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弁護士コラム

自己破産すると家族はどうなる?

2026.05.29 弁護士コラム

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影響があること・ないことを正しく理解して不安を解消

自己破産を検討しているけれど、家族への影響が心配で踏み切れない。そんな悩みを抱えている方は非常に多いです。配偶者の仕事に支障が出るのではないか、子供の将来に傷がつくのではないか、親に返済を肩代わりさせることになるのではないか。こうした不安が先に立ち、借金問題を放置したまま状況が悪化してしまうケースは少なくありません。

結論から言えば、自己破産はあくまで本人個人の手続きであり、家族が保証人になっていない限り、返済義務が家族に移ることはありません。家族名義の財産が没収されることも原則としてありません。ただし、間接的に生活面で影響が及ぶ部分はあるため、事前に正確な知識を持っておくことが重要です。

この記事では、自己破産が家族に与える影響について、実際に起こることと起こらないことを明確に分けて解説します。漠然とした不安ではなく、具体的な事実を把握することで、冷静な判断ができるようになるはずです。

1. 自己破産しても家族に影響しないこと

まずは安心材料から確認しましょう。自己破産に対する世間のイメージには誤解が多く、実際にはほとんどの場面で家族に直接的な被害は及びません。以下に挙げる項目は、自己破産をしても家族には一切影響がないものです。

家族の就職・転職

配偶者や子供の就職活動に、本人の自己破産が影響することはありません。採用選考で応募者の家族の信用情報を調べることは、個人情報保護の観点から認められていないためです。履歴書に家族の自己破産歴を記載する欄もありませんし、面接で聞かれることもまずありえません。子供が就職を控えている時期であっても、そのことを理由に自己破産をためらう必要はないのです。

子供の進学・受験

学校の入試選考において、親の自己破産を調査する仕組みは存在しません。小学校から大学に至るまで、親の信用情報が合否に影響することはないため、安心してください。学費の支払いも、手元に残した自由財産や破産後の収入から賄うことは問題なく認められています。

子供の結婚

自己破産の事実は戸籍や住民票には記載されません。仮に結婚相手の家族が身辺調査を行ったとしても、自己破産の履歴を正確に把握することは極めて困難です。官報には掲載されますが、一般の方が官報を定期的に確認している可能性はほぼゼロと言ってよいでしょう。

家族名義の財産

処分の対象となるのは破産者本人が所有する財産に限られます。配偶者名義の預貯金、子供名義の口座に入っている資金、親が所有する不動産など、家族が自分の名義で保有している財産に手がつけられることはありません。ただし、破産者本人の収入で形成された家族名義の財産は、実質的に破産者の財産と判断される場合もあるため、この点は後述します。

家族の信用情報

信用情報は個人単位で管理されています。親が自己破産したからといって、配偶者や子供のクレジットカード審査やローン審査に悪影響が出ることは基本的にありません。子供が成人後に自分の名義でカードを作ったりローンを組んだりすることも、問題なく可能です。

2. 自己破産で家族に影響が及ぶ場面

一方で、自己破産が間接的に家族の生活に変化をもたらすケースもあります。ここでは、事前に知っておくべき具体的な影響を正直にお伝えします。

持ち家がある場合の転居

本人名義の持ち家は、自己破産において処分対象となります。不動産は高額資産とみなされるため、破産管財人によって売却され、その代金が債権者への配当に充てられるのが原則です。これにより、同居している家族は転居を余儀なくされます。子供が通学中であれば学区が変わり、転校が必要になることも考えられます。

なお、配偶者の単独名義で所有している家であれば、本人が自己破産しても処分されることはありません。しかし、夫婦共有名義の場合は注意が必要です。持ち分だけを売却するのは現実的に難しく、結果として家全体が売却対象になるケースがあります。

家族が保証人になっている場合

これが家族への影響として最も深刻なケースです。借金に家族が保証人や連帯保証人として名前を入れている場合、本人が自己破産して返済義務を免除されても、保証人の義務はそのまま残ります。特に連帯保証の場合は残債の一括返済を求められることが多く、保証人となった家族にとって非常に大きな経済的負担となります。

よくあるパターンとしては、住宅ローンや奨学金の保証人に配偶者や親がなっているケースです。自己破産を決める前に、保証人がついている借金がないかを必ず確認し、該当する家族と事前に話し合っておくことが不可欠です。場合によっては、保証人となった家族も同時に債務整理を検討する必要が出てきます。

家族カードが使えなくなる

自己破産すると本人が契約しているクレジットカードはすべて解約となります。それに伴い、本人のカードに紐づいた家族カードも利用停止になります。公共料金や携帯電話代の支払いを家族カードで行っていた場合は、事前に口座振替や別のカードへ切り替えておく必要があります。なお、家族が自分自身の名義で契約しているカードはそのまま使い続けられます。

学資保険の解約

破産者本人が契約者となっている保険のうち、解約返戻金が20万円を超えるものは換価処分の対象となります。特に注意が必要なのは子供の学資保険です。学資保険は返戻金が高額になるケースが多く、解約を求められる可能性があります。これは直接子供の財産が奪われるわけではありませんが、子供の教育資金計画に影響を及ぼすため、家族にとっては痛手です。

ただし、どうしても必要な保険については、自由財産の拡張という制度を利用して手元に残せる場合もあります。申し立ての前に弁護士と相談し、対策を講じておくことが重要です。

同居家族の書類提出が必要になる

自己破産の手続きでは、裁判所に家計の収支を報告する必要があります。この家計簿には、生計を同じくしている家族全員の収入と支出が含まれます。そのため、配偶者の給与明細や通帳の写しを提出するよう求められることがあります。つまり、同居家族に自己破産の事実を完全に隠して手続きを進めるのは、現実的には難しいということです。

賃貸契約への影響

持ち家を手放した後に賃貸住宅を探す場合、信販系の保証会社を利用する物件では審査に通りにくくなる可能性があります。信販系の保証会社は信用情報を参照するため、自己破産の事故記録が残っている間は審査で不利になることがあるのです。ただし、独立系の保証会社であれば信用情報を参照しない場合が多く、問題なく契約できるケースもあります。不動産会社に事情を伝えて、利用可能な物件を紹介してもらうのが現実的な対応です。

車の扱い

本人名義の車も状況によっては処分の対象になります。ローンが残っている場合はローン会社に引き揚げられ、ローン完済済みでも査定額が20万円を超える車は換価処分の対象です。一方で、年式が古く査定額が低い車や家族名義の車は処分されません。車が生活に不可欠な地方在住の場合は、裁判所の判断で手元に残せるケースもあるため、弁護士に相談しておきましょう。なお、破産直前に車の名義を家族に変更する行為は財産隠しとみなされる恐れがあるため、絶対に避けてください。

3. よくある誤解を解消する

自己破産にまつわる誤解は根強く、正しくない情報に振り回されている方が多くいます。ここでは代表的な誤解を取り上げ、事実をお伝えします。

  • 家族が借金を肩代わりさせられる:保証人になっていなければ返済義務は一切発生しない。債権者が家族に支払いを要求することは法律上認められていない
  • 戸籍に自己破産の記録が残る:戸籍にも住民票にも記載されない。破産者名簿に一時的に記載されることはあるが、これは非公開で一般人が閲覧することはできない
  • 自己破産したら離婚しなければならない:自己破産を理由に離婚する法的義務は存在しない。配偶者が自己破産したことはそれ自体が離婚事由にもあたらない
  • 家族全員がブラックリストに載る:信用情報の登録対象は破産者本人のみ。家族の信用情報に事故記録が載ることはなく、家族独自のカード作成やローン利用に支障はない
  • 子供が将来ローンを組めなくなる:親の自己破産は子供の信用情報に影響しない。子供が成人後にローンを申し込む際、親の破産歴が審査対象になることはない

4. 子供の奨学金はどうなるか

親の自己破産で特に心配されるのが、子供の奨学金への影響です。この点について正確に理解しておきましょう。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を利用する場合、通常は親が保証人になります。しかし、親が自己破産している場合は保証人になることが難しくなります。これだけを聞くと奨学金が借りられなくなるように感じるかもしれませんが、実際には代わりの手段が用意されています。

JASSOをはじめとする多くの奨学金制度では、人的保証のほかに機関保証制度を選択できます。これは保証機関が保証人の役割を担う仕組みで、一定の保証料を支払う必要がありますが、親の信用状態に関係なく子供本人の名義で奨学金を申し込めます。月々の保証料は奨学金の貸与額に応じて異なりますが、数千円程度の負担で利用できるケースがほとんどです。

また、親の自己破産とは別に、親以外の親族に保証人を依頼するという選択肢もあります。いずれの方法でも子供の進学自体に支障が出ることはないため、奨学金を理由に自己破産を先送りにする必要はありません。

5. 家族への影響を最小限にするためにできること

自己破産を決断する前に、家族への影響を軽減するための準備をしておくことが大切です。以下のポイントを意識しておくと、手続き後の生活がスムーズになります。

  • 家族カードで支払っていた固定費を、家族本人名義の口座振替や別のカードに切り替えておく
  • 保証人になっている家族がいる場合は、自己破産の前に必ず事情を説明し、今後の対応を一緒に考える
  • 学資保険など解約返戻金のある保険については、弁護士に相談のうえ自由財産の拡張が適用できるか確認する
  • 同居家族には手続きの流れを正直に共有し、給与明細や通帳の写しなど必要書類への協力を早めにお願いしておく
  • 持ち家を売却する場合は転居先の確保を計画的に進め、特に子供の通学に支障が出ないよう配慮する

家族に対して隠し通そうとするよりも、早い段階で正直に状況を共有したほうが、結果的にスムーズに事が進むケースが大半です。自己破産は人生を立て直すための前向きな手段です。家族と協力して乗り越えることで、むしろ家庭内の信頼関係が深まったという声も珍しくありません。

6. 自己破産以外の選択肢も視野に入れる

家族への影響をどうしても避けたい場合は、自己破産以外の方法を検討する余地もあります。

例えば任意整理であれば、裁判所を通さず特定の借金だけを選んで整理できるため、保証人付きの借入を対象外にすることが可能です。持ち家や車を手放す必要もなく、同居家族の書類提出も不要なので、家族への影響を最小限に押さえやすい手続きです。

また、個人再生には住宅ローン特則という制度があり、住宅ローンの返済を続けながらそれ以外の借金を大幅に減額できます。持ち家を守りたい方にとっては非常に有効な手段です。

どの手続きが最適かは、借金の総額、収入、家族構成、保有資産などによって異なります。自分だけで判断するのではなく、弁護士に相談して状況を客観的に整理してもらうことが、家族にとっても最善の結果につながります。

まとめ

自己破産をしても、家族の就職や進学、結婚、信用情報に直接的な悪影響は及びません。処分されるのは破産者本人名義の財産であり、家族固有の財産は原則として守られます。ただし、保証人になっている家族への請求、持ち家の売却による転居、家族カードの停止、学資保険の解約など、間接的に影響が出る場面はあります。

大切なのは、正しい情報を知ったうえで判断することです。漠然とした恐怖で手続きを先延ばしにしていると、延滞が続いて状況はさらに悪化します。家族を守りたいという気持ちがあるなら、まずは弁護士に相談し、自分のケースで家族にどのような影響があるのかを具体的に確認してください。無料相談を受け付けている事務所も多いため、費用を心配する必要もありません。家族と一緒に生活を立て直すための第一歩を、今日踏み出してみてはいかがでしょうか。

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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