音信不通の相続人を戸籍調査で特定|10年放置した預金を解約
相続人の所在不明で預金が凍結のまま→相続人全員の署名を得て解約・分配
広島県三次市の60代男性が、所在不明の相続人を戸籍調査で特定し、10年間凍結されていた約1300万円の預金を解約・分配し…
60代男性/広島県三次市
事例を読むcolumn
弁護士コラム
相続の手続きを専門家に頼もうと思ったとき、最初につまずくのが、そもそも誰に頼めばいいのかという問題です。弁護士、税理士、司法書士、行政書士。どの事務所のサイトを見ても相続に対応しますと書いてあり、違いがわかりにくいうえ、費用の目安もはっきりしません。
結論からいえば、専門家ごとに扱える業務は法律で線引きされていて、相続の中身によって頼むべき相手は変わります。費用もそれぞれ計算の仕方が違うため、同じ相続でも依頼先を間違えると、余計な出費や二度手間が発生します。
この記事では、弁護士に相続を依頼した場合の費用の仕組みと相場を中心に、税理士・司法書士・行政書士との役割の違い、そして自分の状況に合った専門家の選び方を整理しました。
弁護士に相談することで、解決への道筋が見えてきます。
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弁護士費用は、ひとつの金額で示されるものではなく、いくつかの項目を合計したものです。相続の依頼で発生する主な項目は次のとおりです。
このうち金額が大きくなるのは着手金と報酬金です。両者を合わせた総額で比較しないと、事務所ごとの費用の高低は判断できません。
弁護士の報酬は2004年に自由化され、現在は各事務所が独自に決めています。ただ、多くの事務所が今も参考にしているのが、自由化前まで使われていた日本弁護士連合会の旧報酬規程です。相続の依頼で費用の目安を知るには、この規程の考え方を知っておくのが早道です。
旧規程では、依頼者が得る経済的利益の額に応じて、着手金と報酬金を段階的に計算します。
遺産分割の依頼では、依頼者が取得する見込みの遺産の時価が経済的利益になります。ただし、相続分や遺産の範囲そのものに争いがない部分については、その3分の1を経済的利益とみなす扱いになっており、実際の計算は単純ではありません。
兄弟間で分け方が争われていて、依頼者が最終的に2,000万円分の遺産を取得した場合を旧規程で計算してみます。
着手金は2,000万円の5%に9万円を加えた109万円、報酬金は10%に18万円を加えた218万円で、合計327万円です。取得額の16%強が費用として出ていく計算になります。
もっとも、現在は旧規程をそのまま適用する事務所ばかりではありません。着手金を20万円から50万円程度の定額にして、報酬金を取得額の10%前後とする料金体系が増えており、その場合の総額は220万円から250万円程度に収まります。同じ案件でも事務所によって100万円近い差が出ることがあるため、依頼前に見積もりを取り、計算の根拠を確認することが欠かせません。
遺産分割以外の相続業務についても、おおよその相場を挙げておきます。
交渉で解決せず調停に進んだときに費用がどう変わるのかは、契約時に確認しておきたいポイントです。
弁護士費用は、依頼した本人が自分の財産から支払うのが原則です。兄弟と争って弁護士を立てた場合、その費用を遺産から差し引くことはできませんし、相手方に請求することもできません。
また、相続税の計算上も、弁護士費用は被相続人の債務ではないため、遺産から控除する対象にはなりません。費用の負担がどれだけ残るかを考えるときは、取得できる遺産の額から弁護士費用と相続税の両方を引いた残りで判断する必要があります。
相続に関わる専門家は4種類ありますが、それぞれ法律で扱える業務が定められています。誰に何を頼めるのかを整理します。
他の相続人と交渉する、調停や審判で代理人を務める、遺留分を請求する、遺言の無効を争う。こうした争いのある場面で依頼者の代わりに動けるのは弁護士だけです。相続人同士の話し合いに第三者として関与し、意見を伝えたり合意をまとめたりすることも、弁護士以外の専門家には認められていません。
弁護士は税務申告や登記も業務として行えますが、実際には相続税に強い弁護士は多くなく、税理士や司法書士と連携している事務所が一般的です。
相続税の申告書を作成し、税務署に提出する業務は税理士の独占業務です。遺産の評価、特例の適用判断、二次相続を見据えた分け方の助言といった税務面の相談も税理士が担います。
相続税の申告が必要になるのは、遺産の総額が基礎控除額を超える場合です。基礎控除は3,000万円に法定相続人一人あたり600万円を加えた額で、相続人が3人なら4,800万円です。この額を超えなければ申告自体が不要で、税理士に依頼する必要もありません。
費用は遺産総額の0.5%から1%程度が相場で、遺産が8,000万円なら40万円から80万円程度です。土地の評価が複雑な場合や相続人が多い場合は加算されます。
相続した不動産の名義を変える相続登記は、司法書士に依頼するのが一般的です。戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、法務局への申請までを一括して任せられます。相続放棄の申述書の作成や、家庭裁判所に提出する書類の作成も業務範囲に含まれます。
費用は不動産1件あたり5万円から15万円程度が目安です。これとは別に、登録免許税として固定資産税評価額の0.4%を法務局に納めます。評価額2,000万円の土地建物なら8万円です。
注意したいのは、司法書士は相続人同士の交渉に関与できないという点です。相続人全員が分け方に合意していることが前提で、意見が割れている状態では業務を進められません。
行政書士は、遺産分割協議書や遺言書の原案作成、戸籍の収集、財産目録の作成、預貯金や自動車の名義変更手続きなどを扱います。費用は比較的安く、協議書作成で5万円から10万円程度です。
ただし、登記の申請、相続税の申告、相続人間の交渉、裁判所への提出書類の作成はいずれも業務範囲外です。相続人全員の合意があり、不動産も相続税の申告もない場合に、事務手続きを代行してもらう相手として位置づけるのが適切です。
役割の違いを踏まえたうえで、自分の相続がどのパターンに当たるかで依頼先を絞り込みます。
分け方で意見が食い違っている、特定の相続人が話し合いに応じない、遺言の内容に納得できないといった状況では、最初から弁護士に相談してください。司法書士や行政書士に依頼しても、合意ができていなければ手続きは止まります。対立が表面化してから依頼先を変えると、それまでに払った費用が無駄になることもあります。
遺産の総額が基礎控除を超え、相続人全員が分け方に合意しているなら、税理士に依頼するのが基本です。相続税には配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例など、適用の可否で税額が数百万円変わる制度があり、専門家の判断が結果を左右します。不動産の名義変更が必要なら、税理士が連携する司法書士を紹介してもらえば手間が省けます。
このケースでは司法書士への依頼で足ります。遺産分割協議書の作成から登記申請まで一括で任せられ、費用も10万円前後で収まることが多いです。
相続人の範囲も財産の全体像もまだ把握できていない段階なら、初回相談が無料の弁護士か、相続に特化した税理士に相談して、自分の相続がどのパターンなのかを見立ててもらうのが効率的です。争いの芽があるかどうか、申告が必要かどうかは、この段階で判断がつくことが多いです。
相続の内容によっては、ひとつの資格では手続きが完結せず、複数の専門家に依頼することになります。たとえば兄弟間に争いがあり、遺産が基礎控除を超え、実家の不動産があるというケースでは、弁護士、税理士、司法書士の3者が関わります。
この場合の費用は単純な足し算です。遺産総額8,000万円、依頼者の取得額2,000万円という前提で、弁護士費用が定額着手金型で220万円程度、税理士報酬が60万円程度、司法書士報酬と登録免許税で20万円程度とすると、合計300万円前後になります。取得額の15%程度が専門家費用として出ていく計算です。
費用を抑えたいなら、争いのある部分だけを弁護士に絞って依頼し、税務申告と登記は弁護士が連携する専門家に個別に頼む方法が現実的です。すべてを弁護士に一括で頼むと、弁護士が外注する分の手数料が上乗せされることがあります。逆に、各専門家をばらばらに探すと、資料のやり取りや連絡の手間が依頼者側に残ります。連携の取れた事務所を最初に選ぶことが、費用と手間の両方を抑える近道です。
専門家を選ぶ際、資格の種類だけでなく、次の点も確認しておくと失敗が減ります。
とくに費用倒れの点は重要です。遺産の額が小さい相続で弁護士に交渉を依頼すると、取得できる額より費用のほうが大きくなる場合があります。誠実な事務所であれば、その可能性を最初に伝えてくれます。
初回相談を有意義なものにするために、次の資料を手元に揃えてから相談に行くと、その場で具体的な見立てを得やすくなります。
費用の負担が難しい場合は、法テラスの民事法律扶助という制度があります。収入と資産が一定の基準以下であれば、弁護士費用の立て替えを受け、分割で返済することができます。
相続を弁護士に依頼する費用は、着手金と報酬金を中心に、取得する遺産の額に応じて決まります。旧報酬規程を基準にすると取得額の15%前後、定額の着手金を採用する事務所なら10%強が目安ですが、事務所ごとの差が大きいため見積もりの比較は欠かせません。
一方で、相続人同士に争いがなければ弁護士でなくても手続きは進みます。相続税の申告は税理士、不動産の名義変更は司法書士、書類作成の補助は行政書士と、業務ごとに適した専門家が決まっています。自分の相続に争いの要素があるか、申告が必要か、不動産があるか。この3点を整理すれば、頼むべき相手はおのずと絞られます。
この記事を監修した弁護士
代表弁護士 平田裕也(ひらた ゆうや)
広島弁護士会所属/弁護士登録番号 第57063号
所属弁護士が150名程度いる大手法律事務所にて、約2年間にわたり支店長を務め、現在に至る。 大手法律事務所所属時代には、主として不貞慰謝料請求、債務整理及び交通事故の分野に関して,通算1000件を超える面談を行い、さまざまな悩みを抱えられている方々を法的にサポート。 その他弁護士業務以外にも、株式会社の取締役を務めるなど、自ら会社経営に携わっているため、企業法務及び労働問題(企業側)にも精通している。
平田弁護士について
おりづる法律事務所にお寄せいただいたご相談をもとに、相続の解決事例をご紹介します。
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