【弁護士監修】発信者情報開示請求にかかる費用の全て|費用相場から負担を減らすコツまで
インターネット上で根拠のない誹謗中傷やプライバシー侵害を受け、「投稿者を特定して責任を追及したいけれど、費用面が心配…」と感じていませんか? 実際に発信者情報開示請求を行うには、裁判所への手数料から弁護士への着手金・成功報酬まで、さまざまな費用がかかります。どれだけの費用が必要で、どうすれば負担を軽減できるのか、なかなかイメージしづらいものです。
本記事では、発信者情報開示請求に関わる費用の仕組みを細かく解説し、具体的な相場や弁護士に依頼するメリット、お得に解決できる方法までをわかりやすくまとめました。法テラスや分割払い制度、弁護士費用特約付き保険の活用など、費用を少しでも抑えながら迅速かつ安心して問題を解決するためのヒントを惜しみなくご紹介します。ネットのトラブルを「お金の不安」で放置しないために、ぜひ最後までご覧ください。
目次 [閉じる]
かかる費用を細かく解説
インターネット上の誹謗中傷によって、精神的な苦痛を感じている方へ。削除手続きにかかる費用について、実例を交えながら詳しく説明していきます。一つ一つの費用の意味や必要性、そして負担を軽減する方法まで、分かりやすくお伝えしていきましょう。
全体の費用を詳しく解説
誹謗中傷の投稿削除には、まず弁護士への着手金が必要となります。一般的な事案では20万円から30万円程度です。この金額は弁護士が行う様々な業務への対価となります。例えば、投稿の証拠保全や法的な検討、プロバイダへの削除請求、発信者情報の開示請求など、複数の専門的な手続きが含まれています。
投稿の数が多い場合や、複数のSNSにまたがっている場合は、より多くの作業が必要となるため、着手金が増額することがあります。また、匿名での投稿や海外のサービスを使用している場合など、発信者の特定が困難なケースでも、追加の費用が必要になることがあります。
解決時には成功報酬も発生します。これは獲得した損害賠償金の約20%が目安です。たとえば、50万円の損害賠償を受け取れた場合、成功報酬は10万円程度となります。100万円の場合は20万円程度です。ただし、この成功報酬は事案が解決してからの支払いとなるため、手続き開始時の費用としては考える必要はありません。
裁判所への支払額を細かく説明
裁判所への支払いは、「民事訴訟費用等に関する法律」によって定められており、手続きの内容や請求金額によって変動します。最初に行う仮処分申立ての段階では、申立手数料として2,000円が必要です。この手続きは、証拠の散逸を防ぎ、早急な投稿の削除や発信者情報の保全を求めるために重要な役割を果たします。
続いて行う発信者情報開示請求訴訟では、訴額に応じた手数料が必要となります。一般的な訴額である160万円の場合、手数料は13,000円程度です。これに加えて、訴状や証拠書類の提出に必要な印紙代として数千円、相手方への書類送付に使用する郵券代として数千円が必要です。
経済的な事情により、一括での支払いが難しい場合は、収入に関する資料を提出することで、手数料の納付延期や分割払いが認められる制度があります。この制度を利用することで、一時的な費用負担を軽減することができます。
予納金の詳細な解説
予納金は、手続きを進める中で必要となる実費をまかなうために、裁判所に預けておく費用です。主な使途は以下のとおりです。
まず、相手方への書類送付費用として、内容証明郵便や配達証明付き郵便の郵送料が必要となります。1回の送付で数千円かかり、手続きの過程で複数回の送付が必要となることも少なくありません。また、プロバイダや携帯電話会社への照会費用として3万円から5万円程度が必要です。これは発信者を特定するための重要な調査費用となります。
さらに、予期せぬ事態に備えた予備費用として2万円から3万円程度を見込んでおく必要があります。例えば、追加の調査が必要になった場合や、新たな証拠が見つかり、さらなる書類送付が必要になった場合などに使用されます。
これらの予納金は合計で5万円から10万円程度となりますが、実費として使用されなかった分については、手続き終了後に返還されます。つまり、「預け金」としての性質を持つものであり、全額が最終的な費用となるわけではありません。
弁護士費用の実際
スタート時の費用
弁護士に依頼を始める際には、まず着手金が必要となります。一般的な誹謗中傷案件では、20万円から30万円程度の着手金が相場となっています。この金額は一見高額に感じるかもしれませんが、これから始まる法的手続きの全般をカバーする重要な費用です。
着手金の金額は案件の難しさによって変動することがあります。例えば、複数のSNSに誹謗中傷が投稿されている場合や、海外のサービスが関係している場合は、より専門的な対応が必要となるため、金額が上がることがあります。具体的には、投稿が10件を超える場合や、複数の発信者が想定される場合などです。
また、着手金以外にも、実費として裁判所への手数料や印紙代なども必要です。これらの諸経費は合計で3万円から5万円程度を見込んでおく必要があります。近年は分割払いに対応する法律事務所も増えており、月々の支払いを5万円程度に抑えることも可能です。
解決時の費用
事案が解決した際には、成功報酬として一定の金額を支払うことになります。成功報酬は、獲得した損害賠償金の額に応じて計算されます。一般的には解決金額の20%程度が相場となっています。
たとえば、50万円の損害賠償金を受け取った場合、成功報酬は10万円程度となります。100万円の損害賠償金であれば20万円程度、200万円であれば40万円程度という計算になります。この成功報酬は、実際に賠償金を受け取ってからの支払いとなるため、初期の費用としては考える必要はありません。
また、示談で解決した場合と裁判で解決した場合で、成功報酬の計算方法が異なることもあります。一般的に、裁判外での解決の場合は若干低めの料率が適用されることが多いようです。
一般的な相場について
誹謗中傷案件における弁護士費用の相場は、地域や事務所によって若干の違いはありますが、以下のような金額が一般的とされています。
まず、初回相談料については、多くの法律事務所が30分から1時間程度を無料で対応しています。この際に、具体的な費用の見積もりや、解決までの見通しについても説明を受けることができます。
着手金については、単純な削除請求であれば20万円前後、発信者の特定まで行う場合は30万円前後が相場です。ただし、事案が複雑な場合や、多数の投稿がある場合はこれより高額になることもあります。
成功報酬は、獲得した損害賠償金の20%から30%程度が一般的です。ただし、早期に示談が成立した場合や、比較的簡単に解決した場合は、この料率が下がることもあります。
最近では、着手金と成功報酬を定額制にしている事務所や、月額制の顧問契約を提案する事務所も増えてきています。例えば、月々5万円程度の定額制で対応する事務所や、着手金を抑え目に設定し、成功報酬を若干高めに設定する事務所なども見られます。
このように、弁護士費用の支払い方法は事務所によって様々な選択肢があります。ご自身の経済状況に合わせて、最適な支払い方法を選択することが可能です。
弁護士に相談するメリット
専門知識による適切な対応
インターネット上の誹謗中傷に関する法律は、日々アップデートされています。一般の方にとって、どの法律を根拠に、どのような請求ができるのか判断することは非常に困難です。弁護士は最新の法改正や判例を熟知しており、あなたの事案に最適な法的対応を選択することができます。
例えば、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求、民事保全法による仮処分、不法行為に基づく損害賠償請求など、複数ある法的手段の中から、最も効果的な方法を選択することができます。また、誹謗中傷の内容が名誉毀損や侮辱罪に該当する可能性がある場合は、刑事告訴という選択肢もアドバイスできます。
確実な手続きの実行
発信者情報開示請求や削除要請には、厳密な手続きと正確な書類作成が必要です。一つでも手続きを間違えると、請求が認められない可能性があります。弁護士に依頼することで、以下のような専門的な手続きを確実に行うことができます。
まず、投稿の証拠保全を適切に行います。単なるスクリーンショットではなく、法的な証拠力のある形で記録を残します。次に、プロバイダへの請求書類を作成します。これには法的な根拠や理由を明確に記載する必要がありますが、弁護士は豊富な経験を活かして、説得力のある文書を作成できます。
さらに、裁判所への申立書類の作成や、発信者との示談交渉なども、専門的な知識と経験を活かして進めていきます。すべての手続きを法的に適切な形で行うことで、確実な問題解決につなげることができます。
迅速な解決の実現
弁護士に依頼することで、問題解決までの時間を大幅に短縮することができます。弁護士は同様の案件を多く取り扱っており、効率的な解決のためのノウハウを持っています。
例えば、プロバイダへの削除請求では、適切な文言と法的根拠を示すことで、スピーディーな対応を引き出すことができます。また、発信者が特定された後の示談交渉でも、法的な知識を背景にした説得力のある交渉を行うことで、早期解決が可能となります。
さらに、裁判所での手続きが必要な場合も、経験豊富な弁護士であれば、必要な書類をスムーズに準備し、効率的に手続きを進めることができます。一般の方が独自に手続きを行う場合と比べて、解決までの期間を半分以下に短縮できることも珍しくありません。
このような迅速な対応は、あなたの精神的な負担を軽減するだけでなく、誹謗中傷による被害の拡大を防ぐことにもつながります。早期に適切な対応を取ることで、二次被害を防ぎ、より良い形での解決を実現することができます。
お得に解決する方法
法テラスの活用方法
法テラス(日本司法支援センター)は、法的トラブルを抱える方への支援制度として、誹謗中傷問題でも利用できます。収入や資産が一定基準以下の方であれば、弁護士費用を立て替えてもらえる制度があります。
具体的には、月収が一定額(単身者の場合、手取り月収が18万2000円以下)で、預貯金などが一定額以下であれば利用できます。立て替えられた費用は、月々数千円程度の分割払いで返済することができ、最長で5年での返済が可能です。さらに、生活保護を受給している方は実質的に無料で利用できることもあります。
弁護士への相談料も、法テラスを通じれば初回は無料です。その後の手続きについても、経済状況に応じて費用の支援を受けられる可能性があります。
分割払い制度について
最近では多くの法律事務所が、独自の分割払い制度を設けています。標準的な分割払いでは、着手金を6回から12回に分けて支払うことができます。例えば、着手金30万円の場合、月々2.5万円から5万円程度の支払いで依頼を始めることができます。
中には、より長期の分割払いに対応している事務所もあります。24回払いや36回払いなど、月々の支払額を更に抑えることができる場合もあります。また、ボーナス払いを組み合わせることで、通常の月々の支払額を低く抑えることも可能です。
成功報酬についても、分割払いが可能な事務所が増えています。損害賠償金を受け取った後、その一部を分割で支払うことで、経済的な負担を軽減できます。
保険を活用した費用削減
弁護士費用特約付きの保険を利用することで、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。自動車保険や個人賠償責任保険に付帯されている場合が多く、誹謗中傷被害も補償対象となることがあります。
補償内容は保険によって異なりますが、一般的な弁護士費用特約では、着手金や実費として300万円程度まで補償されます。示談交渉や裁判費用もカバーされることが多く、実質的な自己負担を大幅に抑えることができます。
ただし、保険を使用する場合は、契約内容の確認が重要です。補償対象となる事案の範囲や、利用できる弁護士の選択基準などが定められていることがあります。また、保険会社指定の弁護士に依頼する必要がある場合もありますので、事前に保険会社に確認することをお勧めします。
このように、法テラス、分割払い、保険など、複数の選択肢を組み合わせることで、費用負担を最小限に抑えながら、専門家による適切な法的対応を受けることが可能です。まずは無料相談を利用して、あなたの状況に最適な費用削減方法を検討してみましょう。
まとめ
ネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害で悩んでいる方にとって、弁護士費用は大きな関心事だと思います。ここまでの内容を整理してみましょう。
発信者情報開示請求の費用は、主に着手金(20~30万円)、成功報酬(解決金額の10~20%)、そして裁判所への実費(数万円程度)で構成されています。一般的なケースでは、合計30万円前後が目安となります。
具体的な費用は案件によって異なり、SNSでの誹謗中傷なら30万円程度、掲示板での権利侵害なら35万円程度、著作権侵害なら40万円程度が相場です。ただし、これらは標準的な金額であり、案件の複雑さや地域によって変動することがあります。
弁護士に依頼することで、専門的な対応による高い解決率が期待できます。また、一人で抱え込まずに済むため、精神的な負担も大きく軽減されます。確かに費用は安くはありませんが、問題の早期解決と被害の拡大防止を考えれば、必要な投資と言えるでしょう。
費用面が心配な方は、法テラスなどの支援制度を活用できます。また、事前に証拠をしっかり集めることで、弁護士との相談をスムーズにし、費用を抑えることも可能です。多くの事務所では分割払いにも対応していますので、一度に全額を支払う必要はありません。
大切なのは、費用の心配で適切な対応が遅れてしまうことを避けることです。まずは、無料相談を利用して、具体的な費用や解決方法について相談してみましょう。きっと、あなたに合った解決の道筋が見つかるはずです。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
平田弁護士について