夫を死亡事故で失ったご遺族|逸失利益を適正に算定し約6800万円で解決
約4200万円→約6800万円
広島県東広島市の50代女性が、夫の死亡事故について逸失利益と慰謝料を裁判基準で算定し直し、約4200万円の提示から約68…
50代女性/広島県東広島市
事例を読むcolumn
弁護士コラム
交通事故の被害に遭うと、弁護士に相談しましょうという広告を目にする機会が増えます。一方で、実際に相談した知人から、費用ばかりかかって大して変わらなかったと聞かされることもあり、本当に頼む意味があるのか迷う人は少なくありません。
先に答えをいうと、弁護士に頼む意味があるかどうかは事故の内容によって分かれます。頼んだほうが確実に得をするケースもあれば、費用のほうが上回ってしまうケースもあります。そしてもうひとつ、弁護士でも保険会社でもない第三の選択肢として、交通事故紛争処理センターという無料の機関があります。
この記事では、弁護士に頼んでも意味が薄いケースと意味が大きいケースを分けたうえで、紛争処理センターとの違いを比較し、自分の事故ではどちらを選ぶべきかを判断できるように整理しました。
弁護士に相談することで、解決への道筋が見えてきます。
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まず、弁護士に依頼しても費用に見合う結果になりにくいケースから見ていきます。意味がないといわれる話の多くは、次のいずれかに当てはまっています。
物損のみの事故では、修理費の金額は見積書でほぼ決まるため、交渉で大きく変わる余地がありません。ケガが軽く通院期間が短い場合も、慰謝料の総額がそもそも数十万円にとどまるため、そこから弁護士費用を引くと手元に残る額が増えないか、むしろ減ることがあります。
相手が無保険で資力もない場合は、弁護士が判決を取っても回収できないという別の問題があります。示談成立後は、原則として内容を覆せないため、その時点から弁護士に頼んでもできることは限られます。
こうしたケースで意味がないと感じるのは自然なことで、弁護士側も相談の段階で費用倒れになる可能性を伝えるのが普通です。
反対に、次のような事故では、弁護士に依頼するかどうかで結果が大きく変わります。
慰謝料は通院期間に応じて計算されますが、その計算基準は保険会社が使うものと弁護士が使うものとで異なります。通院期間が長くなるほど両者の差は広がります。
たとえばむちうちで3か月通院した場合、自賠責の基準では通院日数をもとに計算して40万円弱にとどまることが多いのに対し、弁護士が用いる裁判所の基準では53万円が目安です。通院が半年、1年と延びれば、差額は数十万円から100万円を超えていきます。
後遺障害の認定を受けるかどうか、何級になるかで、賠償額は数百万円から数千万円の幅で変わります。弁護士は認定に必要な検査や診断書の記載について治療中から助言でき、認定後の慰謝料と逸失利益の交渉も引き受けます。この領域は、本人が保険会社と対等に渡り合うことが最も難しい部分です。
過失割合を1割動かすだけで、受け取る額と支払う額の両方が変わります。証拠を整理し、修正要素を法的に主張する作業は、弁護士の専門領域です。
保険会社からの電話に出るたびに気が重くなる、専門用語の意味がわからないまま返事をしている、という状態なら、それ自体が依頼する理由になります。弁護士に依頼した時点で、保険会社との窓口は弁護士に切り替わり、本人が直接やり取りする必要はなくなります。
自分や家族の自動車保険、火災保険、クレジットカードの付帯保険などに弁護士費用の補償が付いていれば、費用倒れの心配はほとんどなくなります。特約が使えるなら、軽傷の事故でも依頼する意味は十分にあります。
弁護士に依頼する以外に、保険会社との紛争を解決する手段として知っておきたいのが、公益財団法人交通事故紛争処理センターです。
紛争処理センターは、損害保険会社からの拠出金で運営されている中立の機関で、被害者と保険会社の間に弁護士が入り、示談のあっせんを行います。東京の本部のほか、札幌、仙台、さいたま、金沢、静岡、名古屋、大阪、広島、高松、福岡に相談室があり、全国で利用できます。
手続きは、電話での予約から始まります。初回の相談日に、担当の弁護士が被害者から事情を聞き、必要な資料を確認します。その後、保険会社の担当者も交えたあっせんの期日が設けられ、担当弁護士が双方の主張を聞きながら解決案を示します。
あっせんで合意できれば示談成立です。合意できない場合は、被害者が希望すれば審査の手続きに進み、複数の弁護士や学者で構成される審査会が裁定を下します。裁定の内容に保険会社は従う仕組みになっているため、被害者側が受け入れれば、そこで解決します。
期日は1回あたり1時間程度で、通常は2回から4回程度で結論が出ます。申し込みから解決までの期間は、平均すると3か月から半年ほどです。
紛争処理センターには、利用できる条件があります。
注意したいのは、後遺障害の等級そのものを争う事案は扱わないという点です。等級が何級かという判断は自賠責の審査機関が行うものなので、等級認定に不満がある場合は、異議申立てなど別の手続きが必要になります。等級が確定したうえで、その等級に基づく賠償額をいくらにするかという争いであれば、紛争処理センターで扱えます。
無料で裁判所基準に近い解決を目指せる一方、使ううえで知っておくべき限界もあります。
担当する弁護士は中立の立会人であって、被害者の味方ではありません。被害者の主張を代わりに組み立ててはくれず、保険会社側の言い分にも同じように耳を傾けます。そのため、あっせん案は裁判所基準の満額ではなく、双方が歩み寄れる水準に落ち着くことが多いのが実情です。
また、被害者が示された解決案に納得せず、話し合いが進まないと判断された場合、担当弁護士の判断であっせんが打ち切られることがあります。審査に進めるのはあっせんを経た後に限られるため、最初から審査だけを求めることはできません。
期日には原則として本人が出向く必要があります。遠方の相談室しかない地域では、その負担も考慮に入れてください。
両者の違いを、判断に関わる項目ごとに並べてみます。
大きな違いは、弁護士が被害者の側に立つ代理人であるのに対し、紛争処理センターは中立の仲介者であるという点です。センターの担当弁護士は、被害者に有利な主張を代わりに組み立ててくれるわけではありません。被害者本人が資料を揃え、自分の主張を伝える必要があります。
もうひとつは、関与できる時期の違いです。弁護士は治療中から関われるため、後遺障害の申請や証拠の確保など、示談の前段階で結果を左右する部分に手を打てます。紛争処理センターは、損害が確定して示談交渉が行き詰まった後に使う手段で、それ以前の段階には関与しません。
ここまでの内容を踏まえて、状況別の選び方を整理します。
ケガの治療は終わり、後遺障害の有無も確定していて、あとは保険会社の提示額に納得できないだけ、という人には紛争処理センターが向いています。とくに、弁護士費用特約がなく、慰謝料の総額が100万円前後にとどまる事故では、費用をかけずに裁判所基準に近い水準を目指せる有力な選択肢です。
自分で資料を整理し、期日に出向いて主張することが苦にならない人であれば、費用ゼロで結果を得られます。
治療がまだ続いている、後遺障害が残りそう、過失割合で揉めている、相手が無保険、といった要素がひとつでもあれば、弁護士に相談するべきです。紛争処理センターでは扱えない部分が含まれているか、示談前の段階で専門家の関与が必要な状況だからです。
弁護士費用特約がある人も、迷わず弁護士に依頼して構いません。費用の心配がないなら、代理人として動いてくれる弁護士に頼むほうが、負担も少なく結果も安定します。
弁護士に依頼した状態で、紛争処理センターを利用することも可能です。弁護士が交渉しても保険会社が譲らない場合、訴訟に進む前に紛争処理センターの審査を使い、保険会社を拘束する裁定を得るという進め方があります。訴訟より短期間で、費用も抑えられるため、弁護士側から提案されることも珍しくありません。
紛争処理センターと名前が似ていて混同されやすいのが、日本弁護士連合会が運営する日弁連交通事故相談センターです。こちらも無料で、弁護士による相談と示談のあっせんを行っています。
大きな違いは、相談できる時期です。紛争処理センターは示談交渉が始まった後でなければ利用できませんが、日弁連交通事故相談センターは事故直後からの相談に応じています。治療中に保険会社の対応で困ったとき、後遺障害の申請をどう進めるか迷ったときなど、示談前の段階で専門家の意見を聞きたい場合に使える窓口です。同じ事故について原則5回まで無料で相談できます。
ただし、あっせんの対象になる事故の範囲や、審査の拘束力の仕組みは紛争処理センターと異なります。両方の手続きを同時に使うことはできないため、どちらを使うかは相談の段階で確認してください。
弁護士に頼む意味があるかどうかを判断するために、相談の前に次の点を整理しておくと、相談の場で具体的な見通しを聞けます。
多くの事務所は初回相談を無料にしているため、依頼する前に見通しだけ聞くことができます。相談の結果、費用倒れになるから紛争処理センターを使ったほうがいい、と助言されることもあります。それ自体が、相談した意味です。
弁護士に頼む意味がないといわれるのは、物損のみや軽傷で通院が短い事故、相手が無保険で回収の見込みがない事故に限った話です。通院が3か月以上続いている、後遺障害が残りそう、過失割合で揉めているといった事故では、弁護士に依頼するかどうかで受け取る額が大きく変わります。
費用をかけずに解決したい人には、交通事故紛争処理センターという無料の選択肢があります。ただしセンターは中立の仲介者であって代理人ではなく、治療中の対応や等級認定の争い、無保険の相手との紛争は扱えません。
自分の事故がどちらに向いているかを見極めるには、まず弁護士の無料相談で見通しを聞くのが近道です。そのうえで、紛争処理センターを使うのか、弁護士に依頼するのか、両方を組み合わせるのかを決めてください。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
広島弁護士会所属/弁護士登録番号 第57063号
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
平田弁護士について
おりづる法律事務所にお寄せいただいたご相談をもとに、交通事故の解決事例をご紹介します。