別居直後の生活費を確保|婚姻費用 月14万円を取り決め
0円→月14万円
広島市中区の30代女性が、別居直後に婚姻費用分担調停を申し立て、月14万円の生活費を確保した解決事例です。
30代女性/広島市中区
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弁護士コラム
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別居中の生活費(婚姻費用)の金額を決めるとき、実務で広く使われるのが婚姻費用算定表です。ただし算定表は全部で10種類あり、子どもの人数と年齢によって使う表が変わります。子供が1人いる場合、どの表を使えばよいか、また表の数字をどう読み取ればよいかは、初めて見る方には難しく感じることもあります。
この記事では、子供が1人いるケースに絞り、算定表の選び方・読み方・具体的な金額の確認方法を順を追って解説します。算定表が使えないケースや、金額が増減する特別な事情についても合わせて説明します。
婚姻費用算定表は、東京・大阪の家庭裁判所の裁判官が共同で作成した、婚姻費用の目安を簡便に算出するための表です。令和元年(2019年)12月に改定版が公表されており、全国の家庭裁判所で調停・審判の際に広く使われています。
旧算定表(平成15年版)と比べると、改定後の令和元年版は全体的に金額が増額される傾向にあります。現在、調停・審判で使われるのはこの令和元年版です。
算定表には全部で10種類の表があり、子どもの人数・年齢・誰が子どもと同居しているかによって使い分けます。表は縦軸に義務者(婚姻費用を払う側=収入が多いほう)の年収、横軸に権利者(受け取る側=収入が少ないほう)の年収が記されており、両者の交点が婚姻費用の月額目安です。
また、縦軸・横軸はそれぞれ給与所得者と自営業者に分かれています。給与所得者は源泉徴収票の支払金額(税引き前の総支給額)、自営業者は確定申告書の所得金額を年収として使います。
算定表には子どもの年齢による区分が設けられており、子供1人の場合は次の2つの表を使い分けます。
| 表の番号 | 子どもの年齢 | 使うタイミング |
|---|---|---|
| 表11 | 0歳〜14歳 | 子どもが中学生以下のとき |
| 表12 | 15歳〜19歳 | 子どもが高校生以上のとき |
年齢の区切りは14歳以下と15歳以上の2つです。子どもが15歳になると使う表が表11から表12に切り替わります。15歳以上は教育費が増える年代のため、表12のほうが表11より金額が高くなる傾向があります。
なお、算定表の対象となる子は経済的に自立していない未成熟子を指します。成年年齢は令和4年の民法改正で18歳に引き下げられましたが、大学や専門学校に在学中であれば18・19歳も未成熟子として扱われるのが実務の傾向です。
実際に算定表を使って婚姻費用を確認する手順は次のとおりです。
子どもが0〜14歳なら表11、15〜19歳なら表12を使います。裁判所のウェブサイト(courts.go.jp)から無料でダウンロードできます。
給与所得者なら給与の列、自営業者なら自営の列から、自分の年収に最も近い行を探します。ぴったり一致する数字がなければ、最も近い数字を選びます。
同様に、権利者の年収に最も近い列を横軸から探します。こちらも給与・自営の区別に注意してください。
縦軸と横軸が交差するマス目に書かれた数字(例:8〜10)が婚姻費用の月額目安(万円)です。幅が示されているときは、その中間値を基準に交渉・調停が進むことが多いです。
条件:義務者(夫)の年収500万円(給与)、権利者(妻)の年収150万円(給与)、子1人・8歳
使う表は表11です。縦軸の義務者年収500万円の行と、横軸の権利者年収150万円の列が交差するマス目を読み取ります。この条件では、婚姻費用の月額目安はおおむね8〜10万円程度になります。
子どもがいない夫婦の同条件(表10)では月4〜6万円程度になることが多く、子ども1人分の養育費相当額が上乗せされている分、金額が高くなっていることがわかります。
条件:義務者(夫)の年収500万円(給与)、権利者(妻)の年収150万円(給与)、子1人・16歳
使う表は表12です。同じ年収条件でも、子どもが15歳以上になると生活費指数が14歳以下の62から85へ上がるため、月額目安は8歳のケースよりやや高くなり、10〜12万円程度になるケースが多くなります。子どもが中学を卒業して高校に進学するタイミングで使う表が切り替わり、金額も変わることを覚えておきましょう。
条件:義務者(夫)の自営所得600万円、権利者(妻)の年収100万円(給与)、子1人・8歳
表11を使いますが、縦軸の義務者は自営の列、横軸の権利者は給与の列から年収を確認します。給与所得者と自営業者では手取りに対応する収入の性質が異なるため、算定表上でも別の軸が設けられています。自営所得600万円・給与収入100万円の交点ではおよそ10〜12万円程度の金額になることが多いです。
算定表のPDFで交点を探す作業に慣れていない方は、以下のシミュレーターを使うと双方の年収と子どもの情報を入力するだけで算定表ベースの金額をすぐに確認できます。
婚姻費用シミュレーター
算定表の金額はあくまでも標準的な事情を前提にした目安です。以下のような特別な事情がある場合、調停・審判で増減が認められることがあります。
ただし、算定表から外れた金額を認めてもらうためには、その事情を具体的な資料で裏付けることが必要です。増額・減額のいずれの場合も、主張だけでは認められないことがほとんどです。
算定表は権利者が子どもを全員引き取って育てていることを前提に作られています。そのため、次のようなケースでは算定表をそのまま使うことができません。
子どもを引き取って育てているのが義務者(収入の多い側)のとき、算定表の枠組みをそのまま当てはめると不合理な結論になります。この場合は算定表の基礎となっている標準算定方式の計算式を使い、双方の基礎収入と生活費指数から正確な金額を算出する必要があります。計算が複雑になるため、弁護士に確認するか調停の場で裁判官に算定してもらうのが確実です。
算定表が対象とするのは原則として19歳以下の未成熟子です。20歳以上になると経済的に自立しているとみなされるのが原則で、算定表での養育費の加算は対象外となります。ただし大学・専門学校に在学中で経済的な自立が困難な場合は、20歳以上でも未成熟子として扱われるケースがあります。この場合は当事者間の合意または調停での個別判断になります。
算定表が対応している年収の上限はおおむね2000万円です。どちらかの年収がこれを大幅に超える場合、算定表の枠外となります。年収2000万円を超える高所得者の婚姻費用は、標準算定方式の計算式や当事者双方の生活実態をもとに個別に決定されます。
子供が1人いる場合の婚姻費用算定表は、14歳以下なら表11、15歳以上なら表12を使います。縦軸に義務者の年収・横軸に権利者の年収を当てはめて交点を読み取るだけで、月額の目安を確認できます。給与所得者と自営業者で使う列が異なる点と、子どもが15歳になるタイミングで使う表が切り替わる点に注意が必要です。
算定表の金額は標準的な事情を前提にした目安であり、私立学校の学費・住宅ローンの負担・子どもの医療費などの特別な事情がある場合は増減を求めることができます。また、義務者が子どもと同居しているケースや子どもが20歳以上のケースでは算定表をそのまま使えないため、別途計算が必要になります。
算定表はあくまでも話し合いや調停における出発点です。実際に合意に至るまでの過程では、個別の事情をどう主張・立証するかが金額に大きく影響します。自分のケースに特別な事情があると感じるときは、早めに弁護士に相談して適切な金額の見極めから始めることをおすすめします。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
広島弁護士会所属/弁護士登録番号 第57063号
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
平田弁護士について
おりづる法律事務所にお寄せいただいたご相談をもとに、婚姻費用の解決事例をご紹介します。