権は強制ではなく、DV・虐待のおそれがある場合は必ず単独親権になります。

共同親権になっても養育費の支払い義務はなくなりません。今回の改正はむしろ養育費を確実に受け取れるよう制度を強化するものでした。具体的には、取り決めなしで離婚した場合に子ども1人あたり月2万円の法定養育費を請求できること、文書で取り決めがあれば調停や審判なしに差し押さえを申し立てられることの2点が大きな変化です。

すでに離婚している場合は自動的に共同親権にはならず、法定養育費も適用されません。現在の状況を確認し、必要であれば養育費の取り決めを改めて行うことを検討してください。

養育費は子どもの生活を守るための制度です。取り決めの方法や未払い時の対処など、具体的な手続きに迷ったときは弁護士または法テラスに相談することをおすすめします。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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