自己破産の流れを分かりやすく解説
自己破産を考え始めたものの、手続きがどう進むのか分からず不安を感じている方は多いのではないでしょうか。裁判所への申し立て、書類の準備、面談など、聞き慣れない言葉が並ぶと、それだけで気後れしてしまうものです。
しかし、自己破産の手続きは弁護士に依頼すれば、複雑な作業のほとんどを任せることができます。自分がやるべきことは書類を揃える作業が中心で、想像しているよりもずっとシンプルです。全体像を把握しておけば、今後の見通しが立ち、落ち着いて準備を進められるようになります。
この記事では、弁護士への相談から借金がゼロになる免責確定までの流れを、時系列に沿ってステップごとに解説します。各段階でかかる期間の目安や、手続き中の注意点もあわせて紹介しますので、最後まで読めば自己破産の全体像がしっかり見えてくるはずです。なお、この記事では弁護士に依頼して手続きを進めることを前提に説明しています。
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自己破産手続きの全体像
自己破産と聞くと、裁判所に何度も通わなければならない大がかりな手続きをイメージするかもしれません。実際には、弁護士に依頼すれば裁判所に出向く回数は1回から2回程度で済むケースがほとんどです。手続きの大部分は弁護士が書面のやり取りで進めてくれるため、日常生活を送りながら並行して手続きを進めることが十分に可能です。
自己破産の手続きは大きく分けると、弁護士への相談・依頼、申し立ての準備、裁判所での手続き、免責許可の確定という4つの段階に分かれます。弁護士に依頼してから免責が確定するまでの期間は、最短で5か月程度、長い場合で1年以上かかることもあります。
期間に幅がある理由は、手続きの種類によって裁判所でのプロセスが異なるためです。めぼしい財産がない方に適用される同時廃止事件では手続きが簡略化されるため比較的短期間で済みますが、一定の財産がある方や借金の原因に問題がある場合に適用される管財事件では、財産の調査や換価に時間がかかります。どちらの手続きになるかは裁判所が判断しますが、事前に弁護士からおおよその見通しを聞いておくことが可能です。
重要なのは、弁護士に依頼した時点で債権者からの督促がストップするという点です。手続き全体に数か月かかるとしても、精神的な苦痛からはすぐに解放されます。この事実を知っているだけでも、最初の一歩を踏み出しやすくなるのではないでしょうか。
ステップ1:弁護士への相談と依頼
最初にやるべきことは、自己破産の実績がある弁護士に相談することです。初回無料で対応している事務所も多いため、まずは自分の状況を話してみましょう。借入先の数や借入総額、毎月の収入と支出、持ち家や車の有無などを伝えれば、弁護士が自己破産が適切かどうかを判断し、手続きの見通しを説明してくれます。
相談の結果、自己破産で進めることが決まれば、弁護士と委任契約を結びます。委任契約後、弁護士はすべての債権者に対して受任通知を発送します。この通知は弁護士が代理人として手続きを進めることを知らせるもので、受任通知を受け取った債権者は貸金業法の規定により、本人への直接的な取り立てが禁止されます。早ければ依頼した当日に発送されるため、翌日には督促の電話やハガキが止まり始めます。
この段階で弁護士は、各債権者に取引履歴の開示を請求し、債権調査と引き直し計算も行います。過払い金が発生していれば、この調査の過程で判明します。過払い金があった場合は返還請求を行い、その回収分を弁護士費用や他の借金の返済に充てることも可能です。
ステップ2:申し立ての準備
受任通知の発送と並行して、裁判所への申し立てに必要な書類の収集と作成が始まります。この準備期間は通常2か月から6か月程度かかります。弁護士費用を分割で支払う場合は、支払いが完了するまで申し立てを待つことになるため、その分期間が延びることもあります。
申し立てに必要となる主な書類は以下のとおりです。
- 破産申立書・陳述書:借金の経緯や現在の生活状況を記載する書面。弁護士がヒアリングをもとに作成する
- 債権者一覧表:すべての借入先、借入残高、契約時期などをまとめた一覧。弁護士が債権者から取引履歴を取り寄せて作成する
- 資産目録:預貯金、不動産、車、保険の解約返戻金など、保有する財産をすべて記載した書面
- 家計収支表:直近2か月分の家計簿。収入と支出を細かく記録する必要があり、同居家族の分も含まれる
- 添付資料:過去2年分の通帳の写し、給与明細、源泉徴収票、保険証券、車検証、不動産の登記簿謄本など
書類の量は多いですが、弁護士から具体的にどの書類が必要かを指示してもらえるため、一つずつ確実に集めていけば問題ありません。書類の収集が遅れると手続き全体が長引く原因になるため、弁護士の指示にはできるだけ早く対応することが大切です。
ステップ3:裁判所への申し立てと破産手続き開始
書類が揃ったら、弁護士が管轄の地方裁判所に破産の申し立てを行います。申し立て後、裁判所から追加資料の提出を求められることもあり、申し立てから破産手続き開始の決定が出るまでには1週間から2か月程度かかるのが一般的です。
裁判所によっては、破産手続き開始前に裁判官との面談が行われる場合があります。これを破産審尋と呼び、借金の原因や現在の生活状況について質問を受けます。弁護士が同席するため、過度に緊張する必要はありません。
破産手続き開始が決定されると、そこから手続きの種類によって流れが分岐します。
同時廃止と管財事件、2つの手続きの違い
自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類があり、それぞれ手続きの内容も期間も大きく異なります。
同時廃止事件
債務者にめぼしい財産がなく、かつ借金の原因にギャンブルや浪費などの重大な問題がない場合に適用される、簡略化された手続きです。サラリーマンやパートの方による個人破産では、この同時廃止が選ばれるケースが最も多いです。
同時廃止の場合、破産手続きの開始と同時に手続きが終了し、その後は免責手続きのみが行われます。破産管財人の選任が不要なため、費用も低く抑えられます。申し立てから免責許可まで2か月から3か月程度で終了するのが目安で、弁護士への依頼から数えると全体で5か月から8か月程度です。
管財事件
20万円を超える財産がある場合や、借金の原因に浪費やギャンブルなどの免責不許可事由がある場合は管財事件として扱われます。裁判所が破産管財人を選任し、管財人が財産の調査・管理・換価を行ったうえで債権者に配当する手続きです。
管財事件では債権者集会が開催され、管財人から手続きの進捗が報告されます。この集会は複数回にわたることもあり、手続き期間は申し立てから免責確定まで6か月から1年以上に及ぶ場合があります。また、管財人への引継予納金として20万円から50万円程度が必要になるため、同時廃止に比べて費用負担も大きくなります。
なお、弁護士に依頼していることが条件ですが、管財事件であっても事案が比較的単純な場合は少額管財として処理されることがあります。少額管財は通常の管財事件よりも手続きが簡略化され、期間も4か月から6か月程度に短縮される場合があります。
自分のケースがどちらに振り分けられるかは、弁護士に相談すればおおよその見当がつきます。預貯金が少額で、持ち家や車などの高額資産がなく、借金の原因がやむを得ない事情(生活費の不足、病気、失業など)であれば、同時廃止となる可能性が高いです。逆に、不動産を所有している方や、ギャンブル・投資の失敗が借金の主因である方は、管財事件になることを想定しておく必要があります。
ステップ4:免責審尋と免責許可の確定
破産手続きが終了すると、最後に免責許可を判断するための手続きに入ります。裁判官が債務者と面談する免責審尋では、借金の原因や今後の生活について質問されますが、弁護士が同席し、事前に想定質問への準備もしてくれるため心配は不要です。
免責審尋の後、裁判所が免責を許可するかどうかを決定します。免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所の裁量によって免責が認められるケースは少なくありません。免責許可の決定が出ると、約2週間の確定期間を経て免責が確定し、税金や養育費などの非免責債権を除くすべての借金の返済義務がなくなります。
免責が確定した後は、官報に氏名と住所が掲載されますが、日常的に官報を購読している一般の方はほぼいないため、周囲に知られるリスクは極めて限定的です。また、免責確定をもって破産者としての制限はすべて解除され、法律上は破産前と同じ立場に戻ります。
手続き中に知っておくべき注意点
自己破産の手続き中にはいくつかの制限があります。事前に理解しておくことで、手続き中の不安やトラブルを防げます。
- 管財事件の場合、手続き期間中は裁判所の許可なく引っ越しや長期の旅行ができない。同時廃止であればこの制限はない
- 管財事件では本人宛の郵便物が破産管財人に転送される期間がある。財産隠しを防ぐための措置だが、管財人との連絡を密にしておけば実害はほとんどない
- 一部の職業には資格制限がかかり、手続き中は業務に就けなくなる場合がある。弁護士、税理士、警備員、保険外交員などが該当するが、免責確定後に復権すれば制限は解除される
- 手続き中に新たな借り入れをすることは厳禁。免責不許可の原因になりかねないため、絶対に避ける
手続きをスムーズに進めるためのポイント
自己破産の期間を不必要に長引かせないために、いくつかの実践的なコツがあります。
まず、弁護士から指示された書類はできるだけ早く集めることです。申し立て前の準備期間が最も長くかかるフェーズであり、ここで書類の収集が遅れると全体のスケジュールが後ろ倒しになります。通帳の再発行や保険の解約返戻金証明書の取得には時間がかかるものもあるため、依頼を受けたらすぐに動き始めましょう。
次に、弁護士費用の支払い方法を早めに決めておくことも重要です。分割払いを利用する場合、支払いが終わるまで申し立てを待つケースが一般的です。可能であれば一括払いにするか、分割の回数を少なくすることで、手続き開始までの期間を短縮できます。
そして何より大切なのは、弁護士に対して借金の状況を正直に伝えることです。隠している借入先があったり、財産を申告しなかったりすると、後から発覚した場合に免責が認められなくなるリスクがあります。弁護士は依頼者の味方ですから、すべてを正直に打ち明けたほうが最善の結果につながります。
もうひとつ実務的なアドバイスとして、手続き中は家計簿をつける習慣を身につけておくことをおすすめします。裁判所に提出する家計収支表は、手続きの終盤まで継続的に求められることがあります。日頃からレシートを保管し、収入と支出を記録しておけば、書類作成の負担を大幅に減らせます。
まとめ
自己破産の手続きは、弁護士への相談、申し立て準備、裁判所での破産手続き、免責許可の確定という流れで進みます。同時廃止であれば5か月から8か月、管財事件であれば6か月から1年以上が期間の目安です。手続きの多くは弁護士が代行してくれるため、自分でやるべきことは書類を集めて弁護士に正確な情報を伝えることが中心になります。
手続き期間中も、弁護士への依頼時点で督促はストップするため、返済に追われながら長期間待たされるという心配はありません。手続き中の生活費は自由財産として手元に残るお金や、引き続き得られる給与から賄えます。自己破産をしたからといって収入が途絶えるわけではないのです。
借金問題を抱えたまま時間が経てば経つほど、遅延損害金や利息が膨らみ、状況は悪化していきます。まずは弁護士に相談し、自分のケースではどのような流れで手続きが進むのか、具体的な見通しを確認するところから始めてみてください。手続きの全体像が分かれば、漠然とした不安は解消され、生活再建への道筋が見えてくるはずです。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。