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債務整理の4つの種類はどう違う? あなたに合う選び方を弁護士が解説【弁護士解説】

2026.07.04 弁護士コラム

借金問題のご相談で意外と多いのが、ネットや知人の話で得た断片的な情報をもとに、最初から特定の手続きに気持ちが固まっているケースです。任意整理しかないと思って来られたら、実は個人再生のほうが圧倒的に向いていた、あるいは自己破産を覚悟して来られたら、もっと軽い手続きで解決できそうだった、ということは現場で珍しくありません。

債務整理には法律上4つの種類があり、それぞれが解決できる問題のタイプも、生活への影響も違います。本記事では、最初に4つの違いをコンパクトに整理したうえで、ご自身に合う方法を選ぶための判断ステップを、現場で実際に使っている順序で解説します。

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4つの種類と、それぞれが解決する問題

債務整理に分類される手続きは、次の4つです。

  • 任意整理:将来利息をカットして、元本を3〜5年で返す交渉
  • 特定調停:簡易裁判所が間に入って、債権者と話し合う
  • 個人再生:裁判所手続きで、元本を5分の1〜10分の1まで圧縮する
  • 自己破産:裁判所手続きで、借金の支払い義務をなくす

それぞれが解決するのは、別のタイプの借金問題です。任意整理と特定調停は、利息さえカットできれば返せる方向け。個人再生は、利息カットだけでは足りないが、減額すれば返せる方向け。自己破産は、減額しても返済の見込みが立たない方向け、というのが本質的な使い分けです。

任意整理と特定調停の違いは、進め方の違いです。任意整理は弁護士や司法書士が代理人として動く方式、特定調停は簡易裁判所を間に挟んでご自身が直接動く方式です。効果はほぼ同じですが、費用と手間のかけ方が違います。

選び方を考えるときは、この4つを軸ごとに比較すると整理しやすくなります。ここから3つの軸で見ていきます。

軸1:借金の減り方の違い

最初の軸は、手続きで借金がどう変わるかです。

  • 任意整理:これから発生する利息(将来利息)がカットされ、元本のみを分割返済する。元本は減らない
  • 特定調停:任意整理と同じく将来利息のカットと分割が中心。元本は減らない
  • 個人再生:元本そのものが5分の1〜10分の1に圧縮される。最低弁済額の下限は100万円
  • 自己破産:借金の支払い義務が法的に消滅し、原則ゼロになる

借金が200万円、年利15%の状態で毎月の利息が2万5,000円ほど発生しているケースを考えると、任意整理で利息をカットすれば返済の負担はかなり軽くなります。一方で、借金が600万円もあって毎月の収入では返しきれない場合、利息カットだけでは追いつかず、個人再生で元本そのものを120万円に圧縮するほうが現実的です。さらに、収入そのものが返済に追いつかない状態であれば、自己破産でゼロにすることが選択肢になります。

借金を減らす効果の大きさと、生活への影響の大きさは比例関係にあります。効果が大きい手続きほど、財産や信用情報、職業面への影響も大きくなる、という関係を頭に入れて選ぶことが重要です。

軸2:裁判所を使うかどうか

次の軸は、裁判所を使うかどうかです。

  • 任意整理:裁判所を使わない。官報掲載なし
  • 特定調停:簡易裁判所を使う。官報掲載なし
  • 個人再生:地方裁判所を使う。官報掲載あり
  • 自己破産:地方裁判所を使う。官報掲載あり

裁判所を使うと、手続きの中身が公的に整理されるため、債権者との関係が明確になります。一方で、手続きが進む過程で官報という国が発行する公的な広報誌に氏名・住所が掲載されます。一般の方が官報を日常的に閲覧することはほとんどないため、家族や勤務先に直接知られる可能性は低いものの、金融機関や信用情報の関係者には目に留まる仕組みです。

任意整理と特定調停は官報に載らないため、家族に知られにくいという特徴があります。個人再生と自己破産は官報掲載があるため、同居家族には自宅に届く郵便物などから手続きが伝わる可能性が高くなります。

裁判所を使う手続きは、書類の準備や期日出頭が必要なため、手間と時間がかかります。任意整理は代理人の弁護士が動くため、ご本人の負担はもっとも軽いです。特定調停はご自身で簡易裁判所に出向く必要があり、平日昼間の時間を確保できる必要があります。

軸3:財産や職業への影響の違い

3つめの軸は、財産や職業への影響です。

  • 任意整理:財産の処分なし、職業制限なし
  • 特定調停:財産の処分なし、職業制限なし
  • 個人再生:原則として財産は手元に残せる、職業制限なし
  • 自己破産:現金99万円や各項目20万円を超える財産は処分対象、手続き中は一部の資格制限あり

この軸でいちばん差が出るのが自己破産です。自己破産では、預金や保険解約返戻金、自動車などが評価額20万円を超える場合は処分対象になり、持ち家は原則として手放すことになります。また、手続き中は弁護士・司法書士・税理士・警備員・生命保険募集人などの一部の職業に就けない期間があります。

個人再生は、住宅ローン特則を使えば自宅を維持できる唯一の方法です。自動車も原則として残せます(ローンが残っており、所有権留保がついている場合は別途検討が必要)。職業上の資格制限もありません。

任意整理と特定調停は、財産にも職業にも何の影響もありません。これがこの2つの手続きの最大の強みです。

あなたに合う方法を選ぶ4つのステップ

ここまでの軸を踏まえて、ご自身に合う方法を選ぶ際の判断ステップを順番に整理します。

ステップ1:完済できる返済プランが立つかを確認する

  • 月々の手取りから生活費を引いて、無理なく返済に回せる金額を計算する
  • その金額と借金総額から、利息カットだけで3〜5年で完済できそうか試算する
  • 完済できそうなら任意整理または特定調停が第一候補

ステップ2:自宅を守りたいかを確認する

  • 持ち家を残したい、住宅ローン以外の借金を整理したい場合は、個人再生の住宅ローン特則が選択肢
  • 持ち家を手放してもよい場合は、自己破産も検討範囲に入る

ステップ3:費用と手間のバランスを考える

  • 費用を抑えて自分で動ける時間があるなら特定調停
  • 専門家に任せて確実に進めたいなら任意整理
  • 個人再生・自己破産は費用が大きいが、法テラスの民事法律扶助で軽減可能

ステップ4:家族・保証人への影響を整理する

  • 保証人付きの借金がある場合、任意整理または特定調停で整理対象から外せるかを最初に確認
  • 家族に知られたくない場合は、官報掲載のない任意整理・特定調停を優先
  • 同居家族には事前共有を前提に個人再生・自己破産を選ぶケースも多い

この4つのステップを順に通すと、4つの手続きのうち2つ程度に絞られてくることが多いです。そこから先は、専門家との相談で詳細を詰めていく形になります。

ケース別の選び方の目安

具体的なイメージを持っていただきやすいよう、現場でよく出会うパターンと選び方の目安を整理します。

借金200万円、独身会社員、安定収入、過払い金なしのケース: 利息カットで5年完済の見通しが立てば任意整理が第一候補です。家計を整理して毎月3万5,000円程度を返済に回せれば、5年で完済できる計算になります。費用をできるだけ抑えたい場合は特定調停も選択肢ですが、手間と時間のトレードオフを考えると、多くの場合は任意整理のほうが現実的です。

借金800万円、住宅ローン中の40代会社員、子ども2人のケース: 住宅ローン特則が使える個人再生が第一候補になります。住宅ローン以外の借金を5分の1の160万円まで圧縮し、3年(36回)で月4万5,000円ほどの返済というイメージです。自宅を維持しながら家計を立て直せる、もっとも一般的なパターンです。

借金300万円、自営業、月収の変動が大きいケース: 収入の安定性が個人再生のネックになりやすいため、任意整理が選択肢の中心になります。事業継続に必要な財産も手元に残せます。事業継続が難しく廃業を視野に入れる場合は、自己破産も検討対象に入ってきます。

借金100万円、自分で動ける時間がある、費用を抑えたいケース: 特定調停が選択肢に入ります。借金総額が小さく債権者の数も少なければ、ご自身で簡易裁判所に出向いて進めるのも現実的です。ただし、平日昼間の時間が確保できるか、過払い金が見込まれないか、を事前に確認しておく必要があります。

これらはあくまで例ですので、実際には複数の事情が絡み合います。最終的な判断は、ご自身の状況を一つひとつ整理したうえで決めることになります。

まとめ:軸で見れば違いはシンプル

債務整理の4つの種類は、軸ごとに比べると違いがクリアに見えてきます。

  • 借金の減り方:任意整理・特定調停は利息カット、個人再生は大幅圧縮、自己破産はゼロ
  • 裁判所の関与:任意整理は使わず、特定調停は簡易裁判所、個人再生・自己破産は地方裁判所
  • 財産・職業への影響:任意整理・特定調停・個人再生は影響小、自己破産は影響大

ご自身の借金規模、収入、財産、家族・保証人の状況、職業を整理したうえで、4つの軸を順に当てはめていけば、自然と方向性が見えてきます。借金問題は早く動いたほうが選べる選択肢が広がりますので、まずは現状を整理することから始めてみてください。

代表弁護士 平田裕也

この記事を監修した弁護士

代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)

所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。

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