実家の不動産をめぐる対立|代償金を受け取る形で解決
500万円→1200万円
広島市安佐北区の50代男性が、実家不動産の評価を争い、代償金500万円提示から1200万円へ増額して解決した事例です。
50代男性/広島市安佐北区
事例を読むcolumn
弁護士コラム
人生の大きな節目の一つに挙げられるのが、親や祖父母などが残した財産を受け継ぐ手続きです。財産の分配をめぐって家族や親族で揉めることはできるだけ避けたいものですが、実際には「どのように遺産を配分すればいいのか」「そもそも法的な取り決めはどうなっているのか」など、わからないことが多いのではないでしょうか。
本記事では、後までご覧ください。民法が定める取り分の基準から、家族構成に応じた具体的な振り分け方、スムーズに話を進めるためのポイントまでを詳しく解説します。初めてこのトピックに触れる方はもちろん、すでに知識をお持ちの方にも役立つ情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
弁護士に相談することで、解決への道筋が見えてきます。
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「遺産をどのように分配するか」を考える前に、まずは誰に権利があるのかを理解することが大切です。法律上、遺産を受け継ぐことができる人物を「相続人」と呼び、民法でその範囲や優先順位が定められています。
配偶者は、必ず上記いずれかの順位の相続人と並んで遺産を受け取れることになっています(民法上、「配偶者は常に相続人」と規定されています。民法890条)。
法律が定めている分配率を指す言葉として、「法定相続分」があります。これは、遺言がない場合や、遺言書の内容に疑義が生じた場合などに適用される基準です。下記のように、被相続人の家族構成によって法律上の取り分が変化します。
ただし、被相続人が生前に遺言書で別の配分を指定していた場合は、その遺言の内容が優先されます。しかし、たとえ遺言があっても、遺留分が保障されているため、遺留分を下回る分配は、別途争いが起きる可能性があるため注意が必要です。
相続は個々の家族で事情が異なるため、法定相続分を一律にあてはめるだけではスムーズにまとまらないことも少なくありません。以下では、主な家族構成の場合にどのように配分が行われるのか、またどのような点に配慮するとよいかを解説します。
もっとも一般的なケースが、配偶者と子どもが共同して財産を受け継ぐ形です。法律上の配分は「配偶者が2分の1、子どもが2分の1を等分」となります。しかし、下記のようなポイントをふまえて検討すると、法定の割合から外れた形の協議になることもしばしばです。
子どもがいない夫婦の場合、配偶者と直系尊属(父母)で遺産を分けることになります。法定取り分は、配偶者が3分の2、父母が3分の1を人数で等分する形です。
子どもも父母もいない場合、配偶者と兄弟姉妹が遺産を受け継ぐことになります。法律で定められた配分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を人数で等分する形です。
配偶者・子ども・父母がいないケースでは、兄弟姉妹だけで遺産を分割することになります。法律上の取り分は、兄弟姉妹全員で均等に配分です。
遺産の中に住居や土地などの不動産が含まれる場合、その扱いが相続の争点になりやすいです。理由としては、「分割が難しい資産である」「評価額と実際の売却価格に差が出やすい」などが挙げられます。
金融資産は比較的分割しやすいですが、以下の点に注意しましょう。
被相続人にローンや借金があった場合、それらは全相続人が法定取り分の割合で負担する形となります。さらに、連帯保証人になっていたケースなども含めると、思わぬ負債が見つかることもあります。
被相続人が遺言書を残していない、もしくは遺言書の内容でカバーされない部分を決めるために行うのが遺産分割協議です。法定取り分に沿って話を進めるのが一般的ですが、当事者全員が合意すれば、法定の配分とは異なる形でも成立します。
手順の例
被相続人が「どのように遺産を分割してほしいか」をあらかじめ記したものが遺言書です。これが残されていれば、基本的にはその内容が優先されます。代表的な書式として以下があります。
遺言書で財産を自由に分配しても、法律上、特定の相続人には最低限の取り分を保障する制度が存在します。それが「遺留分」です。
たとえば、子どもがいるのに全財産を配偶者に譲るという遺言を書いた場合、子どもは遺留分を主張して遺産の一部を請求することができます。
当事者同士で合意できない場合、まずは法律の専門家(弁護士など)を交えて調停を試みるのが一般的です。それでも合意に至らない場合には、家庭裁判所に「遺産分割の調停」や「審判」を申し立てることが可能です。最終的には裁判所が決定しますが、できるだけ話し合いで決着をつけることを目指しましょう。
印鑑証明書や署名捺印が必要な書類は郵送でも対応できます。また、司法書士や行政書士に手続きを代行してもらうことも可能です。家族間の連絡が取りづらい場合は、グループチャットやオンライン会議を利用してスムーズに情報共有できる環境を整えましょう。
生前贈与や「死因贈与契約」、あるいは「生前贈与契約書」を交わすという選択肢があります。ただし、贈与税の問題や、他の相続人の遺留分をどう考えるかといった課題もあるため、専門家とよく相談して決めると安心です。公正証書遺言を利用して、被相続人が生前のうちにしっかりと自身の遺産分割の意思を示すことも有効です。
相続人全員の同意があれば、法定取り分より大きな割合を受け取ることは可能です。遺産分割協議書を作成し、全員が納得して署名・捺印すれば成立します。ただし、遺留分を侵害しないように注意が必要です。
相続財産の分配は、法律が定めるベースラインがあるとはいえ、実際は家族一人ひとりの状況によって最適な形が異なります。住まいの問題や、介護・生前贈与などの事情、財産の種類や負債の有無といった要素を考慮しながら、当事者全員が納得できる着地点を見つけることが大切です。
遺言書が残されている場合は、それに従うのが原則ですが、最低限の取り分を守る遺留分との兼ね合いや、遺言書の効力に問題がないかの確認も必要となります。また、実際の手続きには戸籍謄本の取り寄せや銀行・証券会社での名義変更など、思った以上に時間と手間がかかるものです。
円満な分配を実現するためのポイントとしては、以下が挙げられます。
家族や親族間での争いを回避するためにも、普段から情報を共有し、生前・死後を問わず早めに対応することが大切です。もしご自身のケースが複雑に感じる場合は、弁護士や税理士などのプロにアドバイスを求めると安心でしょう。必要に応じて専門家をうまく活用しながら、スムーズに進めていただければと思います。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
広島弁護士会所属/弁護士登録番号 第57063号
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
平田弁護士について
おりづる法律事務所にお寄せいただいたご相談をもとに、遺産分割の解決事例をご紹介します。