【現役弁護士が徹底解説!】社内不倫をした旦那と不倫相手に制裁を与える方法を教えます。
「不倫」が発覚してしまうと、家庭や会社に大きな波紋を広げたり、亀裂を生じさせることがあります。不倫が発覚した場合、「ごめんなさい」で謝罪すれば終わりではなく、旦那と不倫相手に対して、法的・社会的に制裁を与えたいと思う方々も多いことでしょう。
本記事では、現役の弁護士がそのような状況に直面した方々に向けて、徹底解説を行います。旦那が勤務している会社に社内不倫があった事実を通報することのリスクや影響、そして、旦那や不貞相手に対して、どのように制裁を与えるべきかについて、具体的なアドバイスをしていきます。社会的制裁を考える上での法的側面や実践的な方法について、詳細に解説していきます。
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不貞行為を会社に報告した際の会社側の対応
不倫・不貞行為を旦那が勤務している会社のコンプライアンス室などに通報した場合、会社側の対応は状況によって異なりますが、懲戒処分されたとしても、戒告処分、降格処分もしくは減給処分となることが多く、懲戒解雇されることはほとんどありません。一般的には、異動・左遷人事を受けるなどして、旦那や不貞相手が自主退職を促されるケースが多いようです。
懲戒解雇は慎重な判断が必要
不倫・不貞行為は、労働(雇用)契約上の義務違反行為とみなされる可能性がありますが、懲戒解雇は労働者の生活に大きな影響を与えるため、慎重な判断が必要です。会社は、以下の点を考慮する必要があります。
- 行為の重大性: 不貞行為の内容や影響範囲、会社への損害の程度などを考慮します。
- 証拠の有無: 不貞行為があったことを裏付ける証拠が必要です。
- 懲戒処分歴: 過去に懲戒処分を受けている場合は、解雇の可能性が高くなります。
- 労働者の勤務態度: 普段の勤務態度や貢献度なども考慮されます。
- 労働組合の有無: 労働組合がある場合は、解雇手続きがより複雑になります。
これらの点を総合的に判断した上で、会社は懲戒解雇が妥当かどうかを決定します。
異動・左遷
懲戒解雇にまでは至らない場合でも、異動・左遷の処分を受ける可能性があります。これは、不貞行為によって職場の人間関係に支障が生じていると判断された場合に取られる措置です。
異動・左遷は、給与や役職の降格処分を伴う場合もあります。また、希望とは異なる地域への転勤を命じられる(配置転換命令)ケースもあります。
自主退職
会社によっては、自主退職を促すケースもあります。これは、解雇処分を受けるよりも、自らの意志で退職した方が、労働者にとって有利と判断される場合です。社内不倫が発覚すれば上司や同僚、部下からの信用は谷底に落ちていきます。周囲の目に耐え切れず、自主退職をする人も少なくありません。
自主退職の場合でも、退職金や雇用保険などの各種権利は受けられる可能性があります。
不貞行為を会社に報告した場合、会社側の対応は状況によって異なりますが、解雇は比較的稀です。一般的には、異動・左遷や自主退職を促されるケースが多いようです。
会社に報告する前に、証拠を集め、弁護士に相談するなど、十分な準備をすることが重要です。
告発した際のリスク
不貞行為を告発することは、相手方や関係者に大きな影響を与える可能性があります。告発前に、以下の2つのリスクを十分に理解し、慎重に行動することが重要です。
脅迫・恐喝になり得る行為
不貞行為を告発する際、相手方や関係者に金銭やその他の利益を要求したり、告発しないと不利益を与えると示唆したりする行為は、脅迫・恐喝に該当する可能性があります。
脅迫罪は、刑法222条に規定されており、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
また、恐喝罪については、刑法249条に規定されており、10年以下の懲役刑に処せられます。
以下のような行為は、脅迫に該当する可能性があります。
- 金銭やその他の利益を要求する
- 告発しないと不利益を与えると示唆する
- 暴力や危害を加えると脅迫する
- 名誉を毀損すると脅す
これらの行為は、相手方や関係者に精神的な苦痛を与えるだけでなく、違法行為にもなります。
名誉毀損になり得る行為
不貞行為を告発する際、相手方の不貞行為に関する事実を虚偽または誇張して伝えた場合、名誉毀損に該当する可能性があります。
名誉毀損罪は、刑法230条に規定されており、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
以下のような行為は、名誉毀損に該当する可能性があります。
- 虚偽または誇張された事実を伝えた
- 事実であるとしても、公表する必要がない情報を伝えた
- 悪意を持って情報を伝えた
これらの行為は、相手方の名誉を傷つけ、社会的な評価を低下させる可能性があります。
告発以外で制裁を与える方法
不倫の慰謝料請求について話し合う際には、できるだけ会話のやり取りを録音したり、約束事項を書面にまとめるなどして、客観的な証拠を残しておきましょう。
婚姻関係を継続する場合
婚姻関係を継続する場合、以下の方法で不貞行為に対する制裁を与えることができます。
- 不貞行為を行った相手に慰謝料を請求する: 不貞行為を行った相手に、精神的苦痛に対する慰謝料を請求することができます。慰謝料の金額は、不貞行為の内容や影響範囲、夫婦関係の状況などを考慮して決定されます。
- 婚姻関係の条件を変更する: 婚姻関係の条件を変更することで、不貞行為を行った相手に制裁を与えることができます。例えば、別居したりすることが考えられます。約束事は必ず書面などにまとめ、約束を破った場合のペナルティを作っておくとよいでしょう。
- 離婚を検討する: 不貞行為によって婚姻関係が破綻したと判断される場合は、離婚を検討することもできます。
離婚する場合
離婚する場合、以下の方法で不貞行為に対する制裁を与えることができます。
- 離婚協議書に不貞行為に関する条項を盛り込む: 離婚協議書に、不貞行為を行った相手に慰謝料を支払うことや、親権を渡さないことなどを記載することができます。
- 離婚訴訟で不貞行為を立証する: 離婚訴訟で不貞行為を立証することで、有利な条件で離婚することができます。不貞行為を立証するためには、証拠が必要です。
- 刑事告訴する: 不貞行為が重婚罪に該当する場合、刑事告訴することができます。重婚罪は、刑法184条に規定されており、2年以下の懲役に処せられます。
不貞行為への制裁方法は、状況によって異なります。婚姻関係を継続する場合と離婚する場合で、それぞれ異なる制裁方法を検討することができます。
いずれの場合も、冷静かつ慎重に判断することが重要です。必要であれば、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
慰謝料請求する際の手順
不貞行為に対する慰謝料請求は、証拠に基づいて、適切な手順を踏むことが重要です。以下では、慰謝料請求の手順を3つのステップに分けて説明します。
不貞行為の証拠をそろえる
慰謝料請求を行うためには、不貞行為があったことを裏付ける証拠が必要です。
以下のようなものが、不貞行為の証拠として有効です。
- 写真: 不貞行為者と第三者が一緒に写っている写真
- メールやLINEなどのメッセージ: 不貞行為に関する(=肉体関係があったことを基礎づける)やり取りが記録されたメッセージ
- ラブホテル(≠ビジネスホテル)や旅館の領収書: 不貞行為者と第三者が一緒に宿泊したことを示す領収書
- 目撃者の証言: 不貞行為現場を目撃した人の証言
証拠はできるだけ多く集め、客観性のあるものを選ぶことが重要です。
内容証明郵便によって請求する
証拠をそろえたら、内容証明郵便で不貞行為者に対して慰謝料を請求します。内容証明郵便は、送付した日時や内容が証明できる郵便です。
内容証明郵便には、以下の内容を記載する必要があります。
- 請求者と被請求者の氏名・住所
- 不貞行為の内容
- 慰謝料の金額
- 支払期限
内容証明郵便を送付することで、請求を行ったことを正式に証明することができます。
裁判所を通した手続で請求する
内容証明郵便を送付しても、相手方が支払いに応じない場合は、裁判所を介した手続で慰謝料を請求することができます。
裁判所での手続には、調停と訴訟の2種類があります。
調停: 裁判所の調停委員が間に入って、双方の話し合いを促す手続です。合意に至れば、調停調書を作成し、裁判所の判決と同等の効力を持つことになります。
訴訟: 裁判所に訴えを起こし、裁判官に判決をしてもらう手続です。調停で合意に至らない場合や、最初から訴訟を選択する場合に行われます。
裁判所での手続は、弁護士に依頼することをお勧めします。
不貞行為に対する慰謝料請求は、証拠に基づいて、適切な手順を踏むことが重要です。
証拠収集、内容証明郵便による請求、裁判所を介した手続のいずれを選択する場合も、弁護士に相談することをお勧めします。
まとめ
今回のテーマは【現役弁護士が徹底解説!】社内不倫をした旦那と不倫相手に制裁を与えたい方へということで、不貞行為に対する制裁について詳しくお話ししました。不貞行為を会社に報告する際の会社側の対応や、告発した際のリスクについて理解することが重要です。告発以外で制裁を与える方法も検討されるかと思いますが、法的な観点や倫理的な側面も考慮することが大切です。
慰謝料請求する際の手順についても、正確な情報や証拠の収集が欠かせません。法的手続きに精通した弁護士と相談することで、適切な対応を取ることができるでしょう。不貞行為に対する制裁は感情的になりがちですが、冷静な判断と的確なアクションが重要です。
不倫相手に制裁を与える際には、法律や社会的ルールを守りながら、自らの権利を守ることが肝要です。弁護士のアドバイスを受けながら、的確な対応を行うことで、より円満な解決を図ることができるでしょう。不倫相手に対する制裁は重要ですが、冷静な判断と法的な知識を持って対処することが必要です。皆様の問題解決に向けて、弁護士が全力でサポートいたします。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
平田弁護士について